最初に「玉蘭花伝」というこの方の別作を読んでからこちらに来ました。おもしろいです。ジャンルは便宜上、「歴史、時代、伝奇」に分類されていますが、舞台が昔というだけで、中身はファンタジーであり、ミステリーであり、ヒューマンドラマです(ほかの方がレビューされているようにミステリーやサスペンス的な要素が多いのかなと)。星二つにしたのは、どちらかと言うとわたしの興味がミステリー的なものよりは別のところに比重があるからで、そういうのを好まれる方には星三つだと思います(もちろんわたしも驚かせてもらうのは楽しんでいます)。わたしがより好む部分については、星三つでも足りないくらいあります。本になったら手元に置いて、繰り返し読んでみたいような気がします。
ものすごくおもしろかったです。
緻密に編み込まれた伏線が、ひとつほどかれるごとに、はっと目が覚めたような気持ちにさせられました。
登場人物たちの、かけあいも楽しく、続きが知りたくて、どんどん引き込まれていました。
中華ファンタジーや、歴史ファンタジーがお好きな方は、もれなく楽しめると思います。
普段は西洋風ファンタジーを読まれている方等は、もしかすると1話目の漢字の名称等で「難しいかも!?」と引き返してしまう気持ちになるかもしれませんが、どうぞ引き返さず、そのまま突き進んでほしいです!
本当に、するする読めて、彼らの魅力と話の展開にどんどんどっぷり引き込まれる物語でした。
彼らが夢見る未来がそう遠くない将来、訪れることを願ってやみません。
かつて要衝として栄華をほこった廃城、沙州関。
そこに詰めていた兵士たちは自分が殺される悪夢に悩まされていた。
再建命令を受けた王子怜と、彼の従者として召し抱えられた萬春明もまた、その悪夢に巻き込まれていくが……?
架空の歴史を歩む中国を舞台とした、サスペンスドラマ。
いくつもちりばめられた伏線が終盤で結実する時、思わずうならされること請け合いです。
キャラクターたちにも一癖も二癖もある、ミステリアスな人々ばかりで、キャラクターたちに、それこそ夢の中へ引きこまれてしまうかのごとく思わずぐっと引き込まれてしまう力強い魅力があります。
夢か現か。本当に怖いのかどちらなのか。
読み終わった後、深い感慨とともに考えさせられる良作です。