12話 町に潜む見えざる手

 夜。とっぷりと濃厚な闇に包まれた刻。

 霧咲は、祥山を家へ送り届けた後、藤磐家の門前に再び立っていた。今朝のように、インターホンを連打する。


 やがて、静かに門が開かれた。そこに立つのは、作務衣姿の明水。ほっそりとした輪郭が冷たさを帯び、さらに切れ長の目であるから、彼はよく「不機嫌そうだ」と誤解される。

 しかし、今の彼は紛れもなく不機嫌であると霧咲は経験から悟った。


 が、ここで空気を読もうとはしない。へらりと笑い、片手を挙げる。


「こんばんは。ちょいと、ご報告に参りまして。あと、綾乃さまに依頼していた件もお伺いしたく」

「あぁ、それについては構わんが……霧咲、インターホンは一回鳴らせばいいんだよ。そう何回も鳴らされちゃあ、うるさくてかなわん」

「あら、大きなお家なものだから何回も押さなきゃ聴こえないんじゃと思っていたのよ」


 皮肉たっぷりに返すと、明水は諦めのため息を吐いた。争いには向かない男だ。一歩引いて彼女を招き入れる。


「どうも」


 無言の明水だが、言いたいことは山とあるようで、彼女の前を歩きながらブツブツとぼやいていた。


「はぁ……横着なヤツやのぉ……」


 小さく吐き出される愚痴に、霧咲は聞かないフリをしておいた。彼女は人を困らせることが趣味なのだ。




 屋敷の中は、ひんやりと心地よい温度だ。

 古い建物であるが床板は軋むことはなく丈夫である。長い廊下を通り、明水に連れられて奥まった場所にあるふすまへ通された。


「綾乃さま、霧咲が来ましたよ」


 明水が密やかに穏やかな声音で襖に言う。すると、静かな綾乃の声がくぐもって聴こえた。


「どうぞ」

「失礼いたします」


 明水の後に続き、霧咲も「失礼いたします」と一礼してへやへ入る。中は行灯の灯りだけだった。仄かな橙が中心部に燃えているが、やはり薄暗い。

 綾乃は、入口から真向かいで正座していた。頼りない光が眼鏡に当たっている。彼女は、二人が室に入り、襖が閉められたと同時にゆっくりと二人を見やる。


「こんばんは、霧ちゃん。頼まれていたもの、調べたわ」


 ゆるりと安穏な声音。しかし、表情は固い。


「何か分かりましたか」

「えぇ。まぁ。明水兄さんに相談して正解だったわ。今のところは、私の閃きがまったくと言って使えないから。これっぽっちも降りてこないのよねぇ」


 どうやら、明水の負担が大きかったようだ。

 霧咲は明水をチラリと見やった。彼はいつでも無表情で、表す感情と言えば怒りだけである。

 読み取れない表情に諦め、霧咲は姿勢を正して綾乃の言葉を静かに待つ。


「國廣神社のウカちゃんね、どうやら相当な規模で話が広まっているようよ。既に、道真公が神さまたちに捜索を依頼しているみたい。博多はもちろん、北九州、太宰府、糸島、久留米くるめ朝倉あさくらまで情報は回ってる」

「あら、道真さままで動いているの? なんだか怪しいわね」


 つい口をはさむ。

 中洲の神が消えたというだけで、太宰府の大神が探しているなど思いもよらなかった。そして、福岡市のみならず県全域に渡る情報の速さに、霧咲は感心の息を漏らした。


 だが、菅原道真が動くほどの案件というのは不安を煽るもの。

 綾乃も段々と浮かない顔になっていく。


「怪しいと言えばそうだけれど、でも、味方なら頼りになるお方だわ。そこで、道祖神さまや勿論、道真公にもお話を伺ったの。そしたら、ウカちゃんがいなくなったのは昨夜の0時前後だろうというのがはっきりと分かったわ」


