究極のサプライズ

ツヨシ

第1話

俺は今、勝ち組の道を迷いなく突き進んでいる。


会社では同期の中では断トツの出世頭だし、ちょっとわがままだが美人でスタイルのいい彼女と同棲中だ。


そろそろ結婚もいいかなと考えているところだ。


そして今日彼女が、友達のところに泊まるから私を待たずに休んでね、と言ってきた。


でもそれは嘘だ。


彼女は自分では気がついていないが、嘘をつくと鼻が小さく動くのだ。


明日は俺の誕生日だ。


おそらく夜、日付が変わったと同時に、何かサプライズをしかけてくるに違いない。


そこで俺は逆にサプライズを仕掛けることにした。


サプライズと言うより、ただのどっきりと言ったほうがいいかもしれないが。


サプライズをしかけてきた彼女を、驚かせてやるのだ。


俺は布団の中に適当なものを入れて形を整え、さも誰かが寝ているように見せかけた。


そしていつものように薄暗い電気にすると(俺は子供のころから真っ暗にすると寝られないたちなのだ)ベッドの横にあるクローゼットの中で息を潜めた。


そのまま待っていると、鍵の開く音がした。


時計を見ると午前十二時四分。


やっぱりそうだ。


誕生日のサプライズだ。


やがて彼女が足音を立てぬように、ゆっくりとベッドに近づいて来た。


布団の中に俺がいないとすれば当然驚くだろう。

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