第2話:三崎先輩と俺の馴れ初め2
降りしきる雨の中、俺と
俺と
もしこんな羨ましい姿を他の男子生徒に見られでもしたら後々とても面倒なことになることは想像に難くないだろう。
しかしながら今現在、俺の目の前には新たな問題に直面していた。
「あ、あの……
「なに?
その距離は非常に近く、
俺を悩ませている問題とは言うまでもなく
「その……当たってるんですが。色々と」
「ああ、そうしないと濡れてしまうから仕方ないわ。
「えぇ!?」
少しだけ俺の方が背が高いという理由で傘を任されているため、
そのため俺は
「……
「なにかしら、
「ファッ!? いや、そうじゃなくて! いや、こう確かに柔らかくて気持ちいいですけど……って、そうじゃなくて!」
俺は一つ咳払いをしてから、
なお、
「その、なんで初めて会った俺と一緒に帰ろうなんて……その、こんな風に」
「…………」
どうやら俺の質問に対して考え込んでいるようであり、思索にふける
「……み、
「……
「な、なんでしょうか」
一段落したのか思索を止め、
それに俺は気圧されてしまって思わず声が上擦ってしまった。微妙に情けない感じの声になってしまい頬が熱くなる。
とはいえ俺に恥ずかしがる余裕などなく、緊張して
「先輩は後輩に対して、こういう風に奉仕するのではないの?」
真面目な顔をして
「は、はぁ!? な、なに言ってんスか!?」
「あら、違ったのかしら……でも、これにはそうだと書いてあるのだけど」
ブックカバーを巻かれており、はじめ俺はてっきり純文学か何かだろうと思っていたのだが
「
「どうぞ、
どのような本を
飛ばし読みのため詳しい内容はわからないが、挿絵と
更に言えばページをパラパラとめくれば挿絵は登場キャラである美少女がいやらしい感じになっているものがばかり、結構エロい。
「……
「なにかしら
――何故、
「あのですね……現実でこんな事するなんてまずないですから」
「……そうなの?」
しかし
その表情は逆に俺の言うことが間違っているのではないかと思わざるを得ないほど純粋なものだ。
とはいえ、これは流石に
もしここでこれを認めたらもっと大変そうな事になりそうな気がするからだ。
俺は少しでもちゃんと伝わるようにと俺は
「そうですよ!? こんな、なんというか羨ましいことがあってたまりますかってのッ!」
「……でも、
「な、なんでしょう。
言うべきをいい切ったせいか
俺は何が
「こういうことされて嬉しいのは確かなのよね?」
「せ、先輩ッ!? な、何をッ!?」
その理由は明快。
それは先程までも近いと思っていたがその比ではない。
俺と
当然、俺の右腕には
また俺の鼻孔をくすぐるのは雨の匂いに混じる
視覚、聴覚、触覚、嗅覚――五感の内、四つで
これほどまでに
「どうなの?」
それに対し俺はと言えば多幸感と緊張で頭と心臓が破裂しそうであり、とてもではないが返事を返す余裕などはなかった。
だから俺は落としてしまったのだ、自分の鞄を。
「鞄落としたわ、大丈夫?
俺が自分の鞄を落としたことに気づいたのは
「え、す、すいません
なんとか反応できた頃にはすでに
「あ、あの、
「…………」
本来ならばそれはビニール袋に包まれていたのだが、落下の衝撃か
いわゆるエロゲーというやつであり、パッケージには人目でそれがいかなるジャンルなのかが分かるよう裸体で首輪を付けられた美少女が描かれていた。
ただでさえ普通の人から見ればエロゲーの時点でアウトだというのにこのジャンル――奴隷調教モノは人格を疑われるレベルのアウトである。
実際に俺のものではなく借りたものではあるが、それを信じてくれたところで好感度は地の底であることは代わりはない――つまりは完全に終わった。さらば俺の高校生活。
いくら
次に俺を見る時の目はゴミを見るかのようなそれに違いない。
数十秒前まではまさしく幸福の絶頂だったのに今は絶望の底である、神様はもう少しバランスというものを考えてくれ。
いまの俺は先ほどとは打って変わり、汗は羞恥や火照りのそれではなく冷や汗に。緊張で強張っていた体はこれから来るであろう絶望に恐怖して震えていた。
「……ねぇ、
エロゲーを拾い上げてから
それは永遠にも感じる長い時のようであったし、一瞬だった気もする。
つまり俺は時間を正しく感じることさえ難しいほどに追い詰められていたのだ。
だから俺は為す術もなく、続く
それはきっと俺の人生において最も心を抉る言葉になるに違いないと、そう理解していながら聞いてしまう。
そして
それは俺が――
「私を――
え、どういうことですか。
三崎先輩は俺のエロ奴隷になりたい 大塚零 @otuka0
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