 綾乃は強い口調で話す。そして、一息ついて後を続けた。


「ウカちゃんはその日、と一緒にいたらしいの」


 その言葉に、霧咲は少しだけ腰を浮かせた。顔にも力が入る。


「大黒天……って、あの大黒?」

「そうよ。仲良くお酒を飲んでいたんですって。そこで、0時前には解散したらしいのだけれど、そこから行方が分かっていないようね」

「ふうん……大黒とねぇ……」


 中洲の大黒天と言えば、冥府の力を持つ神である。さらに、家なしだ。ふうらりと風のように流浪な神であり、危うい存在であり、それでも力は濃く強い。


 冥府の力でつくられるカミゴは、そのほとんどが「滅却」の神通力を備える。大黒天と縁を結んだだけで、力が移ることもある。

 そのために、慎一を北九州から博多へ送って寄越したのだ。大黒天が力を撒き散らし「滅却」のカミゴをつくらないために。

「滅却」の神通力は、何者も、何物をも消し去ることや、喰らうこと、欺くことができる。それは神も例外ではない。


「ウカちゃんの消失は、《消去人デリート》か《喰人カット》の仕業なのかしら」


 霧咲が誰にともなくポツリと訊く。すると、綾乃は静かに息を飲んだ。考えたくないのだろう。平和主義者で臆病な綾乃だから、また取り乱しかねない。しかし、その隙を与えないように明水が口を開いた。


「どちらかは判別できないだろうね。今の所は。しかし、慎一もそこまでは既にたどり着いているはずだろう」


 抑揚のない無感情な声で割り込むも、霧咲も綾乃も静かに耳を傾ける。


消去人けしびとの仕業ならば、倉稲魂命はまだ生きている。しかし、喰人くらいびとだった場合は望みが薄い――さて、黒崎こちらとしては博多むこうのことに首を突っ込んでいる暇はない。だが、無関係というわけでもない」


 彼の言う通りだろう。

 もし、博多から徐々に冥府の力が侵食していけば、北九州のこの地はおろか全国各地にも広まる可能性がある。


 神を消すという所業は大罪だ。

 神だけでなく、カミゴ、それを知らない人間にまで被害が及ぶ。

 守神によって平穏無事を約束されて、当たり前のように生きているのだ。それらが消えてしまえば、世の均衡は綻び、癌となる。なんとしても避けなくてはならない。


「とにかく、慎一には『消去人を探して博多カミゴ倶楽部へ渡せ』とだけ伝えてある」

「喰人だった場合は?」


 霧咲は食い気味に訊いた。

 明水はわずかに眉を上げて、不機嫌を表す。一方、綾乃は固唾を飲んで言葉を待っている。


「倉稲魂命を諦めるしかないだろうね……そんな事態は避けたいが。しかし、大昔にも似たようなことが起きたと、天兒屋根命あめのこやねさまから聞いたことがある」

「あぁ、あれね。喰人が現れて、神さまやらカミゴやらを食い尽くしたという……恐ろしいことが起きたって、私も子供の頃から懇懇こんこんと聞かされていたわ」


 綾乃もため息混じりに言った。

 その話なら霧咲も幼い頃より、父や母から聞かされていた。しかし、概要はよく知らない。


「でも、どうにかなったんでしょう?」


 何かしら異変があろうとも、菅原道真によって事は収まっている。また、道真を呼ばずとも各地にあるカミゴ倶楽部がその解決役を担っているのだ。

 霧咲の軽い口調に、明水と綾乃は顔を見合わせた。そして、渋い顔をつくる。重々しい。

 やがて、口を開いたのは明水だった。


「どうにかはなったけれど、それが常であるとは限らん」

「……まぁ、それはそうかもね」


 厳しい声に、霧咲はやれやれと肩をすくめた。


「じゃあ、もしもこの状況が消去人か喰人だったとして、一体全体、誰がどういう意図で混乱を起こしているのかしら」


「――大黒天……じゃあないの?」


 言ったのは綾乃だった。瞬間、霧咲は彼女をじっと見つめる。その視線に逃げず、綾乃も真っ直ぐに見返した。


「なにも先入観でものを話しているわけじゃないわ。今の所、まだ私には情報が足りないもの。ひとつひとつ事細かな情報が必要なのよ。だから、現段階での厳重注意ということで、慎一くんには私からも言っておいたわ。安心して」

