第2話 家族
「ちょ、待てコラ!何やってんだ!!!!!」
まさかの、そら、の行動に俺は怒りつつその窓を開けて、叫ぶ。
するとその突然の俺の行動に、そら、は対応出来なかったのか弓矢を放ちまくっている手を止めずのまま。
俺の額に勢い良く吸盤の弓矢を打つけてきた。
まさかの事に俺はビックリしながらそのまま後ろにひっくり返って床に思いっきり叩き付けられて。
痛みが背中を走る。
ドサッ!
「痛え!」
「.....っ!」
ひっくり返った瞬間に何か聞こえた。
そら、の悲鳴?の様な。
と思った次の瞬間、俺の手元のスマホが鳴り響く。
俺は直ぐにひっくり返った時に吹っ飛んだ床に落ちたスマホを見る。
それは先程の非通知。
つまり、そら、と思われる人物の電話だった。
俺は眉を顰める。
「何だこりゃ.....」
プルルルル、ピッ
「.....お前.....そら、なのか!?」
『大丈夫か』
俺は弓矢を恐れてのと、こっそりと見る為に。
隠れながら窓の外を見る。
そこにはジェイソンマスク野郎が、スマホに何らかの装置を付けて話していた。
その為こっちにも、そら、が話している声が聞こえる。
って言うか、何でコイツはこんな近距離でボイスレコチェンジャー.....ってか突っ込む場所はそこじゃねーけど!
こんな感じで話してくるんだ!?
意味が分からない!
「いやまぁ、無事っちゃ無事だけど!.....お前さ、何でボイスレコチェンジャープラス電話なんだよ!?」
『言ったでしょ。恥ずかしいって』
何言ってんだこのバカ。
お○ん○ん言ってましたよね?貴方。
俺はその様に思いながら、静かに聞いてみる。
「.....お前、何で.....突然、俺に対して電話してきたんだ?この3年間、電話して来なかったって言うか、俺も悪いけどさ.....」
『.....それは.....言えない。恥ずかしい』
何を言ってんだコイツは。
貴方、おち○ち○見せろ言ってましたよね?さっき。
いや、こんな事を思う俺も恥ずかしいんだけどさ!
コイツの羞恥の場所ズレてね!?
俺は頭をガリガリガリガリ掻きながらツッコミを入れた。
「つーか.....ああもう良いや!とにかく顔見せろ!ジェイソンマスクじゃ話し辛いんだよ!怖いし、色々とな!」
『.....嫌だ.....恥ずかしいから.....』
あのな、この野郎。
俺は窓から外を見て、そら、を見る。
向かいの窓は開いたまま。
ジェイソンマスク姿の少女が立っていて、よく見ると、制服を着ている。
制服ジェイソンってか、オイ。
「あのな!直接話してくれよ!オイ!」
『嫌、だ』
「.....くそう.....折角.....3年ぶりの会話なのに!くそう!」
すると、いきなり、黒カーテンをシャッと閉められた。
窓も閉められ、全てをシャットアウトされ。
完全に幼馴染の姿は見えなくなった。
ちょ、ええ!?
思っていると、電話から声が。
『明日、お○んち○の写真頂戴』
「どこぞの怪盗みたいに言うな!」
『じゃあね』
あ、オイコラ!
俺はその様に言ったが。
スマホの通話はそのままブチっと切れた。
俺は盛大に溜息を吐いてから。
直ぐにコールを試みたが、繋がらないし駄目だった。
何なんだ一体。
☆
『次のニュースです。強盗致傷の罪に問われた中島被告は検察庁に送られ.....』
「母さん」
夜の事だ。
ニュースの音しか聞こえない、静かなリビングにて。
俺は黙々と食べる、テレビを観ていた母親の鋼深雪(はがねみゆき)に聞いた。
白髪が有るが、シワもあまり無く、それなりにとても綺麗な母さん。
俺の言葉に直ぐに此方に顔を向かせてニッコリとした。
「.....どうしたの?雄大」
「母さんって、そら、にここ最近、会った?」
その問い掛けは。
かなり悩む問い掛けの様だった。
手を顎に添える、母さん。
それから俺に首を振って答えた。
「うーん、最近は会ってないわね.....悠木さんもそらちゃんの事については何も話さないから、聞いてないわ。ゴメンね」
「.....」
何故なのか。
俺に何故突然と接触して来たんだ?
