第一章 3 間違いを止めてくれる人って大切

 れた壁の隙間から乾いた風と、赤い東日ひがしびが差し込む。


「……うん……もう……ゆっ、夕方か……――はっ!」


 瞬時に意識が覚醒し、飛び起きる。


 少しだけ寝るつもりが、がっつりと眠ってしまった!

 あいつは! あのシュヴァリエはどこだ!


「おう、もう起きたのか?」


 そいつは、寝る前と同様の場所に、当たり前のように、あの白猫と一緒に座っていた。


「――あぁ……うん……」

 いて出た焦燥感や不安がふっと抜けて、大きなため息になる。


「そういえば、お前さんには姉ちゃんがいると言うとったが、どこかへ行ってるのか?」


 ニーナ姉さんは毎日、早朝から王都へ出稼ぎに行ってる。

 こんな村じゃあ、食べていけるだけの仕事なんてない。


 だから、姉さんは日が昇る前に出かけて、日が沈んだ頃、たぶんもうじきここに戻ってくる。


「そうか。そいつは外で呆けとる奴らより偉いのう」


 そう。姉さんはこの村の誰よりも偉い。立派だ。


 だけど――……


「――ック……」

 つい、悔しさと怒りが口から零れる。


 何も知らないシュヴァリエは、ボクを見て不思議そうな顔をするので――また、ため息が出た。


 と、外から騒がしい足音が響いてくる。

 そしてそのまま、誰かが勢いよく玄関の敷居を跨いできた。


「――ヘタ!」

 声はニーナ姉さんだった。


 しまった! こんなに早く帰ってくるとは思わなかったから、召喚をした経緯いいわけを、まだ考えていなかった! いつもは太陽が沈んだ頃に戻ってくるのに!


「あなた! 召喚を行ったってほんと――」


 不意に姉さんとシュヴァリエの目が会う。


 驚く姉さんと裏腹にシュヴァリエは、なんの臆面も無く


「邪魔しとる。ワシは神楽木 龍之介じゃ!」


 と、ただ笑顔で返す。


「――ほんとうのようですね……」


 見知らぬ男の存在に、姉さんの慌てた口調が、外行き用に変わる。


「お前さんが、ヘタの姉ちゃんか! あんまり似てないのう!」


 なんで姉さんがこんなに早く召喚のことを――と、とにかく!

 ちゃんと説明すれば姉さんならわかってくれるはず!


「姉さん! 見てよ、こいつが召喚したボクのシュヴァリエだよ! 婆ちゃんが残してくれた遺品のなかに、星晶石が一つだけあったんだ! それで召喚できたんだよ! ラ、ランクは低いやつだけど! それでもシュヴァリエだし――こいつがいればきっと!!」


