ツンデレ―――確立されてからかなりの時間がたった属性ではあるが、ラブコメに限らずラブが入った作品では未だに根強い人気がある、ものと思う。ツンの中に潜むデレが、向けられている対象にいつ気づかれるのか。早く気づけ、まだまだ駄目か…などと、私もついつい気になってしまう。
が、今回の相手は恐ろしいことに「天然」である。朴念仁が相手ならいつかは気づくだろうと、所謂"いつも"のパターンになるのだが、天然となると話が違ってくる。見たものをありのまま、ツンもデレも受け止めてしまい、そのまま話が進んでしまう。ツンの衝突も、デレの破壊力も、どこかふわふわとしてしまうのだ。が、そんなゆるい空気も悪くはないなと、本作の男女二人はそう思わせてくれる。波長がズレているのか、はたまた合っているのか、よくわからないまま二人だけの時間を積み重ねていく様は、読んでいて自然と頬が緩んでしまう。
このままがいいのか、ここからがいいのか。なんとも言い切れない、詰んでいるような袋小路から、果たして彼は出れるのであろうか。