第一 ハムザの部
ハムザを帯びた名詞の部(v1-0038~0175)
ハムザを帯びた名詞の部(v1-0038~0078)
v1-0038
بسم الله الرحمن الرحيم
二字の篇
أَبْ äp/ap 強調或いは誇張する接頭辞。例えば、ある物がとても良いこと表し、「أب اذکونانك äp ädgü näng いとよき物」と言う。オグズ人は「أب أق ap aq まっ白」と言う。
أب ap 否定を表す虚詞。「أب بو أب ال ap bu ap ol これではない それではない」。
أب üp 色の濃淡を強調する接頭辞。「اب ارنك üp ürüng 真っ白な」チギル語である。
اب اب op op 滑って転んだロバを起こすために叱る感嘆詞。
اب op 立ち上がった牛の群れの中で、最も真ん中に居る牛の事。エールグー語。
v1-0039
ات at 馬。諺語ではこう言う。「قوش قنتن ار اتن qush qanatin är atin 鳥には翼、男には馬」。
أت ät 肉。「أت یير ät yär 柔らかい土地、柔らかい土壌」。
ات ot 家畜の食べる草、牧草。「اتقا ات پيرکيل atqa ot bärghil 馬に草をやれよ」。
ات ot 薬草。「ات اجتم ot ichtim 私は薬を飲んだ」。医師の意の「اتاجی otachi 薬師」も、この語彙からの派生である。
ات ot 毒物、毒薬。「بک انکار ات بيدي bäg angar ot bärdi ベグは彼に毒を下した」。
ات it 犬。
اج ach ちょっと、もしもし等の掛け声。「اج برو کل ach bärü käl ちょっとこっち来い」。
اج üch 三。「اج یرماق üch yarmaq 三枚の銅銭」。
v1-0040
اج uch ウチュ。一つの著名な都市。
اج och 山上に生える樹木の一種。テュルク人はそれを用いて、筆を製作したり、はずみ車や杖を製造する。
اج ich 内、物の内部。「اج قر ich qur ズボンの帯(綿や麻を編んで作られた物)」。「اج سوز ich söz 心の中の話。内輪の話」。
اج ich 「اج ات ich ät 肝臓の傍の薄い筋肉」。
ار är 人、男。この言葉の複数形は「ارن ärän」として表す。これは不規則である。何故ならば、複数形を表す語尾は「لار lar/lär」だからである。
ار ir 照れ、恥。「ار ار پلري är ir boldi 人が恥じ入った」。
از üz 汁物の表面に浮かぶ油。「ازلك مون üzlüg mün 油ぎった肉汁」。
اس üs 物事の善し悪しを分別すること。オグズ語。「ال اس بلدي ol üs boldi 彼は分別がつくようになった」。
اس äs 猛獣に食わせる肉
س us 禿鷲。この言葉は詩歌の中では、この様に使われる。
کلدي منکا تات
käldi manga tat 来たり 我に 余所者が
ایذم امذي یات
aydim ämdi yat 我言えり 今 倒した
فشفا پلپ ات
qushqa bolup ät 鳥の為にしよう 餌に
سني تلار اس بري
säni tilär us böri お前を割いて 禿鷲 狼に
ある異教徒の回鶻が私に立ち向かってきたので、私は彼を殺した。禿鷲や狼のエサにする為に、私は彼をバラバラにした。
اش ush 如く、様に。「اش مندغ قيل ush mundaq qil この様にしろ」。
اش ush ただいま。「اش کلدکم بو ush käldükün bu ただいま着いた所です、ここに」。
v1-0042
اش اش üsh üsh 牛が水を飲む時の擬音語、擬態語。
اش ush 木の幹と枝、角状の物の髄となる部分。「منکز اشي müngüz ush 角髄」。鳥や馬の尾骶骨も「ush」と呼ぶ。
اش ish 煙、油煙、ランプ或いは壁の上の灯火。「تون اش بلدي ton ish boldi 服が煤だらけになった」。
اق oq 矢。
اق oq 曲椽。「اؤ اقي äv oqi 毡房の曲椽」。「اق لان oq yilan 矢蛇、人に向かって飛びかかる蛇」。
اق oq 分。土地や財産を分けた時の取り分。
اق oq 動詞の後に置いて、強調の語気を表す接尾辞。「برغل اق barghil oq お前行けよ、あなた行きなさい」。
اق oq 副詞の後に置いて、語気を表す。「بیا اق کلديم baya oq käldim やっと来たばかりだ」。
「امدي اق ايدم ämsi oq aydim 今言ったばかりだ」。
اق iq 冷たい水を飲んだ時に舌を鳴らす音。「اني اق تتي an iq tutti 彼はごくりとした」。
ال ol 彼。「ال اندغ ایدي ol andagh aydi 彼はそのように言った」。
ال ol それ。「ال ار ol är その人」。
v1-0043
ال ol 名詞や動詞の後に加えて、肯定や確実の語気を示す。「ال منك اغام ال ol mening oghlum ol あれは俺の子だよ」。「ال اؤکا برميش ال ol ävgä barnish ol 彼は家に行ったよ」。
ام äm 治療。「امجي ämchi 医師」の語源である。
ام äm 女性器。オグズ語とキフチャーク語である。
ام öm ズボン。
ام im 暗号、合言葉。軍隊で総大将が密かに合言葉を決める。一般には猛禽類や武器の名称から、合言葉を作る。二つの部隊が遭遇した時、合言葉を以て互いを見分け、同士討ちを防ぐ。夜間に出会った時、相手に合言葉を告げ、相手が答えられれば味方と見做し、答えられなければ、即攻撃される。この言葉は諺ではこの様に言われる。「ام بلسا ار المس im bilsä är ölmäs 合言葉を知れば死ぬまい」。
ان ün 音、発音。「و」を加えて「اون」とも綴る。
本章中のムザッワーフの語彙
