ミサッラルの動詞の編(v3-0056~0114)
第五 三字の語彙の部
三字の語彙の部分(v3-0115~v3-0139)
v3-0115
بسم الله الرحمن الرحيم
三字の語彙の部分
二字の名詞の章
تاه تاه tah tah タァータァー。鷹を放った後、呼び戻す時に使う掛け声。ここの「ه」は一息を表す為に添えた。
جوه جوه chuh chuh 馬を走らせたり、加速させる時の掛け声。
کاه کاه käh käh 犬を呼ぶ時の掛け声。
ماه mäh 「あげるから、持ってって」という意味を表す助詞。物を与える時に言う。
本章のミサッラル
یاه yäh ああ、ええ。「然り、いいよ、よろしい」の意を表す助詞。「ات تت at tut 馬を捕まえろ」という語に対し、「یاه yäh 然り」と答える時に言う。急いで言う時は、一字落として「ته ته tah tah,جه جه chuh chuh,که که käh käh,مه mäh,یه yäh」と言う。したがって、我々は此れ等をマンクースの章に帰す。何故ならば、「لن lin」の字が脱落してないからである。これらの語彙の中の「ه」は、一息入れる作用しかない。さながら偉大なる神の「فبهدا هم اقتده ولم یتسنة」という一語と同じ様なものである。ここでは、語尾の「ه」は、一息の語気を表す為に加えられたのである。
純粋なテュルク語には元々「ه ― h」の字は無い。ただ「ار اهلدي är ahladi 人が溜息をついた」の語で用いるのみである。同時に此れは人が胸から息を吐いた音の擬音である。「梟の羽根」も「اوهي ühi」と言うが、純粋なテュルク人は「اوکي üki」と言う。ホータン語とケンチェーク語には、「ه」音があるが、これはテュルク語ではない。彼らは後からテュルク人の地に来た者なのである。
v3-0116
فِعْلْ fä'l,فُعْلْ fu'l,فعْلْ fi'l 型で中間の字に静符を帯びた語彙の章
توب tüp 根、根っ子、あらゆる物の根。「یغاج توبي yighach tüpi」木の根っ子。
v3-0117
توب tüp 根底、来歴、祖先の経歴。「تام توبي tam tüpi」壁の土台。人の祖先の経歴を「توب tüp」という。「توبلك ارن tüplüg ärän 出自の好い人」の語源は此処にある。
توب top 球。これは「تبق topiq」の省略形である。
جوب chöp 麺片、沈殿物、カス。あらゆる物の沈殿物。「ازم جوبي üzüm chöpi」葡萄滓。「یاغ جوبي yagh chöpi」油の沈殿物。「بور جوبي bor chöpi」酒粕。その他にも用いる。「تتماج جوبي tutmach chöpi」麺片を作る為に用意した薄い麺皮。
قوب qop 愉快、嬉しい。「ال مني کرب قوب قلدي ol mäni körüp qop qildi」彼は我を見て喜んだ。
کوب küp 壺、甕。
کیب käp 鋳型、雛型、煉瓦など、あらゆる物の木枠。「کربج کیبي kärpich käpi」未練性の煉瓦。
کیب käp 類似、の様な、同じ。オグズ語。「بو ار انك کیب bu är aning käpi」この人は彼に似ている。
بوت put 腿、股。
بوت but 大きなトルコ石、良家の子女が額に戴く。「قز بوت اریدي qiz but ördi」娘がトルコ石を戴いた。
بوت but 大人物が人に賜う恩賞。馬を齎した人に付与する金貨や羊などの物も、同じ様に「بوت but」と言う。
v3-0118
تیت tit まっすぐ伸びた柏樹、山上に生える。
جیت chit 様々な色で彩られた秦の布。
