第6話
「行くな!」
声がしました。
その声に聞き覚えがありました。
それは六年前に死んだ私の祖父の声だったのです。
「くそっ、邪魔するな、このくそじじい!」
そう言うととうやは私の手を掴んで引っ張りました。
私は踏ん張り、もう一方の手でとうやを突き飛ばしました。
そして振り返り、走りました。
走って走って走りました。
どれぐらい走ったでしょうか。
どう考えても数キロは走ったと思えるころ、いきなり入り口が見えました。
ついさっきまでは真っ暗だったのに、突然目の前に現れたのです。
私は自転車に乗り、一心不乱にこぎました。
そして家にたどり着くと、頭の中で言いました。
――おじいちゃん、ありがとう。
その後、私があのトンネルに二度と足を向けなくなったことは、あらためて言うまでもありません。
終
長いトンネル ツヨシ @kunkunkonkon
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