ار ärrä 尿。ロバを交配させるときの言葉。三回言ったあとロバは交わる。
ار urra 疝気。オグズ語。
ار irra 恥、照れる。この言葉は軽く読んでも、重く読んでもよい。
v1-0044
本章中の四字の語彙(※原文のまま)
أا ā 驚く、訝る時の感嘆詞。「ال مني أا قادي ol meni ā qildi 彼は私にびっくりした」。
اذو udhu 睡眠、眠り。「اذيديم uzidim 私は眠った」。「و」の音は、合口符と斉歯符の間なので省略された。
اوا uwa 相手に答える時の感嘆詞。「はい,ええ,ああ,おう」等にあたる。例えば、ある人が言う。「おいムハンマド!」、それに答えて「はい、何の言いつけですか?」。
اقا oqa 保証、担保。「من اني اوقا الدم män ani oqa aldim 私は彼に保証した」。
أو aw 相手の言い付けや命令に従わない時の感嘆詞。「いや」。
ای ay 橙色の絹織物。
v1-0045
ای ay ای بتکي ay bitiki 兵士の姓名・糧食を記載した帳簿。
ای äy 「أو aw」と同じく、命令への不服従を示す感嘆詞。
本章中のグンニィーの語彙
انك äng 頬。「قزل انك qizil äng 赤い頬」。
انك ang 鸛、こうのとり。油を薬用に用いる。この鳥の油を手の平に塗ると、手の甲にまで染み渡る。
انك ang 「不」の意味を表す言葉。オグズ語。何かの作業を手伝うものに言う。「انك انك ang ang 違う、違う」。
انك öng 先、前、前面。「ال مندن انکدن بردي ol mändin öngdün bardi 彼は私の前から行った」。
انك öng 顔色、物の色彩。「یاشل انكلك تون yashil önglüg ton 緑色の服」。
اونك ong 順調な、容易な。「اونك ایش ong ish 順調な事」。これを縮めて「انکای ongay」とも言う。
انك ong 右。「انك الك ong älik 右手」チギル語。
v1-0046
三字の篇
فعل fä’l فعل fu’l فعل fi’l 型の中間に静符を帯びた字の語彙の章
ألب alp 勇士、英雄、豪傑。
「ألب یغيدا الجق جغبدا alp yaghida alchaq chughida 勇士は戦いで礼節を示す」。この言葉は詩歌では、こう歌われる。
الب ارتنکا الديمو
alp ärtonga öldimu
ایسيز اژون قلديمو
äsiz azun qaldimu
اذلك اوجن الديم
özläk öchin aldimu
امري یرك یرتلور
ämdi yüräk yirtilur 今心は引き裂かれる
アフラースィヤーブ可汗は世を去ったのか?世道の不平が彼を除いたのか?蒼天は仇を討って恨みを晴らしたのか?当世人々は彼の世道の不平への恨みの為に断腸の思いである。
ارت art 「ارت سح art sach 後ろ髪」。「ارت art」は後頭部、うなじの意味である。
ارت art 峠。諺で言う所では「ارمکوکا اشك ارت بلور ärmägügä äshik art bolur 怠け者が門をくぐるのは、峠を越えるが如し」。
ارت urt ものもらい。
ارت ört 火、大火。
است ast 通り、巷、町割り。チギル語。
اند and 誓い、誓言。「اندق andaq」とも言う。
ارق arq 廃物、カス。「تمر ارقي tämür arq 鉄くず」。
ارق urq これは「ارق uruq 縄」の短縮形である。
ارق irq 占い。人の心を推し測ること。
v1-0048
ارك ärk 統治、権勢、自主、意志。
ارك örk 家畜を繋ぐ綱、絆。
ارك irk 四歳に満たない羯羊。
الك ilk 先、以前。「الك سن برغيل ilk sän barghil 先にお前行け」。
本章中のマンクースの語彙
اوب اوب öp öp ざまぁ見ろ。自慢気な人間が失敗した時に「 öp öp」と言う。
اوت ōt 火。諺ではこう言う。「اوت تیسا اغيز کيماس ōt täsä aghiz köymōs 火と言っても口は燃えない」。この諺は、口が先走り、許しを請う人に用いる。
اوت öt 肝、胆嚢。
اوج öch 仇、恨み。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。
v1-0049
اوج کك قمغ کشي ننك یلنکوق امزا الیم بیل
öch käk kamugh kishining yalinguq üzä alim bil
اذکولوکوك اوغنجا الکینك بیلا تلیم قیل
äzgülüküg ughancha äliking bilä tälim qil
恨みは未払いの債務の様な物、出来る限り避けなければならない。この一点を知れば、追い出された者、故郷を離れた者は善を尽くさねばならい。
اوج uch 先っぽ。「بتق اوج putaq uchi 梢」。
اوج uch 「اوح ایل uch äl 辺界、辺境、辺民」。
اوج uch 物事の終わり。オグズ語。「بویدا نا وج بار boyda nä uch bar 族人たちは尽くせなかった」。
اود öd 時、時間、時代。諺では以下のように用いる。
v1-0050
اود کجار کشي تويماس
öd kächär kishi tuymas 時には何時も人は気付かない
یلنکق اوغلي منککو قلماس
yalinguq ogli mämggü qalmas 裸の子供は永久に終わらない
وذ ud 牛、耕牛。チギル語。テュルク人の十二支の一つ。「ادود ییلي ud yili 丑年」。
اور or 「اور ات or at 棗騮馬(紅い馬)」。毛色が深紅と黄色の中間の馬。(※鹿毛或いは栗毛か?)
