おっぱい成人

@smilesaway98

第1話 追憶

毎日似たような事を繰り返して、他人が既に踏み慣らした道を通って、皆と同じ様に棺桶に足を踏み入れる。それが自分にとって、ゴキブリに襲われる事の次くらいに怖い。どうしてこの道を外れて自分の思うように歩いて行くのかが、今ではこの人生での1つの目標となっている。


はぁ。おっぱいが揉みたい。


頭の無い自分がこう深い、人生の事などを考えていると、すぐおっぱいに無邪気に顔を包み込んで、ぱふぱふに耽りたい思ってしまう。


よく考えればそうだ。


乳離れした後もずっとおっぱいを想っていた。おっぱいを触れない代わりに母の耳たぶを触るのが習慣になっていった。禁断症状を抑える為の応急処置だったとはいえ、中々心地良く、とても気に入っていた。四六時中触っていたもので、耳たぶと母の横顔の仲が少し裂けてきていた。母はいつも呆れた様に「やめて。」とだけ言って、自分の手を蚊を払う様に退けた。

自分は、この一連のやり取りも含めて母の耳たぶを触るのが大好きだった。


思春期になると母によく反抗した為に、触れる物も触れなくなってしまった。そうすると自然と自分の耳たぶをこねるようになっていった。これを自分の中では「 第2の乳離れ 」と呼んでいる。


触れなくなったとは言えども、もちろん隙あらばドサクサに紛れて触ったりしていた。喧嘩の最中に、母に反撃をするフリをして耳たぶを触るのが常套手口であった。母からは防御を捨て、耳たぶばかりを執拗に攻撃していたので何かに取り憑かれていると思われていたに違いない。やがて揉め事のほとぼりが冷めると、部屋に戻り黙って自分のを揉んでいた。


自分の耳たぶは厚い方では無かったが、何か考え事をする度にこねていたので言うならば下乳の様な触り心地のたぶになっていた。おっぱいを揉みたいという強い気持ちが自分の耳たぶを下乳に揉みあげた。何事もしつこく念じてやると、できない事は無いのだ。だから、耳たぶを下乳にできない事も無い。


放課後、仲の良い友達の1人にこの下乳根性理論を紹介すると、彼は「 そうだね。」と言って視線を泳がせ、苦しそうに微笑んでいた。

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