徹夜の朝おん

@oriron

ラノゲ用


週末は夜更かしできるチャンスだ。

俺はゲームを集中してプレイするためにコンビニへ補給しに行ったが、そこで気になる商品を見つけた。


「ん? 新発売のエナジードリンクか。飲んでみるか」


よく見ると、カフェインの含有量は低いが、その代わり見慣れない成分が羅列してある。

あまり考えずにカゴへ入れ、レジにもっていく。


「お会計765円になります。700円以上なのでくじをどうぞ」

「ん」


引くと、カゴに入れたエナジードリンクと同じものが当たった。

まあそういうこともあるだろう。

とりあえず外に出て一本飲み干す。

そうすると、こちらを見つめる視線に気づいた。


「すみません」

「ん? 何でしょうか?」

「その飲み物って……」

「あぁ、新発売のやつみたいですよ……2本あるので、1本どうぞ」

「え、いいんですか!」

「まあ、元はタダなんで」

「ありがとうございます……では代わりにこれを」


そういってもらったのは、栄養ドリンクのようなものだった。

何でも箱で買って余っているらしい。


「!! これ美味しいですね。まだありました?」

「え? えぇ……何本か」

「買い占めても?」

「どうぞ」


その人物は鬼気迫った表情で中に突撃していく。

もしかしてやばい奴と関わったかもしれない? と思ったので、俺は早々と自宅へ帰ることにした。


「さて、やるか」

食事も済ませた。エナジーも注入した。ついでに翼を生やす準備もできている。

ふと、置かれたままの栄養ドリンクが気になった。

「ついでに飲むか。よし!」


そうして、俺はヘッドホンを装着。ゲームパッドを構えた。




ふと気づくと、周囲は徐々に明るくなっていた。

鬱陶しい前髪を払いながらヘッドホンを外す。

何故かファサァと髪が広がって落ちた。


「……?」


気のせいかと思って立ち上がる。


「おっとと……」


徹夜明けのせいか、身体がふらついてしまう。

バランスが取れないくらいに俺の身体は疲れているらしい。

そして、勢いよくカーテンを開ける。


窓には、俺ではない誰かが映っていた。


「……え?」


そのまま呆然とするも、日が昇るのは待ってくれない。

太陽の光が強くなるにつれ、俺の骨格がギシギジと悲鳴をあげる。


「あぐっ! あがっ……なん、だこれ」


そのまま立っていられなくなり、窓の前で蹲る。

しかし、太陽の光は降りそぞくのを止めない。


「いてぇぇ! ぐぁぁあ!」


強烈な痛みに隠れているが、身体の内部が作り変えられていく感覚もある。

咄嗟に股にあるはずのものを握ろうとしたが、既に手遅れだったらしく空振りした。

そのまま身体を抱え、胸が引っ張られる痛み、骨が軋む痛み、そして内部が強制的に作り変えられる痛みに我慢する。

どうしてこんな理不尽に襲われるのかと、頬を涙が伝ったのはわかった。


そのまま何分呻いていただろうか。ようやく身体の痛みが引いてきた頃には、太陽も完全に顔を出していた。

蹲ったまま見た窓には……黒髪の小柄な少女が一人、映っていた。


「……夢だろ、これ」

痛みも随分と引いてきた。ならば取るのは一つだ。

「徹夜明けで幻像でも見たか。寝よ」


そうしてフラフラと立ち上がり、そのまま布団へダイブする。


「……ひゃわっ!」


そして、胸が潰れる感覚に慌てて飛び上がった。


「嘘……だろ?」


いくら徹夜明けとはいえ、感じた違和感まで幻覚なわけがない。

おそるおそる、その左手を自身の胸へと持っていく。


「……やわらけぇ」


そのまま何回か揉み、感触を楽しむ。

いつの間にか、片手ではなく両手で両胸を触っていた。

何度か繰り返していると、手のひらに何やら違和感が出てきた。

手だけではない。胸からもピリッとした刺激が伝わってくる。


「んっんっ、これ、もしかして……うわぁ」


視線を下に向けると、小さくはない膨らみが眼下に広がっていた。

そして膨らみの左右には、それぞれ不自然な突起がある。

夏はTシャツと短パンスタイルなので、服の上からでもその主張が明らかにわかる。

「……ごくり」


今、服の下には想像通りの光景があるだろう。

着衣も捨てがたいが、それは対面から見る場合だ。

真下に広がる光景、それもすぐ手の届く範囲での光景を見たいという好奇心は止めることはできない。

俺は勢いよく服を捲りあげた。


バッ!