いやまぁ、もしかしたら俺の所為かも知れないけど。
それでも意味が分からない。
思っていると、横に居たクソ妹、鋼葉月(はがねはつき)が話し出した。
髪を後ろで結んで、茶髪に染めて。
俺の1才下の妹。
顔立ちが整っているので、よく彼氏を取っ替え引っ替えしているビッチと聞くが。
そんな妹は俺に対して手をヒラヒラさせて、小馬鹿にしてくる。
「あー。もしかしてまだ、そら姉さんを求めてるんだぁ。うわ、キモッ」
「葉月。そんな事を言ったらいかん」
眉を顰めた俺に、飯を食べていた親父の鋼小太郎(はがねこたろう)が同じく眉を顰めて威厳を放つ。
短い髪の毛で、目がこの家で一番、威圧感、貫禄が有り。
俺似の顔立ちだが、目付きは滅茶苦茶に鋭い。
流石は警官だな、とその様に思う。
これに対して、葉月はウッと言葉を止めて、顔を不愉快そうにしてそのままご馳走様!と言い放ってリビングから去って行った。
親父と葉月の仲はイマイチだ。
恐らく、思春期だからだろうけど。
親父と母さんとの仲は俺は良いのだが何故、妹のみあんな感じなのか困ったもんだ。
その様に思いながら、俺はガキの事は良いか。
と思い、食器を持って。
「んじゃ、俺も上がるわ。親父。母さん」
「.....勉強をきちんとしろよ」
「はいよ」
そして台所に向かって食器を片付けて。
手を上げて、上がって行く。
その様子を、母さんと父さんに見られながら。
俺はそれを確認して、考える。
『お○んちん』
ちょ、いかん。
女子が言ったと思うと衝撃が強くて今でも頭に浮かぶ。
一体、何故なのだ。
アイツそんなに変態だったか?
☆
カリカリカリ.....
「.....」
小説は読み終わったので、代わって勉強をする。
苦手分野の数学とか英語を主に。
そして1時間経ち、見事に勉強に飽きてきた。
うむ、ここらで休憩といこうか。
「.....はぁ。カクヨムで、そらき、さんの投稿でも読むか」
息抜きにそうする事にした俺。
そらき、さんはラブコメで有名な小説家だがネット上にも特別編として小説を上げている。
他の小説家でもきっと有り得る話なのだろう。
カクヨムというサイトはそういうのが多いので。
「.....うお!更新されてやがる。どれどれ.....」
今日はどうやら、ラブコメでは無く。
エッセイの様だった。
かなり短い文だ。
俺はワクワクしながら、読む。
(今日、私は久し振りに幼馴染と電話で会話しました。女の子です。とてもワクワクして。でもその子とは私は恥ずかしくてなかなか話せずにいました。何故なら私はその子と会うのは3年振りだからです)
ほお、今日の、そら、との遭遇に似ているでは無いか。
俺はその様に思いながら、エッセイを読んでいく。
次いでにハートマークも付けながら。
(3年振りに会った、その子は簡単に言えば魅力的に感じました。とても格好良くなっていて。私は女ながらに魅力を感じました。その子はとても私にとってかけがえのないお友達です)
「ふむ」
俺はのめり込む様に読み続ける。
流石は、そらき、さんだ。
全く飽きんな。
でもなんか.....凄い身近に感じるのは何故だ?
(私が小説家になろうと思ったきっかけもその子でした。ある日、その子はこの様な言葉を話したのです。『言葉ってのは夢を紡ぐ事なんだ』って)
「.....へ?」
あれ、これ俺が言った言葉にかなり似ている?
と、思っていると。
突然、ページがエラーになった。
何だ!?
(このページは削除されたか、あるいは表示出来ません。エラーコード401)
「.....何だってんだ」
俺は目をパチクリして。
何回もカチカチしたが、結局二度と。
そのページは開けなかった。
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