第3話 転校生

結局、そらき、さんのウェブ小説のページに何度アクセスしても開けず、読めなくなってしまった。

何だか小説を慌てて消した様な感じを受けたが気の所為だろうか?

更に言えば俺は消された、そらき、さんの小説の内容に、?、と浮かべながら。

悶々とした時間を感じながらそのまま寝てしまった。

まぁ、原因は内容だ。

内容に俺がかつて、そら、に話した様な言葉が書いてあったのだ。


『言葉ってのは夢を紡ぐ事なんだ』


何だろうか。

不思議に思って当然じゃね?

偶然にしては出来過ぎた気がするし。



翌日だ。

俺は朝から死んだ目を鏡で確認して、制服を着たりで準備して、飯食って。

玄関を開ける。

今日は学校なので、とても面倒臭い。

因みにクソ妹、父さんは既に出発している。

俺の面を拝みたく無い妹、忙しい父さん、と、そんな感じだ。

まぁ、良いですけどねと、考えながら俺は欠伸をしながら出た。

すると。


ガチャ


「.....あ?」


そら、の家の扉が開いて、そして静かに誰か出て来る。

丁度、瞬間が重なる。

その人物は俺を見てから硬直した。


「.....!?」


「あるぇ!?」


女子制服、更に目鼻立ちが成長してガキから大人に近い美人になり。

長髪の栗毛色の髪の毛に。

カチューシャ。

更に身長が伸び、スタイルが抜群になった。

アイドル並みの顔付き。

美少女、そら、だ。

間違いない。

俺は手を上げた。


「色々聞きたい事は有るが、久しぶりだな!マジで!」


「.....」


だが、その面は直ぐに拝めなくなった。

何故なら、赤くなりながら直ぐにジェイソンマスクをカバンから取り出して着けたのだ。

ちょ!?持ち歩いてんの、ってか!

何でだよ!?

俺は愕然としながら、直ぐに、そら、に近寄って話そうとする。

のだが、そら、は俺から逃げて行った。

それは物凄いスピードで。

ちょ、逃すか!?


「待て!そら!」


「.....」


プルルルル


またかよ!?

突っ走る住宅街で電話が鳴り響く。

スマホの画面には非通知が表示されている。

これはまさに。

俺は直ぐに電話に出ながら、走りつつ話す。


「そら!何故逃げる!」


『恥ずかしいから』


「何でだよ!ってか、お前!凄い早足だな!?」


絶対に逃がさんぞ!

お○ん○んとか言い出した謎を解決しないといけない!

女子としていかんだろ!

待てコラ!



「くそう.....くそう!!!!!」


だが、早足に運動不足野郎が何時迄も付いて行けるわけがなく。

そら、を見失なった。

くそう、あと少しだったのに!

何なんだ!運動でもしてんのかよ!?


「.....もういいや。学校に行かないと.....」


疲れた。

遅刻するし、学校に行こう。

ここからは20分ぐらい掛かるしな。

急がないとかなり遅刻だ。


「次こそは捕まえて聞くんだ.....!」


「何をだ?」


「!?」


その様にして歩いていると。

背後に小太りの八坂真が立っていた。

青年風の顔立ちに、短い黒髪。

眼鏡で、身長が俺より若干低い、オタク。

俺を心配している。


「大丈夫か?」


「あ、ああ。大丈夫だ。真」


「そうか。.....あ、そうだ。新刊のラノベ出たぞ。それがまた面白そうなやつでな」


マジか、と。

その様に話しながら。

県立山口高校まで歩き出す。

因みに、真はラノベ、アニメ、漫画を網羅している奴だ。

俺も何時も情報の点でお世話になっている。

一番のファンは、そらき、らしいが。


「新刊は、そらき、さんと夢のコラボ小説で、エッチな感じだぞ」


「マジか?またかなりエッチだと面白いけどな」


くふふ、と笑う俺達。

そんな俺達の感じにドン引きしている女子共がいた。

痛くも痒くも無いけど。



キーンコーンカーンコーン


「着いた.....ギリ!」


「そうだな.....」


やはりギリギリだった。

クラスに入りそのまま歩いて行く。

それから席に腰掛けた、と思った次の瞬間。

ガラッと戸が開いた。


「席に座れー」


アイツを追い掛け、捕まえる事が出来なかったのは残念極まりない。

だが次こそは。

思いながら居ると、やる気の無い感じの無精髭、鮫肌幸治郎が入ってくる。

出席簿を肩に叩きながら、気怠そうに話す。


「今日は転校生がやって来たぞ。みんなー、元気になれよ。特に男子な。女子だから」


「「「「「マジで!?!?!」」」」」


いや、うるせぇよ、と思う。

女子の転校生が居る事を鮫肌は話し、教室中が祭り状態になった。

俺と真はやれやれと溜息を吐く。

なにせ、2次元にしか興味が無いから。

この男子共の気持ちが理解できんのだ。


「それじゃあ入れ。悠木そら、さん」


「な、あ?!」


あまりの衝撃に声が漏れた。

今、鮫肌はなんつった!?悠木そら!?

鮫肌もビックリしているがそんな事はどうでも良い。

俺は直ぐに戸の場所を見た。

人影だ。

そして、その人影が入って来て。


ガラガラ


俺は愕然とした。

まさかだったのだ。

相手もこっちに気が付いた様で。

見開いた。


「.....!?」


教室は祭り状態。

教師は、?、状態。

真も、?、だ。

俺達はあまりの衝撃に見合い固まった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る