第2話 日常

くだらない事ばかりを考えて生きている。それも無駄に深く時間をかけて。


学校が終わると大体、友達の「リーダー」の家に仲の良い4人組で溜まる。中学では特に仲が良いと言った訳ではなかったが、同じ高校に入学してから共通の知り合いを通じて頻繁に遊ぶようになり、今では一緒に居るのが当たり前になっている。本当は寂しがり屋で責任感が全くない男なのだが、なんだか憎めなく、女性経験が4人の内の誰よりも豊富なのでリーダーと呼ばれるようになった。

「 やき弁食う?」

優男でもあるリーダーは家に着くと自分達を気遣って地元のソウルフードをキッチンにあるお菓子やインスタント食品が入った籠から取り出してきてくれた。

「 じゃあ、俺お湯沸かすわ。」

リーダーに全部用意させた方が楽なのだが、流石にそれは可哀想なのでお湯くらいは自分で沸かす事にした。

「 アナルとしなさんの分も沸かしてくるわ。」

「 ありがと。」

2人はそれぞれシミの付いたソファーと銀色の薄汚れたバランスボールの上でグダッとしている。

自分を含め3人とも、まるで自分の家の様にくつろいでいる。

リーダーの部屋は少し変わっていて、風呂場もシンクも完備してある。元は二世帯住宅のように今のリーダーの部屋に祖父母を住まわせる予定であったらしいのだが、取り止めになった為そこがそのまま長男の彼に与えられた。リーダー以外の家族は上の階で生活しているので、俺達は気兼ねなくだらしなくなれた。なので、ここが溜まり場となったのも自然な事だった。


ヤカンが熱に耐えきれず、ピーと鳴く。

それを合図にそれぞれ用意されたやき弁の容器に順番にお湯を注ぎ、3分間自由に待つ。

自分は3分より少し手前で、事前に付属されているスープの素を入れておいたコップにお湯を分け、残りはシンクに流す。硬めに食べるのが最近のマイブームなのだ。昼休み以来何も口にしていなかったので、みんな一斉にがっついた。


「 あぁ〜。奈々ちゃんとやりてぇ〜...。」

ずずずっ、と四方で音が立つ中、俺は呟いた。

「 いや、それは性欲で目にフィルターがかかってるから可愛く見えているだけだって。」

「 でも、おっぱいデッカいじゃん!」

「 おっぱいしか見てないのかよ。」

このメンバーの中では一番常識人、の皮を被ったど変態のアナルが突っ込んできた。こいつの意見はアナルのくせに意外に的を得ているので4人のブレイン的な立ち位置になっている。アナルのくせに。

「 あぁ、でもなんかわかるわぁ....。一回やってみたいかも。」

「 でしょ!? 」

やっぱり君は分かってくれたかと、興奮の余り目を見開いて指をさした。リーダーと俺は妙に波長が合う事が多い。それをアナルはいつも同類だからだと言う。

「お前らは女の事になると大体下半身で考えてるから共感し合えるんだよ....。」

「俺もやりたいかも。」

「「「お前は学校違うだろ。」」」

夢中でやき弁をすすっていたしなさんが急に割り込んできたのを3人揃ってつっこんだ。

実をいうと、俺、リーダー、アナルの3人は同じ高校にいるのだが、しなさんだけは違う場所に通っていた。しかし、俺達を愛する余り、学祭などのイベントには必ず顔を出し、更にそこで他のクラスメイト達とも仲良くなり、あたかも在校生かの様に振舞っていた。クラス写真にまで紛れ込んでいたのが発覚した時は、3人共唖然としていた。

「 奈々ちゃんってF組のだよね?ライン持ってるよ。」

「「「........!?」」」

俺達は驚きの余り言葉を失った。

そうだ、忘れていた。こいつが「 カメレオンのしな 」という異名を持っているという事を。

「 流石の溶け込みっぷり...、感服いたしました。」

「 流石、シナレオン。」

「 同じ制服を着ずしてなお、うちの生徒になりきるとは…。」

あまりの見事なお手前に、それぞれ賛辞の言葉を惜しみなく彼に送った。

「 へへっ。じゃあ、そろそろ帰るわ。ホンジャマカ。」

彼は勝ち逃げをする様に賛辞を受け取るだけ受け取った後、にやにやしながら足早に帰っていった。


「「「...............。」」」


しばらく呆けた後、残された俺達はまだ圧倒されたまま、もうすでに冷めかけている麺を言葉を交わす事なく口に運んだ。

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おっぱい成人 @smilesaway98

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