第6話 番外編 カーライル
「エナ。外に遊びに行かないか。新しいボードゲームで、草原で遊ぼう。」
ウルトリアの保護下にあるカーライルは夢の中の草原でエナを誘う。
「待ってカーライル。ドレスが引っかかるの。」
「泥々になったっていい。手を引いてあげるから待ってて。」
少年は手を引いたが崩れ、二人は抱き合う。そして二人は笑い出す。今度はエナとどんな遊びをしよう。カーライルはクラスの仲間達のことを思い出す。もっと外に連れ出してあげる。草原を渡って雲のような霧を抜け、海の果てまで。ずっとずっと遠くへ。君の知らない世界まで。家の中だけが世界なんて嫌だろう?僕が連れていってあげるよ。君と一緒なら捕まったっていい。刑務所の中で愛を成す。この前君と刑務所の中で抱き合う夢を見た。私も。捕まっちゃうのかな。でも僕らは別れ別れになっても夢で繋がってる。草原の中風が吹く。もっと食べないか?カーライルはエナにお菓子を勧める。とっても美味しい。街で母さんが買ってきたケーキなんだけど。エナもカーライルもお互い好意を抱いているが告白まで一歩踏み出せない。カーライルは待っている。自分が実在し彼女を愛していることを。
『待っている。』
カーライルを保護しているウルは言う。私はいかにも孤独な人間だ。妹以外生きがいがない。彼女のためだ。遊ぶのは許してやるが、君には学がないよ。当分私の保護下にいることだ。カーライルはやや不満気にうなずく。
エナの夢はそこで終わる。
未知の領域 上山ナナイ @nanai_tori
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