「それならいいんです」


 穏やかな笑みを浮かべる綾乃に、霧咲は目を逸らしてボソボソと返した。そして、ゆるりと足を崩す。


「だぁって、綾乃さまったら今朝までなんか一つ事件を言えば発狂しそうだったし……」

「昨夜から今朝までは確かに情緒不安定だったな」


 しれっと証言する明水。そんな二人に、綾乃は苦笑いを投げた。


「あー、ははは……その節はどうもお見苦しいところを……」

「ほんとよ、まったく。祥ちゃんが言ってましたよー、『集いとはいつもこうなのですか』って、まるでショックを受けたような顔で」

「面目ない……」


 綾乃は反省するように縮こまり、顔を俯ける。霧咲は笑うが、明水は一切笑わなかった。


「はぁーあ……それじゃあ、今日の出来事をお話しましょう」


 ひとしきり笑った後、霧咲はゆるゆると話を始めた。

 北星高校での変事を。



 ***



 四神家のうち三家がそんな会話をしていたと知ったのは、翌日の放課後だった。


 朝課外から部活まで、私はとにかく鬼木弥宵、敷島和子、そして荒江光源への接触を避けつつもその動向を探っていた。

 上級生である二名については情報の入手が困難なくらいに接点が皆無だが、鬼木に至っては接触を避けることはおろか、同じクラスで席順が前後だ。

 誰に気づかれることなく、彼女の様子を探るためにただただじっと目を凝らしていた。


 しかし、手がかりは一つもないのだ。


 彼女はごくごく自然に、日常を過ごしている。そもそも、彼女から得られる情報なんてあるわけがないのだ。不審な動きなど一切なく、まして彼女は「超能力」否定派なのだから。

