教えてほしいんだ。

@888225

第1話

教えてほしいんだ。。。

若い頃バイクで旅してた頃の事を話す。

どこだったのか場所は忘れたが。

北海道って事だけは覚えている。

夕刻にキャンプ場の看板をみつけたんだ。

疲れていて泊まろうと決めた。

看板の矢印が示す先は山の高く先へとのびていた。

登っていくと木々の暗がりに入ってところどころに間隔を開けてキャンプ場の看板が設置されている。

誘いこまれるように進んで暗がりから一転開けたトコロに出た。

いつのまにか夜になっていて月夜の下に広々と墓地がのびていたんだ。

気味の悪さをこらえて先に目をやると小さく看板があって奥の闇に小道は続いている。

オレは「無理っ」とつぶやいて来た道を小走りに戻った。

街の灯りがとどく下り坂まで来てどっと疲れを感じその場にへたりこんだ。

こんな時間に人などこまいと思ってウトウトとしかけた頃意識のまにまに女の泣き声を聞いた。

「シクシク」とまるでTVのなかの出来事のようで、覚醒してからもはっきりと鮮明に聞こえた。

身を縮こませながら周囲を見たが山肌の闇と野良猫の眼光を見るだけだった。

「やばっ」

オレはなぜか半笑いになりながら駆け下りてバイクのエンジンキーをまわした。

かからないかもま

悪夢の結末を思い浮かべながらも現実はそんな事もなくブルルンと音をたてて始動した。

オレはフルスロットルでその場を離れた。

そんな事が若い頃にあった。

ときおり思いだす。

あれはなんだったのか。

今でも女の泣き声をはっきりと思いだす事ができる。

夢幻のようにうつろげなものではなく生々しく響いた。

あの現象は疲れが起こしたバグなのか。

もしくわ

この世は薄皮一枚めくれれば未知の部分にまみえるような気まぐれなものなのか。

そういう事なのだろうか。

年月が経った今 キャンプ場 墓地 北海道と検索する事があるのだがなにもつかめず。

あれはどこだったのか。

あれはなんだったのか。

誰かオレに教えてほしいんだ。。。

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教えてほしいんだ。 @888225

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