 舌が所々で空回る。そんな説明の途中で――


『パシッ!』


っと何かがほほを打った。


「――――え?」

 何か起きたのかわからず、口が開く。


 だが、徐々に頬に熱さと痛みの信号が走り――振りきられた姉さんの手を見て、自分が姉さんに平手で打たれたのだと察した。


「ヘタ……召喚なんて危ないことして! どうしてそんなことしたのっ! 失敗したら、死んじゃうかもしれなかったのよ!」


 召喚をして怒られるとは思った。

 だってそれが危ないことだと、わかっていたから。


 でも、シュヴァリエが召喚できたなら、一緒に喜んでくれると思っていた。

 褒めてくれると思った。


 なのに、どうして……


「あなたに何かあったら……私は何のために――」


 ボクは目になみだがたまり、姉さんの顔が歪んでいく。


 驚きと絶望がずんと心の奥底に投げ込まれる――と、その反対に、心の奥底にあった、どす黒い何かが浮かび上がってきた。


「ま、まぁまぁ。確かにヘタは危ないことをしたかもしれんが、出てきたのはワシじゃ。無事なんじゃから安心して――」


「あなたは黙っていてください!」

と姉さんの声がシュヴァリエの発言を遮る。


さらに続けて、


「ヘタ! 黙ってないで答えて!」


 姉さんが、こんなに怒っているのは初めてだ。

 いつも優しかった姉さんが、まるで、他の奴らみたいに、ボクを責める。


 姉さんの声で、また、心の奥底から感情が浮かぶ。

 浮かびきって、ついにそれは――


「ヘタ! どうして――」


「――――うるさい」


 姉さんの言葉をさえぎって、言葉になって零れ出した。


「ボクが! ボクの命をどう使おうが勝手でしょ!!」


 氾濫した川の水のように、押さえ込もうとしても、止まらない。

 もう、止められない。


「ヘタ……私は、少ないけど、稼いでご飯を食べさせてあげてるでしょう。寂しいかもしれないけど……それでも――」


 姉さんがまた、ボクを否定する。


 寂しい? なんだよそれ?

 ボクが寂しくてシュヴァリエを召喚したとでも思っているの?


 世界で、たった一人。ボクを肯定してくれると思っていた姉さんに、裏切られる。


「ボクはこの村で一生を……この村でいつまでも姉さんの帰りを待つだけなんて、嫌だ!」


 そう。さっきシュヴァリエと見た、あの何もない景色。


 その一部になって、待っているだけなんて――それだけの人生なんて、絶対に嫌だ。


 溢れ出す感情が止まらない。


 止められないのならいっそ――吐き出してやる――全部!


「なんでいつも固いパンばかりなんだ! 普通は、もっと温かくて柔らかいのが普通でしょ! 家だって、普通はこんなボロボロで、吹きっ晒しなんかじゃない!」


 ボクらは毎日、安くなった廃棄手前パンで、お腹をわずかに満たしてきた。ボクらは国を囲む、あの山脈から降りてくる冷たい雨風に耐えながら、寄り添い、震えながら夜を越してきた。


 でも、そんなの普通じゃない!


「町には『学校』っていうのがあるんでしょ! 普通なら、ボクくらいの年齢になれば学校に行って勉強するんでしょ。学校から帰ったら父さんや母さんが待っていて――温かいご飯を食べるのが普通なんでしょ」


 普通がほしい。


 当たり前がほしい。


 それがどうしてボクらにはないの?


「姉さんは王都に行けるからいいよね! なんでボクはいつも留守番なんだよ!」


 ボクも一緒に働くと行ったとき、姉さんはボクを否定した。


 ――あれ以来、ボクは姉さんがわからなくなった。


「なんで、その稼いだお金で村の……あんな奴らの食い物まで買ってきてるんだよ! そんなことする必要ないだろ! こんな村、他の人たちみたいに捨てて出ていけばいいじゃないか!」


 姉さんは働いて稼いだお金で、村の人にまで食料を与えている。

 村人は、その食料でなんとか生き繋いでいる。


 どんどん不満が溢れてくる。溢れて来て、それがそのまま口から出る。


「姉さんは偉くなんてない! 立派なんかじゃない! ただの馬鹿だ! 大馬鹿だ!」


 そこで、ボクはようやく自分の異変に気付いた。


 零れ出た言葉は――本心とは変わっていた。

 自分の意志とは別に――汚れた言葉が溢れている。


(あれ――? 違う。どうして――?)


「何も知らないと思ってるんでしょ……ボク、知ってるんだよ……」


(違う。『こんなこと』を言いたかったんじゃない。)


「姉さんが男に愛想を振る舞ってお金を稼いでるんでしょ!」


 ボクの言葉が、姉さんの顔が蒼白にする。辛そうな表情にさせてしまう。


(違う! やめろ! ボクは姉さんをこんな顔にしたかったわけじゃない。見たかったわけじゃない!)