اور ör 外套や上着の袖。
اور är キリ、穴あけ。
ایر är 土地。幾つかの方言では「یير yär」とも言う。
اوز üz 汁物の表面に浮かぶ油。「اوزلک اش üzlük ash 脂ぎった料理」。
اوز üz 聾。「اوز کشي üz qishi つんぼ、聾唖者」。
اوز öz 自ら、自己。この言葉は詩歌の中ではこの様である。
کورکلوك تنوغ اوزنك کا
köklüg tonugh özünggä
تتليغ اشيغ اذينقا
tatligh ashigh adhinqa
توتغیل قنوق اغیرلیغ
tutghil qonuq aghurliq
یذسون جؤينك بذنقا
yadhsun chaving bodhunqa
綺麗な服は貴方自らが着、美味しい食事は他人に分け与えなさい。客人を敬えば、貴方の美名をより高めることになろう。
اوز öz 峡谷、谷川。「تاغ اوزي tagh özi」とも言う。
v1-0052
أوز öz 「اوز کشي öz kishi 身内、内輪の人、腹心」。「پو پزنك اوز کشي اول bu bizning öz kishi ol こいつは俺たちの身内だ」。
اوز öz 心臓と其の他内臓器官。「اوزم اغریدي özüm aghridi ぼく御腹痛くなった」。
اوز öz 木の髄。「یقاج اوز yighach özi ナツメヤシや其の他の樹木から採取した樹液」。
اوز uz (器用な、巧い)「اوز کسي uz kishi 器用な人、名匠」。
اوز öz 「اوز قنقي öz qonuqi 体内に活動するもの。霊魂、生命」。この言葉は詩歌ではこの様である。
پردي کوزوم یروقي
bardi közüm yaruqi
الدي اوزم قنقي
aldi özüm qonuqi
قندا ارنج قنیقي
qanda ärinch qaniki
امدي اودین اوذرور
ämdi udin ozghuru
我が眼から光(愛する人)が去り、共に我が命も持ち去った。彼女は何処に行ったのだろう。その思いの為、眠れない。
ایش ish 事、事情。「ایشنك بار ishing bar お前何の用?」。
ایش äsh 仲間、同僚。「ایشلك äshlig 何かに憑りつかれた人」。この言葉は詩歌ではこの様である。
اننك ایشین کجوردم
aning ishin kächirdüm
ایشین یما قحوردم
äshin yämä qachurdum
اولوم اوتن ایجوردم
ölüm otin ichürdüm
ایجتي بلب یوزي ترن
ichti bolup yüzi türün
私は彼を殺し、彼の仲間も驚かせた。彼に毒の盃を仰ぐように強いた。彼は眉をひそめて飲んでしまった。
v1-0054
اوغ ugh 毡房の曲椽。(※フェルトのテントのドームを支えるため、ドームの頂上の棟木から軒桁に架け渡す曲がった垂木。)⇒اق oq 曲椽 v1-0042
اوق oq 分。土地や財産を分けた時の取り分。「انکار بیر اوق تکدي angar bir oq tägdi 彼に一分(の遺産)を分けた」。⇒اق oq v1-0042
اوك ög 智慧、機知、知力。知謀に長けた者を「اوکا ögä」と呼ぶ。歯が比較的大きな家畜への呼びかけにも「اوك ög」を使う。例えば、四歳以上の馬を「اوک ات ög at」と呼ぶ。
ایك ik 紡錘、はずみ車。「ییک yik」とも言う。
ابك ig 疾病。
v1-0055
اول ul 土台、基礎。例えば「تام اوري tam uli 壁の土台」
اول öl 湿っぽい、濡れている。「اول نانك öl näng 湿った物」。「اول تون öl ton 濡れた服」。オグズ人はこの言葉が解からない。
ایل äl 部族連合、国、人民、行政区画。「بك ایلي bäg äli ベグの管轄地域」。
ایل äl 空き地。「فبغ ایلي qapugh äli 門前の空き地」。
ایل äl 馬の別名。テュルク人にとって馬は翼の様なものなので、故に馬を「ایل äl」とも呼ぶ。馬飼いを「ایل باشي äl bashi」と呼ぶのも此の為である。字面の上では、「国の頭」の意味のようであるが、実際は単なる馬を飼う人の事である。
ایل äl 王やベグたちの間で結ばれた和議。「ایکي بك بيرلا ایل بلدي iki bäg birlä äl boldi 二人のベグは共に和議を結んだ」。
ایل äl 「ایل کشي äl kishi 悪い奴」。「ایل قوش äl qush 鳶」。
اوم um 「ار اوم بلدي är um boldi あの人は胃痛になった」。肉を食べ過ぎると胃が痛む。
اون on 十。
v1-0056
اون ün 音、発音。読み方は長くても短くてもよい。
اون un 粉、小麦粉。
این än 「این ییر än yär 傾斜地、下り坂、窪地」。「این یق än yuq 皇帝の起伏がある所」。
این än 幅、寛さ。「بو بوز ایني نجا bu böz äni nächä この綿布の幅はどのくらい?」。
این in 巣、穴。獅子や狐などの穴。この言葉は「یین yin」とも読む。
این in 羊の意の中の未消化の草。「یین yin」とも綴る。
本章中の四字の語彙
اوی oy 窪地m¥、凹地。
اوی oy 「اوی ات oy at 煤けた色の紅い馬(黒鹿毛)」。
中間に静符を帯びた字の語彙わ終り
v1-0057
間に動符を帯びた語彙の篇
فعل fä’l فعل fu’l فعل fi’l 型の中間に動符を帯びた字の語彙の章
اذت adhut (量詞)一すくい。「بیر اذت نانك bir adhut näng 一すくいの物」。
ارت arut 「ارت ات arut ot 経年した枯草、去年の草(干し草?)」。
اجت öchüt 仇恨、恨み。この言葉は「اوج öch」から来る。 ⇒v1-0048
