第5降

 転人たちは、ダイスダウン大会のことを知るため、以前に行われた大会の映像を見る。

 浮梨と、五ノ目ごのめ生徒管理役委員会、通称『首貶役くびおとしめやく』員長の穂ノ瓜ほのうり炎土えんどが闘う場面だった。


 ただ今回のダイスダウンは、以前のものとは大きく異なっていた。


 『開催告知が突然されたこと』

 『“役目負いキャスティング”が義務であること』

 『ふたり一組で闘うダブルデュエルであること』

 『優勝賞品は“喝采白主への挑戦権”であること』


 これは罠かもしれない、と転人たちは考えをめぐらす。


 大会についてを話し合う転人たちだったが、その場には魚井の姿もあった。

 魚井は、『WING』を転人に手渡し、大会には出ないと宣言して、さっさと退室してしまう。


 浮梨は、魚井が首絞役員であり、『WING』を持っているから同席してもらったと話すが、どうも釈然しゃくぜんとしない。

 浮梨自身も、魚井を呼んだ理由を整理できていない様子だった。

 転人たちにもわかるほど、浮梨は、なにかに迷っているような、らしくない様子を見せていた。


 転人と三儀、浮梨と紙芸、願石と穂ノ瓜がそれぞれチームとなり、大会に挑むことになった。


 三回戦まで進んだ転人と三儀は、追志と送と闘うことになり、お互いに一進一退の攻防を見せたが、三儀の機転のおかげで勝利をおさめることができた。


 同じく三回戦で、浮梨と紙芸は、願石と穂ノ瓜と闘っていたが、浮梨はまったく勝とうとしていなかった。

 願石と穂ノ瓜にあとをまかせて、三儀の件に積極的に関わろうとしていなかった。


 そんな浮梨に対し、紙芸は「大切なもののために迷うのはやめなさい」とさとす。

 そして、自身がなぜ浮梨とともにいるのかを示すことで、浮梨の目を覚まさせようとする。


 浮梨は、紙芸が見せた「大切なもののために自分をも殺す」姿勢を目の当たりにして、自分はなにをやっているんだと考え直す。

 そして紙芸とともに、願石と穂ノ瓜を一瞬にして蹴散けちらし、勝利した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る