 そういう雰囲気をまとい、私を欺こうとしているのならまだしも。


 私は、部活へ行く前に、昨夜に追った人影の動きを思い出しながら、廊下を歩いていた。とある場所を目指す。

 教室棟ではない、特別教室や物置、資料室などが集められたフロアなので人気がまったくない。


「ここか……」


 昨夜の人影が消えた場所――すなわち、逃げ込んだ窓の教室ばしょ


「なるほど、ここは社会科資料室だったのか」


 教室のプレートからその事実が窺える。廊下側の窓には暗幕が張ってあり、様子は分からない。引き戸に手をかけてみるも、鍵がかかっている。


 昨夜の時点では、ここは開放されていたということだろう。または、あの人影が《力》によって鍵をこじ開けたか……


「――誰かな?」


 唐突に、背後から静かな声が聴こえる。私は勢いよく振り返った。上履きがキュルリと音を鳴らせば、無音の廊下に反響していく。

 声の主は、ひょろりと細長い体躯の男――よく知っている。彼は、社会科教師の横江よこえ先生だ。私と寺坂のクラスを受け持っている。


「君は……えっと、鹿島くん、だっけ」


 横江先生は確かめるように、自信のない声で言った。

 シワひとつない肌なのに覇気がない。まだ若いというが、歳はいくつかは知らない。


「1年2組の鹿島祥山です」

「あぁ、やっぱり。鹿島くん。なんか用ですか?」


 どうやら彼は資料室に用があるらしい。私も用はあるのだが、その理由を告げるのがどうにも難しい。私はまごつきながら言った。


「えーっと……昨日、午後6時半くらいなんですが、この教室に入っていく人を見かけて……あの、ジャージ姿だったんですけど」

「ジャージで、ここに? それはなんでだろう……」


 私の曖昧な言葉に、横江先生も困惑気味に首をかしげて苦笑い。


「ここには、歴史研究会くらいしか来ないはずなんですよね。非公式のクラブだけど、入り浸ってるから追い出すの面倒で」


 力なく笑う先生。困っているのは日常茶飯事のようだ。


「それにしても最近は物騒ですから、歴研はまばらに来ていますね……でも、ジャージで入ってくる子はいませんよ。見間違いじゃないですか?」

「いえ、そんなはずはないです。だって、窓から……」


 そこまで言いかけて私はすぐに口をつぐんだ。しかし、時すでに遅し。

 先生の耳は誤魔化せず、彼は「え?」と怪しむように細長い目を開いた。


「窓、から? だって、ここは二階ですよ? そんなわけ――」


 しかし、彼もまたすぐに口を閉ざした。何か思い当たるようにゆらゆらと視線を這わせている。


「超能力、ですかね……」


 そう吐き出すように、呆れたように言われれば、私も「そう、でしょうかね」と合わせて答えるしかなかった。





 横江先生に静かに追い出された後は、私ももう部活へ専念せざるを得ない。

 二時間の練習を終え、またも胴衣のままでぼんやりと考える。


 危ないことはするな、と霧ねえにも父にも言われたが、学校で自由に動けるのは私だけだ。だったら、他の「超能力者」と呼ばれる人と接触するほかないだろう。でないと、情報収集が難しい。

 私だって、もう守られるばかりの子供じゃないのだ。鍛えているし、迎え撃つくらいの力だってある――


「おーい、祥山ー、お前またなんしよんのー」


 じっと黙っている私に、八重島が呆れた声を上げた。彼は部活が終わった瞬間に早着替えし、一目散に武道場を出ていく。だが、こうも2日連続で足止めを食らうとはこいつも運が悪い。


「ねーちゃん、来とーよ」


 その言葉を待っていた。丁度私も霧ねえに用があるのだ。

 立ち上がり、武道場の玄関を覗くと、昨日同様の格好で彼女が手を振っていた。その度に、豊満な胸がわさわさ揺れる……


「帰るわよ、祥ちゃん」

「はい……」


 確かに、彼女への用事はある。しかし、こんなお迎えはもうこれっきりにして欲しい。




「ふうん……あそこは社会科資料室なのね……間違いないでしょうね?」


 私と霧ねえは、今日は互いに徒歩だった。霧ねえから持たされた傘を肌身離さず持っているため、今日から私は自転車ではなく、電車を使っている。


「間違いないです。あの場所にあるのは間違いなく、社会科資料室です。しかし、そこで社会科の先生に会いまして、『ジャージで侵入した人はいない』と言われてしまいました」

「その先生、いつもそこにいるの?」

「放課後は職員会議以外おられるようです。だから、あの時間も部屋にいたそうで……歴史研究会の数名が入り浸ってますが、ジャージで入る人はいなかったとのことです」

「ふうん……そう……」


 霧ねえは腕を組んで唸った。何か考えるように。

 黙り込んだその隙を突くように、私はこっそりと口を開いてみる。白々しく。


「あ、そうだ。私も集いに参加させてくださいよ。父が動けない今、鹿島を代表してるのは私です。それに学校での調査でもこの鹿島祥山が一番お役に立てると思うのです」


 ついでに熱い志願をしてみた。

 すると、ようやく思考の世界から戻ってきた霧ねえが「百年はえーわ」とぶっきらぼうに言った。

 ……これに納得する私ではない。


「何故ですか! 学校での調査は私が一番適任じゃあないですか!」

「そうなんだけれどね……」

「慎一兄さんには大役を任せるくせに、私には黙って見てろというのは納得いきません」

「シンちゃんはまた別よ。あんたは傷をつけらんないから……」


 霧ねえは言い訳がましくもごもごとする。

 しかし、視線は何かを捉えていた。


「――祥ちゃん」


 息だけで話す。

 そして、彼女は指をさした。その先をたぐる。


「あれ、もしかして鬼木さん?」


 示された先には、ふんわりとしたセミロングが揺れていた。推定、50メートル先か。そこにいるのは私の目から見てもはっきりと「鬼木弥宵」であるのが窺えた。部活帰りだろうか、一人きりで帰路についている。


