第6話🌠旅行とお土産

八月になり、今日は旅行に行く日。


電車は毎日乗っているから

車で行くことにした。


典満さんと里紗湖さんに

挨拶をしてから行こうと思い、

美都果にはそっちで

待っているように言っておいた。


チャイムを鳴らすと美都果が出て来た。


『おはよう、京冴さん』


何時もの笑顔で出迎えてくれた。


『おはよう、美都果』


その後、玄関口まで来てくれた

二人に【いってきます】

と告げて車に乗った。


高速に乗り、隣の県へ。


時間はたっぷりあるから

途中のサービスエリアで少し休憩して

目的の宿までのんびりと車を走らせた。


助手席に座ってる美都果の横顔を

チラッと見ながら胸に灯った

安心と幸福を感じて、

こういうのは久しぶりだなぁと思った。


二時間かけて着いた。


『空気の美味しい所だね』


森の中に建っているペンションは

三年前にできたばかりだ。


都会のガヤガヤ感から

抜け出したくて此処にした。


『ぅゎぁ~可愛い♡♡』


中にもかなり綺麗で可愛らしい。


意外と可愛い物好きの美都果は

気に入ったみたいで目をキラキラさせている。


「いらっしゃいませ」


カウンターの奥から俺より

少し若い男女二人が出て来た。


『予約をした笹野部です』


このペンションをネットで見つけた時、

いかにも、美都果が好きそうだなぁ

と思って直ぐに予約した。


「笹野部様ですね。


当ペンションにお越しくださり

ありがとうございます。


私、オーナーの

須野原百合亜すのはらゆりあ

と申します。


隣にいるのが、

夫の須野原凛月すのはらりつきです。


お泊まりは二泊三日・お二人様で

お間違いないでしょうか?」


若い夫婦だな。


『はい、間違いないです』


案内されたら部屋も可愛らしかった。


「食堂と売店、お土産物屋さんは

一階の奥になります。


何かご入り用でしたら

私か夫にお声かけください」


そう言って、彼女は部屋を出て行った。


ღ¸.✻´`✻.¸¸ღ¸.✻´`✻.¸¸ღ¸.✻´`✻.¸¸ღ


今日はとりあえず、散歩に

出掛けようと思っている。


『美都果、散歩にいかないか?』


森の中は比較的涼しいから

中心部よりは熱中症に

かかり難いと思うが対策は大事だ。


愛用の鞄に貴重品とスマホ、

それから、売店で飲み物を買ってから

須野原さん夫妻に散歩してくるむね

伝えてからペンションを出た。


『風が気持ちいいね』


美都果も同じことを思ったらしい(๑•᎑•๑)


緑に囲まれて、空気が澄んでいて

程よい風が吹いている。


『来年は、里紗湖さん達と四人で来よう』


約束したしな*♬೨


『うん♡♡


ばぁちゃん達、喜ぶよ』


戻ると奥からいい匂いがしてきた。


このペンションは予約時に

“食事あり”か

“食事なし”か選べる。


「お帰りなさい」


入り口カウンターに立っている

奥さんに出迎えられた。


「夫は食堂で夕飯の準備中です」


旦那さんが作るのか。


料理男子ってやつだな*♬೨


『そうなんですね(๑^ ^๑)』


「夕飯は七時ですので

時間になりましたら、

お部屋まで呼びに行きますね」


俺は食事ありの方で予約していた。


『わかりました』


夕飯までは時間があるみたいだから

二人とも、シャワーを浴びてさっぱりした。


呼び来た須野原さんとともに

食堂に向かうと数人の先客がいた。


どうやら、このペンションの宿泊客らしい。


美都果と二人で案内された席に座った。


「只今、

お持ちしますので少々お待ちください」


かくして、料理は最高に美味しかった。


食後は部屋でのんびりと過ごした。


ღ¸.✻´`✻.¸¸ღ¸.✻´`✻.¸¸ღ¸.✻´`✻.¸¸ღ


二泊三日なんてあっという間過ぎてしまう。


今日は旅行最終日で

美都果と朝からお土産屋さんに来た。


昼過ぎ、須野原さん夫妻に

挨拶してペンションを出た。


その足で里紗湖さん達の所へ向かった。


『ばぁちゃん・じぃちゃん、ただいま』


チャイムも鳴らさずに玄関の前で叫ぶ

美都果を見て可愛いなぁと思った。


声に気付いた二人が玄関を開けてくれた。


「二人ともおかえりなさい」


里紗湖さんが順番に抱き締めてくれた。


お土産に買って来た塩羊羹を食べながら

二泊三日の旅行の話をした。


『来年は、四人で行こう』


美都果が二人を見ながら提案する。


「そうねぇ、じゃぁ来年は

私達も連れてってちょうだい」


孫の誘いに嬉しそうに応えた。


『決まりだね♬*.+゜』


向き直り、キラキラした目で俺を見ると

手をギュッと握って来た。


ちなみに、塩羊羹は

俺からの土産で美都果は

勾玉のストラップを買っていた。


里紗湖さんにはピンクのを。


典満さんには緑のを。


結局、夕飯をご馳走になり、

泊まらせてもらった。

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あの頃には戻れない…… 華愁 @ichhigopanda0303

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