اغت ughut 麦酒を醸造する為の一種の麹。この種の麹は多くの調味料と麦芽を用いて生地にし、生地を砕いて乾燥させる。小麦と大麦を似た後に、麹を取り出して粉末にし、均等に上面に撒き、その後、麦粒を清潔なもので包み、三日間弱火で煮、甕の中に密封する。十日後に十分発酵するのを待ち、水を加え、糟糠を取り除いた液体が麦酒である。
اؤت ävät 「はい、そうです」の意味。この言葉には三種類の発音がある。ヤグマー、トフシー、キフチャークでは「اؤت ävät」と言う。オグズでは「امت ämät」或いは「اوت äwät」と言う。その他のテュルク人は「یمت yämät」と言う。
اؤت uvut 恥、照れ。
اؤت uvut 宴会への招待、或いはベグへの謁見。
v1-0058
اکت ägit 生癬の予防や中邪を防止する為に児童の顔に塗る一種の薬。紅花などの薬材を配合して作る。
اکت ögüt 教誨、忠告、説き勧めること。この言葉は詩歌ではこの様である。
الغیل اکت مندین اغول اردم تیلا
alghil ögüt mändin oghul ärdäm tilä
یویدا اولغ پلپ پلکینك اولا
boyda ulugh bolup bilking ülä
坊やよ、我が忠告を聞き、品徳高尚な人間を目指しなさい。そうして偉大な賢者となって、美徳と学問を広めなさい。
اکت ügit こすり。小麦などの者を擦って製粉する事。
اکتجي ügitchi 擦って磨く人。鏡。
اکت ägät 新婚の晩に新婦に付き添う娘のこと。
ایکت igit 仮の、偽の。「ایکت سوز igit söz 作り話、嘘」。
الت ölüt 殺害、殺人行為、殺し合い。殺人者や刺客を「التجي ölütchi」と言う。
v1-0059
الت ölüt 「الت ار ölüt är 老いた人」。
اتج atach 思い上がって己惚れた人。ある郷中で先輩風を吹かせる若者を「اتج اغول atach oghul」と呼ぶ。
اتج atich 投擲の的。子供たちが桃の種を投げて遊ぶ時、狙って投げる穴の事を指す。
اشج äshich 鍋。この言葉は諺ではこの様である。
اشج ایور توبم النون قمج ایور من قیدامن
äshich ayur tüpüm altun qamich ayur män qaydamän
鍋曰く、俺の底は黄金だ。勺曰く、俺の役目は何処にある?
これは、物事の本質を洞察する人が、大法螺を吹く人間の前で話す諺である。
اکج ägäch 聡明さと利発さで、人に実の姉妹の様に思われる少女。この言葉は好感や親しみを持つ少女に対して用いる。
امج amach 標的、まと。
امج amach 犂、木犂。
الج olich 男の子に対する愛称。「الجم olichim 我が宝よ」。カルルク語。
انج anach 年かさは小さくても、聡明で機知に富んで人から愛される少女。これは少女に対する愛称である。
انج anüch 胬肉。翼状片。 眼球の結膜が増殖して肉状突起が出来る病気。
اغر aghir 重い。「اغرلیغ کشي aghirliq kishi 民やベクから敬われる人」。「تنکري مني اغیرلادي tängri mäni aghirladi 神は我を重んじた」。「اغیر اذاق امرلدي aghir adhaq ämrüldi 重い足の人は休む」。歩みの遅い人は、ゆっくりと進むが、目的地には辿り着くという意味である。
v1-0060
اغیر aghir 「اغیر ننك aghir näng 貴重な物、珍品」。
اغر oghur 「اغر ات oghur at 玉頂馬(頭に白斑のある馬?)」。
اغر oghur 時、時間。「نا اغردا کلدینك nä oghurda kälding 君は何時来る?」。
اغر oghur 福。「بك اغرینذا منك ایشم ایتلدي bäg oghurinda mäning ishim ätildi ベグは幸運の下に我が事を成す」。
اغر oghur 時機、条件。「بو ایش اغرغ بلدي bu ish oghuruq boldi
اغر oghur 代価。オグズ語。「اتقا اغر الدیم atqa oghur aldim
اغر oghur 順調、うまくゆく。「یول اغر بلسون yol oghur bolsun
اکر äghir 菖蒲、あやめ、胃病を治す球根。この言葉は諺ではこの様である。
اغر بلسا ار الماس
äghir bolsa är ölmäs あやめが成れば、人は死なない。
菖蒲の球根を常に持ち歩くものは、胃病で死ぬことはない。胃病を患う者が、それを飲めば即快癒するからである。この諺の意味は「備えあれば憂いなしである」。
v1-0061
اکر ügür 黍。これはテュルク語である。オグズ人はこの言葉を知らない。
اکر ügür 「یاغ اکري yogh ügüri 芝麻(胡麻)」。オグズ語。
اکر ügür 群れ。羊、羚羊、駱駝等の獣やシャコ、イワシャコ等の群れである。
امر ämir 煙霧、霞と霧。オグズ語。
ابز obuz 丘。「اوی ابز oy obuz 丘陵」。
اتز atiz 田畑。二つの水渠の間の耕地。
اجز uchuz 微々たるもの、安い、安価。「اجز نانك uchuz näng 安物」。卑賎な人間を「اجز uchuz」と呼ぶ。「بك اني اجزلادي bäg ani uchuzladi ベグはそいつを賤しめた」。
اذز udhuz 皮膚病、癩病などを指す。この言葉は諺ではこの様である。「تلکو اوز اینکا ارسا اذز بلور tilkü öz iningä ürsä udhuz bolur 狐が己の巣穴で吠えればカブレになる」。この諺は己の国家や親族、住地に叛く悪人の事を指す。
ازیز äziz 高い。「اذیز ییر äziz yär 高地」。その他に高いものをこう言う。「اذیز تاغ äziz tagh 高く聳える山、或いは越すに越されぬ山」。