「そんなお金で……ボクを養って愉悦に浸って――」



(誰でも良い――ボクを――誰かボクを――)



「お前、ちょっと黙れ……」


 姉さんが頬を打ったあの衝撃とは違う。

 何倍もの力。その衝撃は容易にボクを窓の外までぶっ飛ばした。


 信じられない痛みが体を貫き、突き破った家の壁がガラガラと崩れる。


「ヘタ!」


 姉さんがボクの傍に駆け寄ろうとするが、あのシュヴァリエに阻まれる。


(な、殴られた? しかも、ボクが召喚したシュヴァリエに!?)


「な、なにすんだよ!? 俺はお前の主人、マ、マジェスティだぞ!」


(こんなこと聞いたこともない。マジェスティを守るのが――願いを叶えるのが、シュヴァリエじゃなかったのかよ!?)


「知るかそんなもん……まだお前さんを主人とは、ワシは認めとらんぞ」


「うっ……」


 痛いところを突かれた。そうだ。こいつはまだボクのシュヴァリエになったわけじゃない。契約けいやくはまだ成立してなかったんだった。


「お前さんは確かに、命を賭けたのかもしれん。じゃが、その先に願ったものはそんなものなのか――お前が求めたのは、ワシを呼び、望んだもんは『普通』なのか?」


 龍之介がゆっくりと近づいてくる。


「別にそれを欲しがるのは構わん。じゃがな――なんじゃ今のは……」

 龍之介がボクを見る。


 その目は、決してボクを憐れんでいる目ではない。

 蔑んでいる目でもない。


「お前さん、食わしてもらっとるくせに、その相手になんて言い草じゃ! さっきから聞いてれば、普通、普通って繰り返しおって――喚きおって!」


 シュヴァリエまでもが、ボクを責める。否定する。


 もう、この世界にボクを肯定してくれる奴はいないのか。

 ボクの願いを認めてくれるヤツはいないのか。


「お前みたいなやつをなんて言うか知っとるか?」


(ボクみたいなやつ? そんなの――)


「お前みたいな他人ばっか見て、何もしない卑怯もんを『ヘタレ』言うんじゃ!」


(そんなの――ボクが一番、わかってるんだ!)


「黙れ……黙れ黙れ黙れ黙れ!」

 ボクはシュヴァリエに向かって叫んだ。


「お前みたいな――☆1つしかない最低ランクのやつに――何がわかるんだ!」


(何も知らないくせに! 何もわからないくせに! わかってくれないくせに!)


「ボクの願いの何を叶えられるっていうんだっ!!」


 捨て台詞と共にボクは駈け出した。


 興奮して先ほどの痛みなんて、どこかに飛んでいった。

 もうこの場所にはいたくない。いや、いられない。


「待って! ヘタ!」

 姉さんの高い声が後ろで響いた。その後、


「ほっとけ! ああいうガキは、一回頭冷やした方がいいんじゃ」

 シュヴァリエの吐き捨てる台詞が聞こえた。


 その言葉を――ボクは振り切るように、必死に村の外へと逃げだした。



「「…………」」


 重苦しい互いの沈黙ちんもく


 ヘタの姉――ニーナは、落ち込んだ顔で、ヘタの帰りを待っていた。


「安心せい。あんな風に逃げ出しても、あいつは男の子じゃ。家出しても、一日経てば家こいしさ、姉恋しさに帰ってきてしまうのが男の子じゃ。それが、どんなに帰り辛い家でものう」


 男の自分にも似たような経験があるからわかることじゃが、女のニーナには、ちとわからないことなのかもしれん。


「それにヘタがお前さんに言った言葉は本心じゃない。ずっと抱えこんでいたもんが、不意に溢れて止められくなっただけじゃ。そういう時は、思ってもいないことや、変な意地が働いて――そして、最も伝えたいことが、伝えられなくなってしまうんじゃ」