سوت süt 乳。
شوت shüt 出身、系譜。ホータン語。
توج tuch 青銅。
کوج küch 力。
کوج küch 圧迫、横暴、力づく。この言葉は諺では此の様に用いる。
کوج ایلدن کرسا ترو تنکلکتن جقار
küch äldin kirsä törü tünglüktin chiqar
力づくで門から入れば、掟は窓から出る。暴君を「کجمجي küchämchi」と言い、力量の有る物を「کوجلك küchlüg」と言うのは此れに由来する。
کوج küch 胡麻。胡麻油を「کوج یاغي küch yaghi」と言う。チギル語。乳牛にたかる虱の卵も「انکاك کوجي ingäk käldi」と言う。
کیج käch 夜、晩。「کیج کلدي käch käldi 遅れてきた、遅くなった」と言うのも、これに由来する。
بوذ bodh 身長、背丈。「اوزون بوذلغ کشي uzun bodhluq kishi」長い背丈の人。
بوذ bodh 野雁、鴇。
بوذ bodh 「بوذ منجق bodh monchuq」灰白色の首飾り。これは麝香等で作られ、婦女が飾る。
v3-0119
بور bor 酒。この言葉は諺では此の様に用いる。
بور بلماذب سرکا بلما
bor bolmadhip sirk bolma
酒ならずば、酢ならず。これは若者と欲張りな子供を対比して言っている。
بیر bir 「بیر یرماق bir yarmaq」一枚の銅銭。
تور tör 上座、上席、家の中の上座。「تورکا کج türgä käch」上座。
تور tor 網、罠。それを用いて魚や鳥を捕まえる。
جور chor 真心。「جور اراغت chor uraghut」石女。オグズ人は絡み付いて生える蔓草のことを「جور اوت chor ot」と言う。この前の言葉は此れに由来する。
سوز sur するする。「ار سور سور مون ایني är sur sur mün öpti」男はするすると肉汁を啜った。
قور qor 損失、欠損。「ار قور قلدي är qor qildi」人が損した。
قور qor 乳麹、乳酸菌。これは器皿の底に残ったヨーグルトの種や馬乳酒の種である。そこに乳を足すと発酵してヨーグルトや馬乳酒に成る。
قور qur 徒労の。オグズ語。此の言葉は「قرغ qurgh」の略称である。この言葉は諺では此の様に用いる。
قلان قدغقا تشسا قوریقا ایغر بلور
qulan qudughqa tüshsä qur baqa ayghir bulur
野馬が井戸に落ちれば、苦労した蛙が牡馬に成る。これはアラブ人が言う所の「ان البغان بارحنا تستتسر」と同じである。
v3-0120
بوز boz 鈍色、濃い鼠色、薄青毛。「بوز ات boz at」薄青毛の馬。これは綺麗な色ではない。あらゆる動物の毛色が白と赤の間なら均しく此の様に言う。「بوز قوی boz qoy」鈍色の羊。
بوز böz 粗布、手織りの棉布。
بوز buz 氷。この言葉は諺では此の様に用いる。
بنزدن سوؤ تمار
buzdan suv tamar
氷から水が滴る。この諺は父親と性格がそっくりな人の事を指して言う。
بیز bäz 腺。肉と皮膚の間の瘤、腫物。
توز toz 塵、埃、砂埃。
توز toz 弓の握りに巻き付ける皮条。
توز tüz 民衆。「ایل توز نتك äl tüz nätäg」国の民はその様なもの。
توز töz 根、根源。「انك توبي توزي کم aning tüpi tözi kim」彼の先つ祖は誰?