اغ ژ oghuz 初乳。牝牛や牝羊が仔を生んだ後、最初に出る乳。この言葉の語尾の
「ژ」は「ز」と書いてもよい。
v1-0062
اغز aghiz 口。河口。袋や壺、甕などの口。
اغز aghiz 口、嘴。人と動物の口。この言葉は諺ではこのようである。
「اغز یسا کوز ایاذور aghiz yäsä köz uyadhur 口で食えば、目は恥じかく」。これは他人の物を食べたり、或いは盗んだ者は、相手の要求を決して満足させることが出来ない。もしくは、他人を説得することができないことを指す。
أغز oghuz オグズ。テュルクの部族の一つ。オグズとはトゥルクメンのことである。彼らには二十二の氏族があり、彼らには其々独自の印と家畜に押すタムガがあり、タムガによって其々の家畜を見分ける。
第一にして筆頭の氏族は「قنق qiniq クヌク」であり、現代のスルタンの出身氏族である。彼らの家畜へのタムガは【略】
第二は「قیغ qay'gh カイク」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第三は「بایندر bayundur バユンドル」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第四は「اؤا iva イヴァ」、又は「یؤا yiva イヴァ」とも称する。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第五は「سلغر salghur サルグル」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第六は「افشار afshar アフシャル」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第七は「بکتلي bäktili ベクティリ」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第八は「بکدز bigdüz ビグドゥズ」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第九は「بیات bayat バヤート」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第十は「یزغز yazghur ヤズグル」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第十一は「ایمر äymür エイミュル」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第十二は「قرا بلك qara bölük カラ・ビョリュク」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第十三は「القا بلك alqa bölük アルカ・ビョリュク」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第十四は「اکدر igdir イドギル」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第十五は「ارکر ürägir ユレギル」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第十六は「توترقا tutirqa トゥーティルカー」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第十七は「اولایندلغ ulayundlugh ウーラーユンドルグ」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第十八は「توکر tügär テューゲル」である。「و」を省略して「تکر」とも書く。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第十九は「بجنك pächänäk ペチェネク」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第二十は「جولدر chuwuldar チュールダル」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第二十一は「جبني chäbni チェブニ」である。彼らの家畜へのタムガは【略】。
第二十二は「جرقلغ charaqlugh チャルカルグ」である。彼らの家畜へのタムガは不明である。
マフムードが按ずるに、人々がこのの部族の各氏族について知りたがっていたので、ここに逐一列記した。これらタムガを家畜に烙印することにより、彼らの家畜が混ぜこぜになっても、識別できるのである。上述のオグズの主な氏族は、それぞれ多くの支族を抱えているが、ここでは言及しない。これらの氏族の名称は祖先の名前に因む。アラブ人が「بنو سلیم バヌー・サリーム」とか「بنو خفجه バヌー・ハファージャ」と名乗るのと同じである。彼らもまた大昔の祖先の名から命名しているのである。
v1-0064
اکز ögüz 大きな河川。ワフシュ(アム河)やユーフラテス河などの大河巨川の呼称である。オグズ人は専ら「بناکت bänägit」川の事をそう呼ぶ。彼らの都城はその河沿いにあるからである。テュルク人は居住地域を流れる多くの河を「اکز ögüz」と呼ぶ。「الا ila」河と「یفنج yafinch」河の間にある辺境の都市は「ایکي اکوز iki ögüz」と呼ばれる。
v1-0065
اکز öküz 牛、去勢牛。この言葉は諺ではこの様である。
اکز اذاقي بلغنجا بزاغو بشي بلسا ییك öküz adhaqi bolghincha buzagh bashi bolsa yäg
牛の腿にするくらいなら、悪い頭の方を喰え!