 ワシなりに、ヘタのことを思ってフォローを入れる。だが、そもそもヘタにあんなことを言わせてしまったのは、ヘタの前に現れたワシの責任じゃ。


 逃げだす原因を作ったのはワシ自身じゃから、こんなことを言われても――


「……ヘタは……あの子は、本当は寂しがり屋なだけの、優しい子なんです」


 今までずっと黙っていたニーナが、ワシに語りかけるように話しかけてきた。

 そして、袋から取り出したパンを半分に千切ると、それを「どうぞ」と、差し出す。


 まだ腹は減っておらん、と返すと、ニーナはその半分のパンをひとひとつまみ千切ちぎり、そのまま白い猫、セレスヴィルの方へ「いかがですか?」と差し出した。


 セレスヴィルがワシの膝から立ち上がる。

 そのままニーナの手元から一片のパンを貰うと、調子よく次のパンを強請ねだるように、催促して鳴く。


 クスッとセレスヴィルを見て笑うニーナは


「あの子の両親が三年前に事故で亡くなって、唯一の肉親だったお婆様も先月亡くなり、家族は、あの子と私の二人きりになってしまった。元々、暮らしが厳しかったのに、さらに国の税が上がって――とても二人で暮らしていけなかったから」


 たき火がパチリと鳴り、薪が割れる。


「だから、私は王都に働きに出ました。そのせいで、寂しがり屋のあの子に、辛い思いばかりさせてしまったのね。村の人も……昔は、温かくて優しい人たちばっかりだったのに……どんどん若い人が村を見捨てて、いなくなっていって――村の外で働けないおじいちゃん達は、見捨てられたと思ってしまった。そしてそのまま――生きることを諦めてしまった」


 それが、あの昼間の連中か。

 そういえば、確かに空ばかり見ている村人は、老人達ばかりだった。


「私はね……この村と……両親に感謝しているの。だから、他の人たちが離れて行ってしまっても……私だけはどんなに大変でも……ヘタも村の人も見捨てない」


 その思いは立派じゃ。


 だが、どこか他人行儀なところがある。


 どうして、そこまで村の連中に義理立てする?

 どうして、ここまでヘタの両親と村の連中に感謝する?

 

 普通ならたぶんそこまではせんのじゃろう。


 そう、普通なら。この感じは既視感がある。

 ニーナは、まるで――ワシと同じ――


「……似てないと思っていたが……お前さんもしかして――」


 ワシの推測を遮るように、ニーナははっきりと答えてくれた。


「はい、私は、あの子の本当の姉ではありません」


 過剰かじょうと思われるほどの恩義。

 それはやはり、拾って貰ったという感謝のお返し。


「私は捨て子だったんです。捨てられ、死ぬしかなかった私を、ヘタの両親は拾い上げ、まるで本当の子供のように育ててくれた」


 やはり、じゃ。


 ワシも都会で『オヤジ』に拾われて、初めて人間らしい生活をさせてもらった。


「村の人達も、そんな私を受け入れてくれた。文字も言葉も、縫物も、畑仕事も教えてくれた」


 受け入れられた嬉しさと、その優しさに答えたいと思う気持ち。


 それがワシとニーナの意外な共通点――ワシらには、その恩を返す為なら、自分の人生とこの命を捧げても良いという覚悟があった。


「そして……私にとって本当に幸せだったあの日は――」


 何かを思い出したようなニーナは、そこで言葉を飲み込んでしまった。


 飲み込んだ言葉の代わりに、


「だから、どんなに大変でも私はあの子のために……村のために何でもするって決めたんです」


 ニーナの決意を口にした。


「……そうか」


 その決意が、間違っているとはワシは思わん。


 ワシも同じように、オヤジのために生きた。

 そして、その果てに――オヤジ達のために、死んだ。


「それにしても……ヘタが学校に行きたがっているのは、知らなかったなぁ」


 ニーナはくだけた表情になり、なくなったパンを持っていた手を見つめる。


「ヘタは、すごく知りたがりなんです。今も小さいけど……もっと小さいとき……ヘタの両親がまだ生きていたとき、いつも私に『あれはなに? あっちのはなに?』って――」


 ニーナは懐かしむように頬を緩ませた。


「お父さんとお母さんにも、『今日は何を見たの? 何を狩ってきたの? どんな人が来たの?』って――。村の人にもたくさん聞いて回って、珍しく外から来た人には、もう一日中、外のことばかり聞いては、お仕事の邪魔をして困らせてました」


