第4話 そら、と俺
「ねぇねぇ!悠木さん!どこの学校から転学して来たの!?」
「悠木さん可愛いね!」
「悠木さん!」
人間ってのは不思議だな。
何が不思議かって?
だってさっき、そら、の制服を見たというのにこの学校の制服だという事に気が付かなかったという、目の錯覚だ。
まぁ、転学して来たら必ず質問攻めになるという点も謎だが。
あんな質問だらけの状態は俺には耐えられん。
死んじゃうからね。
「いやー。美少女が入って来たね。雄大」
「.....そうだなぁ。まぁ.....うん」
「ところで雄大。さっき固まってたのは何でだ?」
「それはな.....まぁ、聞くな。美少女だったから緊張したんだ」
これは非常に面倒臭い事になる。
何故なら、アイツと俺は天地の差だから。
学力も中学時代と変わらなければ天地の差。
顔も天地の差。
スタイルも天地の差。
もう分かるだろ?俺がこの学校で、そら、に関わると。
面倒ごとになるってな。
「.....!」
「.....?」
ふと、そら、と目が合った。
しかし直ぐに、そら、は目を背けた。
あの野郎は何故、下ネタを言ったのか。
とても気になる。
そして、何故、あそこまで恥ずかしがるのか。
あまりにも気になる、が。
まぁ今考えても仕方が無いか。
「真。トイレ行かね?」
「お、そうだな」
昼休みまであと1時間受ければ良いが。
次の授業の時間まで5分しかない。
早く戻って来なければ。
☆
「でな、このアニメのストーリーのヒロインがよ.....」
「え、マジかよ?」
そんな、会話をしながら戻って来ると。
教室では相変わらず、そら、に色々な奴が寄って来ていた。
相変わらず凄まじい状態だ。
そら、は困惑しながらも全てを捌いていた。
おおう、流石は人気者。
慣れてやがる。
「.....すげぇ人気だな。悠木さん」
「.....それな。まぁ、どうだって良いけど」
だけど、何だろうか。
良い加減、そら、に構っている奴らが鬱陶しく感じてくる。
スクールカースト上位の奴まで絡んでるし、厄介ごとになりつつある。
それに、そら、は困っている。
「.....俺、ちょっと言ってくるわ」
「.....おいおい。大丈夫か?モブは潔くスクールカースト上位に飼いならされていたほうが.....」
「それで良いのかお前は.....」
飼い慣らされるってお前!
牛か豚ですか!?
俺は唖然としつつ。
ため息を交え、歩き。
そら、に声を掛けてみた。
「.....悠木さん」
「.....」
「悠木さん?」
「.....」
何か喋ろうよ。
そんなに黙ってもらわれると俺が困っちゃう。
と、思っていると、スクールカースト上位の上位。
イケメンで、俺の敵で敵。
誰だっけ、が話しかけてきた。
いや、マジで誰だっけ?
このイケメン。
「.....あのさ、悠木さん困ってるから。つーか、お前誰」
クラスメイトの存在ぐらい覚えろ。
いや、俺の存在は薄いけどよ。
って言うか、そういうお前は誰だ。
俺はその様なツッコミをする。
腐ったポ○モンのヒンバスが一生懸命に対抗する。
そうしていると、そら、が立ち上がった。
「.....こっち.....」
「うわ!何だ!?」
突然に、そら、に引っ張られ。
鞄を持って、そら、と俺は駆け出す。
教室を出る。
何だ!?
☆
ガチャッバンッ
ガチャッバンッ
「.....」
『これで良いかな.....』
「.....いや、良くねぇよ!!!!!」
先程来た、男子トイレ。
授業開始間際で誰も居ない男子トイレの個室に。
(俺)()(そら)
こんな感じでそれぞれ閉じこもった。
そら、は俺に対してボイスレコチェンジャーで電話して話してくる。
てーか!
ツッコミを入れて良い?
男子トイレに女子が入るな!
個室を挟むな!
色々と何でだよ!
「.....お前.....」
『何?』
「いや、もう良い。面倒臭くなった」
何でこんな事に。
俺はその様に思いながらも電話をする。
モヤモヤが取れんから聞こう。
「.....直球で聞くぞ。.....良いか」
『.....どうぞ』
「何故、俺の下半身の事を聞いた」
『.....それは簡単に言えば思春期真っ盛りの女子には興味深い事で有り、生物学的にも興味が湧き、更に言えば赤ちゃんを産むために絶対に避けられない.....』
ベラベラと続く。
何をベラベラと、コイツは何を言いたい訳よ?
突然に何故、こんな事を言い出したの?
俺はため息を吐いて。
「.....おちけつ。.....良いか。女子がそんな事を言ったらいかんぞ。そら。って言うか、女子が興味を湧くって無いでしょ普通」
『.....湧くの!』
「湧かないからな。って言うか、一応言うなら女子の事を幻滅してしまうから言うのを止めて下さい」
コイツ、何か怪しいな?
一体、何を考えてやがるんだ?
第一、真面目に考えて。
下半身の事に興味持つ女子とか有り得ないんだけど。
「.....お前、何か隠してね?」
『.....何も』
「.....いや、嘘吐くなよ?」
絶対に何かある、俺はその様に思いながらも。
追求は止めた。
取り敢えず、下半身の事について生物学的に利用する事だけは分かった。
女性を甚振る趣味は無いからな。
「.....だがとにかく、下半身の事についてはお前に資料提供するつもりは無いぞ。恥ずいし」
『.....提供しないなら昔、雄大がここ最近、オネショした事をクラスメイトにバラしてやる』
「何で知ってんだァ!!!!!巫山戯んなァ!!!!!いじめっ子かよ!」
コイツと言う奴は!コイツと言う奴は!
絶対に許さない!
そんなに俺の下半身を見たいんか!
コイツ!
「.....お前.....」
『.....ふふーん。どう?見せる気になった?』
「くそう.....覚えてろ.....」
女子ってこんなもんか?
絶対に許さん。
俺はその様に思いながらも。
家に帰ってから考える、という事を伝えた。
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