توز tüz 平らか、平坦な。「توز ییر tüz yär」平地。
توز tuz 塩。
تیز tiz 膝、膝小僧。
تیز täz 浅瀬。高地、高原。ペルシャ人は砦の事を「دز diz」と言い、此の言葉の語源である。カシュガル付近の牧場の名称も、その地勢が高いので「ترغ ارت تیز tarigh art täz タリグアルトテズ(タリグ峠の原)」と言う。別の牧場も「تیزنك تیز täzäng täz テザンテズ(テザン原)」と言う。「ییز اؤي تیز yiz ävi täz イズエヴィテズ(イズエヴィ原)」はバルスハン附近の牧場の名称である。
v3-0121
جیز chiz 二つの発音の部位の間の発音「ز」で読む。鉄釘。鉄兜に釘で付けられ房のことも「جیژ chiz」と言う。
سوز söz 言葉、話。
سیز siz あなた様。年長者や敬うべき相手に用いる言葉。その意味は「あなた」である。チギル語。本来その意味は「あなた方」である。目下に対しては「سن sän お前」と言う。オグズ人が此の言葉を使う時は全く正反対である。
قوز quz 山背、山の北斜面。「قوز تاغ quz tagh」陰を背にした山、山の陰側。
بوس bus 霧。「کوك بوس بادي kök bus boldi」空が霧に覆われた。「ار کوزي بوس بلدي är közi bus boldi」人の目が曇った。即ち、腸の捻じれる様な思いをして目の前が暗くなった。
توس tus 「توس توس tus tus」はやばやと。「اني توس توس اردي ani tus tus urdi」彼は素早くはたいた。
v3-0122
بوش bosh 空の、暇の、ふわふわした。「بوش کشي bosh kishi」暇(自由)な人。「بوش اراغت bosh uraghut」独り身の婦人、離婚した婦人。「بمش الك bosh älik」手ぶら。「بوش ات bosh ät」柔らかい肉。ふわふわの地面も此の言葉を用いる。「بوش ات bosh at」放たれた馬。「بوش اؤ bosh äv」空き家、留守の家。放置された食器や用具には「بوش bosh」という言葉は使わない。
بیش bäsh 五。数字の五。
توش tush 同様な、同等な、同輩の人、同い年の人。「انك توشي aning tush」彼の同輩。
توش tush 対面、正面。ある物の対面。「اؤم توشي ävim tushi」家の向かい側。
توش tösh 胸の真ん中。
توش tush 金或いは銀で作られた。ナンを腰のベルトに吊り下げる鈎。
توش tüsh 真昼、正午。「توش اودي tüsh ödi」昼間時。
توش tüsh 夢、夢精。「توش کرمش اغلان tüsh körmish oghlan」夢精した男児。
توش tüsh 夢。「توش یوردي tüsh yördi」夢解きした。夢占いした。
v3-0123
تیش tish 歯、牙。人及び其の他動物の歯。
تیش tish 歯、鍬の刃。
تیش tish 「تیش ات tish at」頭に白斑のある馬、白斑が目に達するが、耳に達せず、鼻先までも伸びてない馬。
سیش sish 肉の串焼きの敷物、焼き肉用の串。麺片の箸。
سیش sish 炎症、腫。
سیش säsh 賠償。「من انکر سیش بیردم män angar säsh bärdim」私は彼に贖った。
قوش qosh 「قوش ات qosh at」王の身辺に走る備え馬。
قوش qosh 双の、対になるあらゆる物。鋏のことを「قوش بجاك qosh pichäk 双刃」と言うのは此れに由来する。ヤバークー語。此の言葉は諺では此の様に用いる。
قورقمش کشيکا قوی بشي قوش کرنور
qorqmish kishigä qoy bashi qosh körünür
怖がる人には羊の頭も二つに見える。この諺は、ある物を恐れる人は、その物を見て恐れて飛び上がる様な人のことを指して言う。
کیش kish 黒貂。その尻尾の事を「کیش قذرقي kish qadhruqi」と言う。
کیش kish 矢筒、箙。オグズ人及び其の付近のキフチャーク人たちは此の言葉を知らない。
v3-0124
لیش läsh 唾、涎。チギル語。此の言葉は「痰」の意味もある。「لیش اؤتي läsh aqti」涎と痰が流れた。
موش mush 猫。チギル語。オグズ人は「جتك chätük」と呼ぶ。
بوغ bogh 風呂敷、風呂敷包。
توغ togh 塵、砂埃。馬蹄が堵上げる土煙。
تمغ tugh 鼓。王の御前で敲かれる太鼓。「خان توغ اردي han tugh urdi 汗の鼓を打った」、この語は此れに由来する。
توغ tugh 纛、旗、旌。「تقوز توغلغ خان toquz tughlugh han」九纛を持つ可汗。王の版図が広がり、その権威が如何に上がろうとも、纛が九本を超えることは無い。何故ならば、九の数は吉祥と見做されるからである。王の纛旗は、ホトトギスの嘴の様な色で染めた布で縫製される。吉祥と見做されるからである。
توغ tugh 土手、堤。「سؤقا توغ ار suvqa tugh ur」水を堤が堰き止める。
توغ tugh あらゆる物の覆い。「تنکلك توغي tünglük tughi 天窓の覆い」は此れに由来する。
تیغ tigh 「تیغ ات tigh at」毛色の色合いが深紅と薄赤の間の色の馬。(鹿毛ないしは赤栗毛か?)