この諺は「独立自主は従属に優る(鶏口牛後)」という比喩である。
اؤس avas 蜜蝋、石蝋。ブルガール語。
أولاس ulas 「اولاس کوز ulas köz 惹き付ける瞳、人を魅了する目」。この言葉は諺ではこのようである。
بلنار میني اولاس کوز
bunlar mäni ulas köz
قرا منکیز قیزیل یوز
qara mängiz qizil yüz
اندین تمار توکال توز
andin tamar tügäl tüz
بلناب بنا اول قجار
bulnap yansa ol qachar
黒子に艶めかしく美しい紅い顔と惹き付ける眼差し、私を虜にしたが、却って私を躱してしまった。
v1-0066
اپش öpüsh 口づけ、接吻。
اتش atish 互射、互いに弓射つこと。
اتش atish アティシュ。男性の人名。
اتش ütüsh ウュトュシュ。男性の人名。
اتش ötüsh 児童の遊戯。遊び方はこの様である。児童が輪になって座り、その中の一人が傍の児童にぶつかって「اتش اتش ötüsh ötüsh」と声を掛ける。意味は「お前も俺みたいに傍の奴にぶつかれ」である。この様に繰り返して、一周したら終わる。
اتش itish 押し競べ。二人の人が互いに押し合うこと。
اجش öchüsh 敵対する、賭けをする。
ادش adash 朋友。
ادش idish 器皿。ヤグマー、トフシー、イェメク、オグズ、エールグー等の言葉では等しく盆、やかん、大皿の類を「ادش idish」と呼ぶ。
v1-0067
ارش arish 織物や編物の経糸。「ارش ارقاغ arish arqash 経糸横糸」。
ارش urush けんか、殴り合い。
اغش aghish 上げること、登ること。
اغش oghush 氏族、宗族。
اؤش uvush 壊れた物。「اؤش اتماك uvush ätmäk 砕いたナン」。
اقش uqush わかる、さとる。「اقشلغ کشي uqushlugh qishi わかる人、よく理解している人」。
اوکوش üküsh 多い。「اوکوش نانك üküsh näng 多くの物」。この言葉は諺ではこの様である。
تیریش اسن بلسا تانك اوکوش کرور tirig äsän bolsa tang üküsh körür
人が世にあらば、多くを見ゆ
このことは、人は生きていれば、必ず多くの物ごとを見ることになるという意味である。
اوکوش öküsh 「اوکوش يلقي öküsh yilqi あばれ馬、じゃじゃ馬、馴れてない馬、馴らすのが難しい馬」。
الش alish 水抜き、水口。川の流れや湖沼から水を引く取水口。
الش alush アルシュ。カシュガルの一郷村名。
الش alish 取り立て、収得。負債者から取り立てること。
الش ülüsh 取り分、持ち前。
اولك ülük この言葉は「الش ülüsh」と同義である。
v1-0068
الش ulush 郷村、山村。チギル語。バラーサーグーンや付近のエールグー人等の都市の住民の言葉では「الش ulush」とは、都市の意味である。この為、バラーサーグーン城の事を「قوز اولوش quz ulush」とも呼ぶ。
الش ülüsh 取り分、持ち前。皆との分け前。この言葉の語尾は「ش」と「ك」を交替できる。
اجغ achigh 君主からのご褒美。「خان منکا اجغ بیري han manga achigh bärdi 汗は私に褒美をくれた」。
اجغ achigh 幸を受けること。「اوزونکني اجغلغ تت özüngni aghichligh tut 己に幸を保つ」。
اجغ achigh 苦い、辛い。味が苦い或いは辛いもの。
اذغ adhigh 熊。この言葉は諺ではこの様である。
اؤجي نجا ال بلسا اذغ انجا یول بایر avchi nächä al bilsä adhigh ancha yol biler
狩人が幾つ獲ったか知れば、熊はこの様な道を知れり。
この諺は経験豊富な者たちが互いに企み合うことを比喩する。
اذغ adhigh 酔いが醒めること、酔いが醒めた人。「اسرك اذغ äsrük adhigh 酔いと醒め」。
v1-0069
اذغ adhigh アズィグ。我々の故郷の名称。
اذغ odhugh 醒めていること。意識がはっきりしていること。冷静なこと。「اذغ ار odhugh är 目を醒ました人」。「اذغ کونکول لوك ار odhugh köngül lüg är 聡い人、鋭い人、機敏な人」。
ارغ arigh 天幕を覆うもの。バルスカン語。
ارغ arigh きれいな。清い。清潔な。「ارغ نانك arigh näng 清潔なもの」。
ارغ urugh 種、種族。土に撒く種も「ارغ」と呼ぶ。「ارغ اکتي urugh äkti 種を撒く」。近親を指して「ارغ ترغ urugh tarigh」と喩える。
ازغ azigh 獣の牙。
اسغ asigh 利、利益、儲け。
اسغ osugh やり方、秘訣、方法。「بو ایش اسغي موندغ bu ish osughi mundaq 子の事のやり方はこうである」。
الغ aligh 悪い、劣悪な(事物)。オグズ語とキフチャーク語である。
الغ ulugh 大いなる、偉大、巨大。事物が大きいこと。この言葉は諺ではこの様である。
الغلوقغ بلسا سن اذکو قلین
ulughluqugh bulsa sän äzgü qilin
بلفیل کشیك بکلار قتن یخشي اولان
bolghil kishig bäglär qatin yahshi ulan