 楽しそうなニーナ。たぶん、嬉しいのかも知れない。


「きっとあの子には、この村は狭すぎるのね。この村には、あの子の知らないものはない。そして、知りたいものも、無くなってしまったのね」


 ヘタがどんどん大きくなって、手に負えなくなるのが、きっとニーナには誇らしいんじゃ。


「でも、両親が死んで、お婆様も亡くなって……私に何も尋ねてくれなくなった」


 そして、たぶん、きっと……悲しいんじゃろう。


 たき火がまた、パチリと音を立てる。静かな時間が流れた。 


「――龍之介……さん」

 ニーナが改まってワシに尋ねる。


「うん?」


 少し間を開けて、ニーナがワシの目をじっと見る。

 火に照らされたニーナは、くしゃくしゃの長い癖毛を揺らし、猫のように手をついて、ワシの傍までにじり寄る。


 整った顔立ち、強調される大きな胸に、一瞬ドキリとした。

 慌てて目をそらそうとしたが、大きく一途なニーナの瞳に、視線と心が吸い込まれた。


「あの子の……シュヴァリエになって、あの子を守ってくださいませんか?」


 純粋で、裏表のない――まっすぐな願いだった。


「それは……」


 急な緊張から変に声が上ずってしまう。

 そんなワシを、ニーナの後ろで白猫がじーっと、こちらを睨む。


「あなたが……あの子の傍にいてくれれば、私は安心です。私のように、あの子に何かするだけじゃなく、あなたのように間違った時に、ちゃんと叱ってくれる人がいてくれたなら――安心です」


 安心? なんじゃそれは?


 そんな言い方をしては、どこか別れを意味するような言い回しじゃないか。


 それはどういう意味かと尋ねようとすると、


「――やっぱり私、心配です。ちょっとあたりを探してきます」

とニーナは立ち上がり、外へと出て行ってしまった。


 ワシも一緒に、と口にしようとしたが――やっぱり止めた。

 逃げだす原因を作ったワシが行っても、たぶん仕方がない。


 家には、消えかけている薪の小さな火と静寂、そして、ワシとセレスヴィルだけが残った。


「ふう……」


 急な緊張からの解放――それを見透かした様子のセレスヴィルは、ジト目でワシに近づき、


「まったく……奇特きとくな者がいますね。ああいう者の考えが、私には、さっぱり理解できません。さっきの言葉が本気なら、哀れであり、幸せですね」


 女神様ともあろうお方が、ずいぶんと酷いことを言うのう。


「あら? これは失礼。ちょっとが――」


 同族嫌悪? 誰にじゃ? もしかしてニーナにか?


「お前さんとニーナは全然似てないじゃろ。顔も性格も――(ついでに胸も)」

 最後のは、口にしていない。思っただけじゃ。


「そうですね。全然似てはいませんよ」


 だが、それすら見透かしたように


「だって私は。――正真正銘の『女神』ですから」

と猫の顔で嘲笑あざわらった。


 うむ。これ以上、この話はしないほうがいいな。


 猫の顔で器用に笑ったセレスヴィルのあの色違いの瞳は、たぶん、絶対に笑ってない。


 ――まぁいいじゃろ。すべては明日の朝にまた話し合えばええ。今日はもうお終いじゃ。


 これまでにいろんなことがありすぎて急に、疲れと眠気に襲われた。

 そのままワシは横になり、もう眠ることに決める。


 眠気と合わせて掠れる景色と意識の中で……セレスヴィルの


「――それにしても、こんなにも早く他のシュヴァリエに遭遇するとは……それに、あの三大寺とかいう男……ようやく面白くなってきましたね」


と声を上げた気がした。


 なんとも、楽しそうで何よりじゃ。

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