エピローグ

バッドエンドが、嫌いだった。



小さいころから、さんざんバッドエンドを経験してきた。現実なんていつもそうだ、結局現実がいつでもバッドエンドなら、せめて小説だけでもハッピーエンドになればいいのにといつも思っていた。



 でも、初恋の人が、私に教えてくれた。


 傷つくことの大切さを。


 勇気の出し方を。


 自分の足で、前に一歩踏み出す力を。



 もう、迷わない。あの時の勇気をもって、自分の想いを伝えよう。




 狭い廊下を歩いていく。きっとあの人はもう、待っているだろう。手の汗は止まらないし、体中が冷えてかたかたと震える。足は凍ったように動かない。それでも、伝えよう。



「それで、話って?」


私は「バッドエンド」が嫌いだった。


「実は、伝えたいことがあって」


そう、あの時までは。


「僕も、伝えたいことがあるんだ」


でも、僕らはもう知っている。



「あなたが好き」



 最高のバッドエンドがあることを。

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最高のバッド・エンド 北原 さとわ @satowa

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