第3話

なんとあいつは俺の知らない間に浮気をしていただけではなく、その男と結託して俺を殺そうとしたのだから。


俺はクローゼットを飛び出し、突き刺さっている二本のナイフを抜くと、二人を追いかけた。


そして玄関を出たところで追いついた。


「えっ?」


「きゃっ」


俺は手前にいた男の胸に、全体重をかけてナイフを突き刺した。


「でべぇ」


不恰好な声をあげて、男は倒れた。


「きゃーーーーーっ」


鼓膜が破れるのではないかと思えるほどの絶叫の後、彼女は走り出した。


「逃がすか!」


しかし彼女しか見ていなかった俺は、倒れた男の身体に足を取られて、激しく転倒した。


「きゃーーーーーっ」


起き上がったと同時に、また悲鳴がした。


彼女が逃げた方向とは逆方向から。


見れば隣の部屋に住んでいる新婚夫婦がそこにいた。


そして二度の悲鳴を聞きつけて、近所の住人が次々と顔を出してきた。


万事休す。



       終

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

究極のサプライズ ツヨシ @kunkunkonkon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