高い位に就いたら厚く徳行に努めねばならない。君侯の傍で常に好い話をすれば、善い行いをする人になる。
v1-0070
الغ iligh 温かい、温い。「الغ سوؤ iligh suv 温水」。この言葉は本来「یلغ yiligh」である。
اجق achuq 開いた、広々、明るい。此の為、開いた門を「اجق قپغ achuq qapugh」と言い、晴れた空を「احق کوك achuq kök」、明らかな事を「اجق ایش achuq ish」と言う。
اجق ochaq かまど。
احق achiq 長兄。ハカーニヤ人は自分の長兄のことを「اجقم achiqim」と呼ぶ。語尾の「ق」は一人称の時だけ出現する。二人称では「اجقنك achiqing」とは呼ばない。
اذق adhaq 脚、足。
اذق adhaq 「اذق نانك adhuq näng 見知らぬもの、馴染のないもの」。「اذق」と言う言葉は本来「اغذدق aghduq」であり、悪い、変化が多いという意味であり、「اننك منکزي اغدي aning mängzi aghdi 彼の顔色が変わった」という句の「اغديaghdi」から来ている。簡化する為に「غ」を省略した。
v1-0071
اذق udhiq 「اذق ار uziq är 転び寝する人」。
اذق idhuq 吉祥な物、目出度いもの、瑞祥。自由気ままにさせておく家畜の事を「اذق idhuq」と呼ぶ、この種の家畜は、主人は搾乳せず、毛も刈らず、仕事もさせない。ただ特定の目的の為に飼う。
اذق idhuq 「اذق تاغ idhuq tagh 越えられない山」。
ارق ariq 渓流、溝、水路。この言葉は諺ではこの様である。
اغیلدا اغلاق تغسا ارق دا اوتي اونر aghilda oghlaq tughsa ariqda oyi ünär
囲いで子羊が生れれば、溝辺で草を食む。
この諺は、糊口を凌ぐために考えすぎるなと説いている。
ارق aruq 疲れ果てた。「ارق ار aruq är 疲れ果てた人」。この言葉は形容詞として用いられる。「ارق ترق aruq turuq アルク・トゥルク」、フェルガナとカシュガルの間の峠の名称。
ارق aruq よわよわしい。オグズ語とキフチャーク語である。
ارق uruq 縄、綱。
ازق azuq 「ازق اوق azuq oq 流れ矢」。何処から飛んできたか分らない矢。
ازق azuq 「ازق منق azuq munq 逃げる、道に迷う」。
v1-0072
ازق azaq アザク。一人の有名なオグズのベグの名前。
ازق azuq 食物。この言葉は諺ではこの様である。
سرتننك ازقي ارغ بلسا یول اوزا ییر
sartning azuqi arigh bolsa yol üzä yär
商人の糧が清ければ道の上で食う。
この諺は潔癖を誇る人、正直な人と言うことを指す。
ازق uzaq 長い、長く続く、引き摺る。長引くことを「ازق ایش uzaq ish」と言う。有る所に人を派遣することをぐずぐず遅らせることを「یلاوج ازق بردي yalawach uzaq bardi 使者が長らく行った」と言う。
ازق ozuq (前に居る、先に絶つ)。「ازق ات azuq at 先駆ける馬」。競馬及びそのほかの活動で他の馬を凌ぐ馬。
اشق ashaq 低い。オグズ語。
اشق ashuq 距骨。人と動物の距骨。
اشق ushuq 小さな、砕けた。「اشق نانك ushaq näng 砕けたもの」。幼子を「اشق اغلان ushaq oghlan」と言う。切り分けた薪を「اشق اوتنك ushaq otung」と言う。この言葉は複数形のみで表される。
اشق ashuq 兜。この言葉の「ا」は「ی」の替りである。
اغق oghuq 靴や革足袋のつま先。
اؤق iviq 雌の羚羊。荒野や砂漠に生息する動物。
الق aluq 「الق ار aluq är 禿げた人」。オグズ語。
v1-0073
اولق oluq 木槽。木を削って作った物。家畜に水を飲ませたり、葡萄液を冷ますのに使う木槽。
الق uluq 「الق تون uluq ton 古びた着物」。凡そ古くなったものを「الق uluq」と呼ぶ。
الق oluq 丸木舟、小舟。この言葉の語源は「اولق oluq 木槽」と同じである。
الق uluq 馬肩隆、馬の馨甲(きこう) 。肩甲骨間の瘤。この言葉は諺ではこの様である。
الق یغري اعول قا فلیر
uluq yaghiri oghulqa qalir
鞍の瘤は子供に残るされる。
これは、肩隆部の多骨節と筋は一度痛めたら治らないということである。
الق aliq 鳥の嘴。オグズ語。
انق anuq 今有る、現有の。「نق ننك anuq näng 手近にあるもの」。この言葉は諺ではこの様である。
انق اتر تتسا یوقا سانماس
anuq utra tutsa yoqqa sanmas
今有るものを曝け出せば無いとは数えない。
この諺は、主人は手持ちの食べ物を全て差し出して客をもてなすものだということである。
ابك äpäk ナン。小児語。
اتك ätäk 衣服の裾。
اتك ätik 革靴。
اوتك ötük 故事、申請。可汗に対してあらゆることを陳述する時に用いる言葉である。この言葉の原義は「あることを叙述する」ことである。
v1-0074
اتك ötük 下痢、腹下し。「انکار اتوك تتي angar ötük tutti 彼は腹下しを患った」。
اتك ütük アイロン、火のし、こて。こてに似た鉄、燃やした後に衣服の折り目を伸ばす。
اجك ichük 皮衣。貂の皮や「掃雪皮」及び類似の獣皮を縫って作った皮衣。