「ひゃぁぁあん!! ハッ、んんっ!」


自分の口から出た声に、咄嗟に口へ手を当てる。

そして手が離れたことによって、服は下に落ちる。

その際にまた、胸の先端部分を刺激されたことによって声が出てしまう。

サイズがきつくなったTシャツを捲るのは、どうやら刺激が強すぎたらしい。


「んんっ……ひゃぅ……あぅん……ふわぁ……ぁんっ!」


無駄に大きくなった胸に何度か引っ掛け、その際に何度も胸の先端を刺激されながらもTシャツを脱ぐことに成功した。

そして、そこに広がっていた光景に目を奪われる。


「……おおっ」


立派な二つの双丘。それが何故か俺についている。

居ても立ってもいられなくなり、そのまま洗面所に走る。


「んんっ、これが胸の揺れる感覚か。痛っ」


肌が引っ張られ、胸がプルンと揺れる感覚には慣れない。

そのまま洗面台に辿り着くと、そこには呆然とした半裸の美少女がただずんでいた。


「これが……俺?」


鏡を見ながら顔をペタペタと触る。

大きく開いた瞳、長い睫毛、小さく形の整った鼻、そしてぷっくりと膨らんだ唇。その全てのパーツが、目の前に映った小さな顔に詰め込まれている。

そして視線はそのまま下へ。

大きさも十分で、釣り鐘型の綺麗な膨らみだ。下から掬ってみる。


「おおっ、重い」


身になって初めてわかる重量感。

これなら肩が凝るというにも納得できる。

そして、すぐ横には浴槽がある。


「……まずは、確かめないとな」


そうして下も脱ごうとしたとき、それはやってきた。


「うっ、尿意が……」


さっきまで集中していたせいだろう。

少し動いたせいもあり、急に尿意が襲ってきた。

上半身は裸のまま、胸をプルンプルンと揺らしながらトイレへと駆け込む。

そして便座をあげて気づく。


「あれっ、ない! うぐ……急がないと」


慌てて便座を下ろし、下も勢いよく下げて座る。

そして力むも、中々でてこない。


「どうなって、うわぁ……」


下を見ようにも、立派な双丘に遮られてよく見えない。

仕方ないので、手探りで股の辺りを弄る。


「この辺かな……ふやぁん!!」


いきなり身体中に電流が走り抜けた。

そしてその衝撃で力も抜けてしまったらしい。


「ぁっ……ぁぁっ……!」


男のように出しているではなく、身体から漏らしているかのような感覚に翻弄される。

試しに止めようと力んでみても、全く止まる気配はなかった。


「んっん……はふぅ……」


ようやく全部出し終えたらしい。

男のように振ることができないので、推測になるが。


「最後は……拭く、んだよな」


おそるおそる、その領域へと手を伸ばす。

今度は外さないように、そっと、その場所へ。


「んんっ……っあ、こんなん、声出るだろ……」


俺が男だったせいか、些細な動作一つでも声が出てしまう。

そして全てのミッションを終え、トイレから出る頃にはどっと疲れが出ていた。


「身体を……洗うか?」


横にはシャワー、しかし疲労困憊だ。

それでも、なぜ女になったのか。いつまでこの状態が続くのかわからない今、できなかったと後悔したくはない。


「……よし!」


気合を入れるため、翼を生やす。

飲み慣れているはずのそのドリンクは、なぜか今の俺には苦い薬にしか思えなかった。

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