「はい……しかし、何故あれが鬼木だと分かったんですか」


 訊けば、彼女は素早く「勘」とだけ返す。そして私の頭を掴み、押しのけるようにして前へ出た。


「祥ちゃん、私は彼女を追いかけてみるわ。あなたはまっすぐに家へお帰んなさい」

「はあ? そんな……っ、霧ねえ!」


 呼べども、あまり騒げない。霧ねえは私を無視してさっさと鬼木を追いかけた。


 帰れ、と言われてすんなり帰るか、と言われたら……まぁ、帰るのだが。腹ん中は悔しさしかないが。

 私は結局、思い切りが足りないのだろう。追えばいいのに追わずにいる。

 慎一兄さんなら「うるせぇ!」と言って追いかけるに違いない。そんなだから、私はいつまでも霧ねえや慎一兄さんに憧れているのだ。


「情けないな……」


 空を見上げて、途方に暮れる。カラスが飛ぶ広い空。

 はぁっと息を吐くように、もたげていた首を下ろした。

 その時だ。


「あれ?」


 真正面、それこそ彼女らがいた場所に、ふくよかなアロハシャツの中年男がこちらを向いて私を見ていた。


 多分、私を見ている。


 近づけば、彼は私に手招きをする。満面の笑みを浮かべて。

 その笑顔には、うっすらと覚えがあった。


「オオクニヌシさま……?」



 ***



 尾行がバレたか――霧咲は静かに舌打ちした。


 鬼木弥宵の後ろを均一の距離で保ったまま、彼女は音も立てずに忍び寄っていた。それなのに気配を悟られたのか、鬼木弥宵は最寄りの森下駅を過ぎ、住宅の並ぶ道を早足で行くと、鬱蒼と茂る森に隠れるように入っていった。そこで見失ってしまったのである。


「ここって……」


 霧咲は真っ暗な森の入口を睨んだ。そこは、参道となっており、暗がりで分かりにくいが石の鳥居が堂々と立つ。鷹見神社の入口だ。


「また逃げられた……近頃の高校生は人をまくのが上手いわね……おっと」


 尻ポケットに押し込んでいたスマホが震えている。慌てて取り出せば、なんと明水からの着信だ。


「もしもし? 一体、どんな風の吹き回しかしら」

《出るなりすぐに茶化すんじゃない。急な用が一つだけあってな》


 うんざりとした明水の声に、霧咲はくすくすと忍び笑う。逃げられた憂さ晴らしには丁度良い。

 しかし、彼の次の言葉で霧咲の笑みは止まることになる。


《綾乃がお告げをきいた》


「まぁ……」


 いきなりのことに、気の利いたセリフは言えずにいる。霧咲はごくりと唾を飲んだ。


「それで、なんですって?」


《あらゆるすべての事象の一方はきまぐれ、もう一方はそれを利用するもの――》


 明水の声には相変わらず感情がない。

 その言葉の意味を、霧咲は脳内に染み込ませるように反芻する。


「あらゆるすべての事象の一方はきまぐれ、もう一方は」

《それを利用するもの。今はこれだけだが、要は手が無数にはびこっているんだろう》


 明水の言う通り、町にはびこる手は無数にあるのだ。いつの間に、こんなにも数を増やしてしまったのか。

 北星高校の超能力、空中を歩く人、魚雨、そして、博多でも。不可解に厄介な暗雲が、確かに存在を大きくさせている。

 霧咲は苦々しく、眉を寄せて唇を噛んだ。

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