第3降

 首絞役員となった転人は、就任しゅうにんしきという名目めいもくで、白主から呼び出しを受ける。


 運悪く浮梨が不在だったため、転人と願石のふたりで、白主の待つ株式会社NOQSノックスへとおもむくことになった。


 三儀は、自分も行くと主張したが、浮梨が呼んだ、ニノ目にのめ生徒管理役委員会、通称『首切役くびきりやく』員長の紙芸しげいいとなとともに、留守るすばんをすることになった。


 転人たちがおとずれたNOQSには、三ノ目さんのめ生徒管理役委員会、通称『首刎役くびはねやく』員長の追志おいしいのりと、四ノ目よんのめ生徒管理役委員会、通称『首晒役くびさらしやく』のおくりこよみがいた。

 追志は、ダイス『FUGUフグ』を常に“役目負いキャスティング”させており、大きなフグが彼女のまわりを泳いでいた。


 転人たちは、彼女たちと軽い雑談ざつだんをしながら就任式を待っていたが、そんな転人の目の前に、妹の巻菜の姿をした少女が現れる。

 転人は、取るものも取りあえず、その少女を追ってしまう。


 少女は、白主の傀儡かいらいであり、巻菜をよそおって、転人をおびき出したのだった。

 そして、少女はその身体に白主を憑依ひょういさせて、転人にダイスダウンをしかけてきた。

 転人は、そのダイスダウンが罠だと気がつきつつも、白主の口車くちぐるまに乗って、それを受けてしまう。


 転人は『DOG』とともに、白主と彼のダイス『DISASTERディザスター』に食らいつく。

 『DISASTER』の地震を利用した攻撃の裏をかき、寸前すんぜんのところまで追い詰める。


 しかし転人は、気がついたときには、地に伏して、苦しみもがいていた。


 白主の魔の手は、ダイスダウンが始まる前から伸びていたのだった。

 だから、そもそもこのダイスダウンは、白主の手のひらの上のできごとでしかなかった。

 転人は、そんな白主の手のひらの上で、ただ踊ることしかできなかった。


 転人はそのまま、白主の傀儡にさせられそうになるが、運よく願石がその場に現れ、なんとか脱出することができた。


 しかし転人は、白主によって、妹の最期の瞬間をくり返し見せられ、自分を見失い、最後には闇へとおちていってしまった。

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