جوغ chugh 「جاغ جوغ قیتي chagh chugh qopti」喧嘩が起きた。此の言葉は時には「جغي قبدي chughi qopdi 喧嘩が起きた」とも言う。
جوغ chogh 風呂敷包。物を包む風呂敷。
v3-0125
جوغ chogh 太陽の熱量。「کون جوغي kün qoghi」太陽の熱量。
جوغ chogh 火焔。赤く燃え上がった火が放つ炎。
جیغ chigh 苫、蓆、ソクズの蓆。帳の中で生活する人たちはソクズで編んだ蓆を使う。ソクズは葦に比べて細くて柔らかい。
جیغ chigh 尺。テュルク人の度量衡。アラブ人の一尺の三分の二。遊牧民は此れで布を量る。
سیغ sigh ・・・のよう。「よう」の部分を表す助詞、意思や比喩を表す名詞の後に付く。「قلسغ ار qulsigh är 奴隷の様な奴」。「بو قري ال اغلانسغ bu qari ol oghlansigh この年寄りはよ、子供の様である」。「ك ― k」の字のある言葉、及び弱く読む言葉の中で、「ك ― g」は「غ ― gh」の位置に現れる。「بو ار ال ارسك bu är ol bägsig こいつはよ、伯克の様である」。「بو اغل ال ارسك bu oghul ol ärsig この子はよ、男らしい」。
قوغ qogh 目や料理の上に落ちた汚物、ゴミ。
قوغ qogh ええ、ああ。「قاز قاغ قوغ اتي qaz qagh qugh ätti 鵞鳥はカグクグと鳴いた。
قیغ qigh 糞、堆肥。土壌を軟らかくするために使う肥料。
ثوف suf 毛糸で編んだ縄。
v3-0126
سوؤ suv 水。此の言葉は諺では此の様に用いる。
سوؤ بیرماس کا سوت بیر
suv bärmäskä süt bär
水をやらずば、乳をやれ。この意味は、自分に対して悪くする奴には善く施せ、何故ならば、善く扱うことで奴を従わせることが出来るからである。
قوؤ quv 「تون قاؤ قوؤ بلدي ton qav quv boldi」服がガバガバになった。
بوؤ pov カビ。長らく放っておいて悪くなり、ナンの表面に緑色のカビが生える。その他にも用いる。
بوق boq 大便、糞。オグズ語。
بوق boq ボクッ。「قاغون بوق ییرکا تؤدي qaghun boq yärgä tüshdi」メロンがボクッと地に落ちた。中身が空の物が地面に落ちて割れることを「بوق اتي boq ätti」と言う。
جوق choq 「جوق ار choq är」卑しい奴。オグズ語。
جیق chiq お前(ちょっと)。「جیق ات کراین chiq ät köräyin」ちょっと声をあげて、ちょっと俺に見せて。此の言葉は相手を指して言う事はできない。人の機嫌を損ねない様に言う言葉である。
سوق suq 欲深な、貪婪な。「سوق ار suq är」欲張りな人、はしたない人。「سوق ارنکاك suq ärngäk」食指、人差し指。この指は貪婪である。何故ならば、この指は他の指よりも先に料理に届くからである。
سیق siq 少し。「الاردا قوي سیق ال olarda qoy siq ol」彼らの所は羊が少しだよ。
v3-0127
قاقوق qaqquq カァッカァッ。「قاز قاقوق اتي qoz qaqquq ätti」鵝鳥がカァッカァッと鳴いた。
قاقوق qaqquq 干した果物。手で割って陰干した果物。此の言葉は対偶詞で用いる。
بوك pük 遊んでいる時、羊の骨の賽子が正面が下を向く。「جك بوك chik pük」とも言う。
بوك bög 大毒蜘蛛。蜘蛛の一種。両種の言語の一種。
کوك küg 詩歌の韻律。「بو بیر ناکوك ازا ال bu yir nä küg üzä ol」この詩はどの韻が上だよ。
کوك küg 調子、曲調。「ار کوکلندي är kügländi」人が歌った。
