残虐者
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第1話 コノエ
僕は、普通の子供だった。
言われたことは大抵できたし、こなせた。
でも、[両親が普通じゃない]と周りから言われた。
両親は人種が違った。
この村では魔法使いと魔女が結婚して子供が生まれる。
でも僕の両親は父親が魔法使いで、母親が狼だった。
僕には父さん譲りの青い髪と魔法使いの血、母さん譲りの狼の耳とするどい嗅覚があった。
だから僕はよくいじめられた。
「動物が、こんなとこで何してんだよ!」
「大人しく森に帰れ!」
罵声を浴びせられ、殴られた。
僕はそれが理解出来なかった。
「ねぇ、父さん。動物と魔法使いが結婚しちゃいけないなんて法律でもあるの?」
「この村はね、魔法使いと魔女が結婚するのが当たり前なんだ。でも、父さんは魔法使いで、母さんは狼だろう?法律はないが、父さん達は普通じゃないんだ」
父さんが、僕に教えてくれた。
その2年後、母さんは村の人に殺された。
「動物なんかが、この村にくるな!」
そんなくだらない理由。
葬式は、行うことができなかった。村の人が許してくれなかったんだ。
どうして、母さんはこんな目に合わなきゃいけない。僕が酷く悲しんだ所をみて周りはそれを笑っていた。
「死んで当然だ。あんな狼。さっさと森へ帰らないからこうなる」
母さんを殺した奴が嘲笑うかのように言う。
気づいたらそいつの家にいた。
そいつは目の前で血を流して倒れてる。そいつの子供も、妻も同じようにして倒れてる。
手の平にむず痒さを感じたので、手を見ると魔法陣が書かれていた。
得意としていた
それを見た瞬間、体から大量の汗が流れ出てくるのがわかった。
「人を殺すことだけはしないで。何があろうと」
母さんが言っていた言葉を思い出した。
急いで家に帰って、父さんに相談しよう。
そいつの家を出て、急いで家に帰る。
素足だから砂が足につく。痛い。
「と、父さ………………!?!?」
そこには天井から首を吊るして死んでいる父さんがいた。
そばには手紙があり、中身を読んだ。
「ごめん、コノエ。先に逝く父さんを許してくれ。
私は…お前も、母さんも守れなかった。守れなかったせいで母さんは死んだ。コノエも、いじめられていたんだろう。この前、お前の腕の怪我を見た。
私は何もできない。魔法使いとしても、出来損ないの方だった。そんな私をコノエと、アリサ《母さん》だけは愛してくれた。嬉しかった。コノエのような、優しく明るく、楽しい子と。暖かいアリサに私は救われた。
でも、私はそれを仇で返した。これは、私の罪滅ぼしのようなものだ。ごめんな。コノエ。私のようにはならないでくれ。立派な人間になって大きくなってくれ」
悲しみよりも吐き気がきて吐いてしまう。
苦しい。辛い。痛い。
そんな感情を、全部吐いてしまいたかった。
11の僕にはキツかったんだろう。
僕はふと思った。
「こんなことしてるよりも、人殺しをやった方がいい。母さん達に従って生きてきたからこうなった。全部捨てろ。全て変えるんだ。口調も身なりも。僕の考えを否定するやつは、皆殺しにするべき」
そう思ったから、村の人を1人残らず殺すことにした。
「私が悪かった!二度とこんなことはしないから…!頼む!!殺さないでくれ…!!」
死ぬやつが必ずいう
そいつの上からナイフの雨を降らすのは快感だった。
僕はいつの間にか笑みがこぼれていて人を殺す楽しさを覚えた。
殺した奴とともに、父さんの手紙を燃やした。
「あは、あはははははははははは!!!!!!!!」
壊れた、殺人鬼。
それは自分にでもわかった。
でもそれは、もうすでに僕に止められることではなかった。
そんな中、1人の女の子が僕を見ていた。
「……まだ生きてるやついたんだ。出てこなきゃ死ななくてすんだのに」
僕はそのこに向けて夜火玉を放った。
「お願い。私を連れて行って」
ぼんやりと聞こえた声。
はっきり聞こえる前に、夜火玉はとどいた。
「これで、全員死んだかな?」
「お願いだから、私を、あなたの世界に連れて行って」
声がして後ろを振り返ると、さっきの子が立っていた。
「お前、僕の魔法避けた?」
「避けてないよ。逃げるんだ」
「魔方が?」
「うん」
「くだらねぇ」
また魔法陣を出して飛ばした。それでも少女は立っている。
慌てて何発も出す。それでも少女は立っていた。
「…!!」
「嘘じゃないよ。現に夜火玉《それ》をだしても私は死んでないじゃん?」
前から魔法には自信のあるほうだった。
特に魔法陣を使っての魔法。百発百中。
よく父さんに褒められていた。
でもこの女の子には当たらない。
なんで……。
「なんで…なんであたらないんだよ…!」
「…私は、普通に魔法使いと魔女の子」
その女の子は語りだした。
「でもその中でも強力だった。私は力が強すぎて両親は死んじゃった。そのあとも色んな人が世話をしてくれたけど1ヶ月もたないで死んじゃうの。私が8つの時には、周りに誰もいなかった。忌まわしき存在…[忌み子]って言われた。この村が大嫌いだった。その村をあなたは壊してくれた。だから…私はあなたを尊敬する。連れて行って。あなたの世界に」
「いいよ。その代わり、僕の邪魔はしないでくれよ」
「やった」
少女は嬉しそうに持っていたうさぎのぬいぐるみを抱きしめた。
僕はなんで言った?「いいよ」なんて。
この子はこの村の子。殺さなくちゃいけない存在。
この村は僕達家族に対する殺意の匂いで溢れていた。
でもこの子は違った。優しい、甘い匂い。僕に殺意も敵意もない。
この子は味方だと本能的に思ったのかもしれない。
「お前名前は?」
「スノウ。スノウ・ホワイト。10だよ」
「スノウ…ね。僕より1つ年下だ。僕はコノエ。コノエ・ルーザー。これからよろしくね、スノウ」
「よろしくね。コノエ」
残虐者 Ad3 @kokuyoutou
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