第2話

そこでローゼットを飛び出して、さらに驚かせてやるのだ。


彼女はベッドの横に立った。


その両手に普段ははめない手袋をして、何か持っていた。


最初はプレゼントかと思ったが、なんだか違う気がした。


穴が開くほど見つめて、それが何であるか気づいた。


彼女は右の手と左の手に、大きなナイフを持っているのだ。


――えっ、何で?


すると彼女はそのナイフで、膨らんだ布団を思いっきり刺しはじめたのだ。


一回や二回ではない。まさに滅多刺し。


――! !


彼女は凶器のナイフを突き刺したまま、振り返った。


するとそこにはいつの間にか男が立っていた。男が言った。


「やったか」


「やったわ」


彼女と男は抱き合い、キスをした。


そして二人で部屋を出ようとした。


そのとき、あまりに想定外の展開に呆然としていた俺の心の中に、激しい怒りが爆発的にわいてきた。

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