کوك küg 毎年城市で人々の間で話される戯言や笑い話。「بو یل بو کوك کلدي bu yil bu küg käldi」今年は此の話が来た。
کوك kög 「کوك یلقي kög yilqi」頭の戒めを緩められた動物。此の言葉は諺では此の様に用いる。
کوکلر قمغ تزلدي
küglär qamugh tüzüldi
اؤرق اذش تزلدي
ivrik idhish tizildi
سنسز ارم ازلدي
sänsiz özüm özldi
کلکل امل اینام
kälgil amul oynalim
歌歌は全て編んだ、酒壺と盃は既に並べた。君だけが我が心、来たまえ、共に遊ばん。
v3-0128
کوك küg 発情。牡羊及び其の他の野獣は冬に近づくと発情する。「قوی کوکي بلدي qoy kügi boldi」羊が盛りになった。
کوك kög 鏡についた斑点。「کوزنکوکا کوك تشدي közngügä kög tüshdi 鏡に染みが付いた」の来源は此れである。
v3-0129
کوك kög 妊娠斑。女性の顔に出来る妊娠斑。他にも用いる。
کوك kök 天、天空。此の言葉は諺では此の様に用いる。
کوکا سذسا یوزکا تشور
kökkä sudhsa yüzgä tüshür
天に唾すれば顔に落ちる。この諺は、「人を悪く扱えば、報いは己に返ってくる」と言う事を暗示している。
کوك kök 青、藍色。「کوك تون kök ton」青い衣、藍色の衣服。青い色の如何なるものも此の様に言う。「کند کوکي känd köki」故郷の藍色、黒色、即ち城市の周囲の果樹園、緑洲。此の言葉は緑色に見える物にも用いる。「کوکیوك kökyuq キョクユック」郷村や冬営地を与えられた長者、トゥルクメンの長者たちの称号。
بیل bäl 腰。「اني بیلندا تت ani bälindä tut」彼を腰で掴め。「ال انکر انجا اش بیردي بیل قلدي ol angar ancha ash bärdi bäl qildi」彼は彼女をあんなに鱈腹食べさせた。ある人にたっぷりと食べさせることを「بیل قلدي bäl qildi」と言う。チギル語。
تول tul 寡を通す。「تول اراغت tul uraghut」寡婦。此の言葉は諺では此の様に用いる。
یؤلاق تیلغ بیکدا کرو یلنکوس تول ییك
yavlaq tilligh bägdän kärü yalingun tul yäg
悪口雑言を為す男と居るよりは寡の方がまし。即ち、悪口雑言を為す男と再婚するくらいなら、寡を通した方が好い。
تول töl 仔羊の面倒を見る時。オグズ語。面倒を見られる仔羊のことも「تول töl」と言う。
v3-0130
تیل til 言葉。此の言葉は諺では此の様に用いる。
اردو بشي تیل
ärdäm bashi tili
礼儀の首は言葉。この諺はアラビア語の諺「الورء مخبو تحت لسانه」と全く同じである。
تیل til 言葉、話。「ایغر تیلي uyghur tili ウイグル語」、「ختای تیلي hitay tili ヒターイ語」等の言葉は此れに由来する。
تیل til 罵り、罵倒。「ال بککا تیل تکردي ol bägkä til tägürdi」彼はベグを罵った。
تیل til (敵状を聴取する為の)捕虜、スパイ。「یغیدن تیل تتي yaghidan til tutti」敵から「舌」を捕まえた。
جیل chil 醜い。オグズ語。
جیل chil 棒で打たれた傷痕。
سول söl 肉汁や樹液。「سول لك ات söllüg ät」血の滴る肉。此の言葉は諺では此の様に用いる。
سکت سولنکا قذنك قاسنکا
sögüt sölingä qazing qasinga
柳は水っぽく、樺は堅い。即ち柳の木は瑞瑞しく、樺の木はとても堅い。