اذیك üdhik 愛慕、切望、恋い慕う。この言葉は諺ではこの様である。
اوذیك میتي قمي
üdhik mäni qomitti
سقج منکا یمتي
saqing manga yumitti
کونکلوم انکار امتي
könglüm angar ämtti
بوزم منك سرغرور
yüzüm mäning sargharur
愛情は我を不安にする。一切の悲痛と苦悩が心に湧く。我が心は愛する人に捕らわれる。苦しみで我は日に日に顔色が悪くなり肌があれた。
v1-0075
ارك ärük 桃、杏、梅などの果物の総称。これらの果物の名称は様々な形容詞を付けて区別する。「تلك ارك tülüg ärük 桃」。「سارغ ارك sarigh ärük 杏」。「قرا ارك qara ärük 酸梅」。
ارك örük 編物、編んで出来た物。「ارك سج örük sach 弁髪」。
ارك ürük ある所に留まる一定の時間。「سو اون کون ارك بلدي sü on kün ürük boldi 軍は十日にもなった」。即ち未だに移動、或いは作戦行動をしてないことである。とあるベグの或いは部族がとある地に留まることを表すにも、この言葉は用いる。
ارك irik 腐る。「ارك نانك irik näng 腐った物」。「ارك اتونك irik otung 腐って崩れた薪」。
ارك ärik 「ارك نانك ärik näng」溶ける物、融けてなくなる物。油脂などの溶ける物。凡そ凝結後融けるものは全て「ارك نانك ärik näng」と呼べる。
v1-0076
ارك ärük 裂け目、ひび、ギャップ。壁及びその他の物のひび。この言葉は諺ではこの様である。
کندا ارك یق بکدا قیق یق
kündä ärük yoq bägdä qitiq yoq
陽にひびは無く、ベグに頑なは無し。
この諺はベグに約束を守らせるように仕向けるために用いる。
ارك ärük 鞣した獣皮で作った物。「تري ارکلادي täri ärüklädi 彼は皮を鞣した」。
ارك ärik 「ارك ییلقي ärik yilqi 走る馬」。走りが軽快な馬の事を「ارك ات ärik at」と言う。オグズ人はこの言葉を知らない。
ارك ärik 「ارك ار ärik är 勤勉且つ勇敢な人」。この言葉は諺ではこの様である。
ارك ایرني باغلیغ ارمکو باشي قنلیغ
ärik ärini yaghligh ärmägü bashi qanligh
働く者が脂で満たされれば、怠け者の頭から血が吹き出す。
働く者の努力によって多くの美食や肥えた肉を得られ、口の中が脂で満たされる。而して怠惰な者は、その怠惰さの為に頭から血が吹き出す様な災難に遭う。この諺は人に勤勉を勧め、怠惰を避けるために使う。
ارك irik 粗い、粗雑な。「ارك نانك irik näng 粗雑な物」。籟病によって容姿が変わった者も「ارك irik (かったい)」と呼ぶ。
ازك äzik 中指の皮膚の上の甲印。
ازك özük 婦女の称号、美称。金の様に清らかで、心根の善い女性の事を「التون ازك altun özük」と呼び、肌が真珠の様に輝く女性の事を「ارتني ازك ärtini özük」と呼ぶ。大粒の真珠の事を「اردني ärdini」と呼ぶためである。この言葉の中の「ت」は「د」に替った。これはチギル人の婦女の美称である。この言葉は「اوز öz 自己」から来ており、語尾の「ك」は「ただ」の意を表す。例えば、「ال ارني اك کلدي ol ärni ök käldi 彼が人をただ来させた」。凡そ伊什巴方式の発音の言葉は、「ق」と「غ」の言葉を等しく「oq」を「ök」に替えられる。
v1-0077
ازك üzük 地下水が滲みだして陥没した土地にできた池。入り江の事もまた「ازك سوؤ üzük suv」と言う。
ازك özäk 主動脈。【以下省略】
اژك üzük 音節。「بتك اژکلادي bitik üzüklädi 書物を音毎に読む」。音節ごとの文字を「اژك üzük」とも言う。「ز」と間の音である。「بو نا اژك ال bu nä üzük ol これは何の字かい?」。
اسك isik 「اسك ییر isik yär 渇いた荒野」。
اسك isig 熱い。「اسك نانك isig näng 熱い物」。「اسك کون isig kün 暑い日」。
اشك äshük 人体を覆うもの。
v1-0078
شك äshük 覆い。国王やベクが死んだ時に墓に被せる絹織物、事後貧者に分け与える。
اشك üshik 露が凍って霜となった物。凍らせた果物に滴る霜。
الك älik 手。「انك الك ong älik 右手」。しかしオグズ人は右手を「ساغ الك sagh älik」と言う。全てのテュルク人は左手の事を「سول الك sol älik」と言う。
اولك ölüg 屍、死体。
اولك ülük 分け前、取り分。
الك ilik 骨髄。オグズ語。其の他のテュルク人は「یلك yilik」と言う。オグズ語の「ا」の音が「ی」に変わったのである。
امك ämik 乳房。男の乳もこう言う。
امك ämik 「امك کون ämik kün 暖かい日」。冷たいものが少し温く変わった物も「اوك änik」と言う。
انك änük 幼い獅子、小獅子。犬、狼、狐の子供も亦「انك änük」と言う。
انك änük 「کرتلك انکي kiritlik änüki 匙の歯」。
ابلل opal オパル。我らが故郷の名称。
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