سول sol 左。「سول الك sol älik」左手。
سیل sil 小食の。「سیل کشي sil kishi」小食の人。「سیل ات sil at」小食の馬。
قول qol 手。
v3-0131
قول qol 山の頂より低い方に向かって下り、麓よりも高い所、山腹。「ابري قولي opri qoli」山腹。
قول qol 湾刀や刃物の刀身の表面に彫られた溝。大抵は其処に鍍金し、「قلج قولي qilich qoli」と呼ばれる。
کول köl 湖、沼、池、水の溜まった所。「اسك کول isig köl」イシグ・キョル。バルスハン地方の湖の名称。其の長さは三十ファルサーフ、幅は十ファルサーフに及ぶ。「کرنك کول körüng köl」キョリュン・キョル。カシュガルの山間「ییز yiz」の湖の名称、その周囲は三十ファルサーフに及ぶ。「سذنك کول sidhing köl」スィディン・キョル。上記と似た様な湖の名称。「قجنکار باشي qochngar bashi」コンチャルバシから近い。「یلدز کول yulduz köl」ユルドズ・キョル、クチャと「کنکت küngüt」キュンギュト、並びに回鶻との辺境上にある湖の名称。「اای کول ay köl」アイ・キョル、「اج uch」ウチュ近くの地名。「ترنك کول täring köl」テリン・キョル、「اکي اکوز iki ögüz」イキオギュズの辺境にある湖の名称。
これらの湖は夫々周囲四十ファルサーフ或いは三十ファルサーフに及ぶ。テュルクの諸城には此の様な湖は非常に多い。私はムスリム諸城の中の大きな湖を列挙するのみである。
v3-0132
کول köl 海。海の泡沫の事を「تنکز کبکي tängiz köpüki」とは言わずに、「کول کبکي köl köpüki」と言うのは此れに由来する。
تیم tim 水袋、飲み物の入った皮袋。「تیمجي timchi」酒屋、飲物売り。中には飲物売りを「تیم tim」と呼ぶ人もいるが、これは正しくない。何故ならば、「جي chi」はア何らかの行業に従事する人を表すからである。
سیم sim 「سیم سمراق sim simrak」一種の料理。羊の頭を好く煮た後、切り開いて調味料を加える。碗に盛り付けたあと、上からヨーグルトを掛けて味が滲み込むのを待ってから食す。チギル語。
قوم qom 駱駝の鞍敷。その中に草を詰めて編んで、高さを駱駝の瘤に揃え、その上に鞍を置く。「تؤی قومي tävä qomi」とも言う。
قوم qum 波、波浪、水紋。此の言葉は詩歌の中では此の様に用いる。
کلم قومي قبسا قلي تامغ اتار
kölüm qumi qopsa qali tamigh itär
کرسا اني بلکا شي سوزکا بتار
körsä ani bilgä kishi sözgä pütär
もし我が湖が波立てば、我が家の壁をも打倒してしまうだろう。もし智慧のある人を見れば、我が話を信じよう。
v3-0133
نوم nom 宗教、イスラム教の教法。「تنکري نومي tängri nomi 上天の宗教と教法」の語は此れに由来する。あらゆる宗教について「نوم nom」と言う。これは秦人の言葉である。
تون ton 衣服。
تون tun 安静、平静。「کنکل تون بلدي köngül tun boldi」心が落ち着いた、安心した。
تون tun 初めての、第一の、最初の。「تون اغل tun oghul」初めての子、男の子、女の子に関わらず、婦人にとっての最初の子。長女の事を「تون قیز tun qiz」と言う。婦人の最初の夫の事を「تون بك tun bäg」と言う。
تن tin 安らぐ、無事な。「تین کشي tin kishi」如何なる仕事もせずにぶらぶらしている人。長らく使われていない家畜についても此の言葉を用いる。
تین tin 馬の手綱。
جین chin 真の、真実の、実在の。「جین سوز chin söz」真の話。「جین کشي chin kishi」頼れる人、誠実な人。
v3-0134
خون hun 徒労の、無益な。「خون ایش hun ish」徒労の事、無用な事。「خون خرا ایشلما hun hara ishlämä」骨折りして痴れ事するに及ばず。
سون sun 「سون کشي sun kishi」温和な人、心の広い人。
سون sun 「سون التون sun altun」金の札、その長さは一尺ほどである。
سین sin 身の丈、身長。「بوذلغ سین لغ کشي bodhlugh sinligh kishi 大きな背丈の人」の語源は此れである。墳墓も「سین sin」と言うのは、墳墓の長さが人の背丈と均しいからである。
سین sin 墳墓。「قاتون سیني qatun sini」カァトン・スィニ、秦とタングートの間にある一城市の名称。
سین sän お前。ケンチェーク語。テュルク人は「سن sän」と言う。ケンチェーク語では、言葉の大半が斉歯符を帯びている。この為、彼らの言葉には、はっきりしない所が有る。
上秦に至る地の部族チギル、ヤグマー、トフシ―の言葉では、言葉の大半が合口符を帯びている。ルームに至る地のオグズ、キフチャーク、スーワール語では、却って開口符を帯びている。これは正にテュルク人が駱駝の事を言う時、「ت」の字で斉歯符を付けて「تؤی tävä」と言う。オグズ人は上述の所に開口符を付けて「توا täwä」と言うのと同じである。テュルク人は「د」に斉歯符を付けて「بردم bardim 我は行った」と言う。これは規則に合っている。オグズ人は「د」に開口符を付けて「بردم bardam 我は行った」と言う。これは規則に違っている。エールグー人は過去形動詞で、「د」を合口符にして「کلدم käldüm 我は来た」、「بردم bardum 我は行った」と言う。これは規則から遥かに隔たっている。これは即ち部族の間の違いである。
v3-0135
شین shin 宝座、王位、敷物。チギル語。
قون qon 羊。エールグー語。「ن」が「ی」と交替する規則は斯くの如し、これは上にて説明済みである。
قین qin 鞘。湾刀や匕首の鞘。
کون kön 皮。馬の皮は「ات کوني at köni」と言う。時には人の皮膚についても用いる。「انك کوني قریدي aning köni kuridi」彼の皮は縮まった、即ち死んだ。駱駝の皮については「تؤی کوني tävä köni」と言い、此の言葉に由来する。此の言葉は皮が未だ鞣されてない状態を言う。鞣された後は「قغوش qoghush」と言う。
مون mun 憂い、苦痛、苦難、過失、罪過、欠点。「مون کشي mun kishi」憂うる人。此の言葉は諺では此の様に用いる。
یلنکق اغلي مون سز بلماس
yalinguq oghli munsuz bolmas
裸の子は罪なしには済まず。
v3-0136
本章中の語尾の字がイラートの語彙
بوی boy ボイ。食べられる一種の草。オグズ語。
بوی boy 平蜘蛛。蜘蛛の一種。この言葉は「بوك bög」とも言うが、「بوی boy」の方が正確である。
بوی boy 部族、氏族。オグズ語。全く素知らぬ二人が遭うと、相互いに挨拶した後、「بوی کم boy kim 部族はどれ」と尋ねる。それに対して「ساغر salghur サルグール」と答えたり、本書の序章で紹介した何れかの部族の中の一つを言う。これら部族の名称は皆祖先の名前である。その後で話をしたり、其々旅に出る。此の様にして、彼らは各自の部族を了解するのである。
توی toy 宿営地、部隊の宿営地。「خان توی han toy 汗の行営」という言葉は此れに由来する。オグズ人は此の言葉を知らない。
توی toy 「توی اوتي toy oti」薬を作る為の一種の草。
توی toy 泥、陶土、陶器を作る泥。「توی اشج toy äshch 土鍋」という言葉は此れに由来する。
توی toy 野雁、山七面鳥。「ی」を用いて「ذ」に替える言語では此の様に言う。その他に「توذ todh」という言い方もある。チギル語。
قوی qoy 羊。「قوی یلي qoy yili」羊年。テュルク人の十二支の一つの名称。
v3-0137
قوی qoy 懐、胸。「الك قویقا سق älik qoyqa suq 手で胸に抱く」の一語も此れに由来する。
قوی qoy 谷底。山谷の窪地。
本章中のミサッラル
یوب yup 「یاب یوب yap yup」あの手この手、陰謀詭計。これは対偶詞である。「یوب yup」単独では使わない。オグズ人の「ال اني یوبلادي ol ani yupladi 彼は彼を欺いた」も、此の言葉に由来する。
یوت yut 風雪災害。冬に厳寒により家畜を凍え死なせる暴風雪。
یار yar 朋友、恋人。
ییر yär 地、土地、場所。
ییر yär 布の片面。これは、布を織る時、ある色を主にして、横糸の色と相称する片面のことである。例えば「یشل ییرلك برجن yashil yärlig barchin 緑の面の綢布」、要するに此の布は緑色を主役にしており、その他の色は脇役である。
ییر yir 歌、歌曲、曲調。
یوز yüz 顔。此の言葉は諺では此の様に用いる。
یوزکا کورما اردم تلا
yüzgä körmä ärdäm tilä
顔を見るな、品徳を望め。即ち、顔の善し悪しに拘るに及ばず、其の品徳を見よ。これは「عمام」の「انما المرء باصغریه」と一緒である。
v3-0138
ییز yiz ソクズ(蒴藋)、クサニワトコ。これで簾を編み、葦よりも細くて柔らかい。
یوش yush 幼い、若い。「یاش یوش yash yush」菜、野菜。「یوش yush」単独では使わない。
ییش yish 下る、坂。「ارت ییش art yish 峠」の言葉も此れに由来する。
یوغ yogh 法事。遺体埋葬後、三日目或いは七日目に行う祭祀。
یوق yuq 乾いてこびりついたもの。「یاق یوق yaq yuq 器皿の汚れ垢」。「ایاق یقي ayaq yuqi 器皿汚垢」の一語も此れに由来する。この外に遠縁の者たちを「یاق یوق قداش yaq yuq qadash」と呼ぶ。
یوق yoq 無い。「ال مندا یوق ol munda yoq」彼は其処にはいない。
یوك yük 鳥の羽毛。
ییك yig 轡、はみ。「یکون ییکي yügün yigi」面繫轡一式。
v3-0139
ییك yäg 「良し」の意を表す助詞。此れは、とある物が他の物に比べて秀でてることを表す。「بو ات اندا ییك bu at anda yäg」この馬は其れ等よりも好い。
ییك yig 生の、火を通してない。「ییك ات yig ät 生肉」。あらゆる生の物を「ییك yig」と呼ぶ。
ییك yig 糸巻き軸。「ا」に替えて「ایك ik」としても好い。これはアラビア語の「المعی ویلمعی الندد ویلندد」等の言葉の中で字が交替することと同じである。
یول yol 道、道路。旅のことも「یول yol」と言う。「انکر یول جقتي angar yol chiqti」彼は其処から旅に出た、彼は旅をしていた。これは、突然、旅に出たことを意味する。
یول yul 泉。
ییل yäl 風。
ییل yäl 鬼、妖風。「ار یلبندي är yälpidi」男が風に当たった、即ち鬼に取り付かれた。
ییم yäm 食物、飯。「ییم کلدر yäm käldür」飯持ってこい。
یون yun 「یون قش yun qush」孔雀。「یون ارق yun ariq」ユンアリク、バラーサーグーン附近の牧場の名称。
یین yän 体。人の体。
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