天敵・オジュウチョウサン
七夕。
福島競馬第9レース、
オジュウチョウサン、
結果は、競馬ファンならご存知の通り。
夢子は、ウインズでも歓声が上がっていたことを、トウジに伝えた。
いくらスポーツとしての競馬に興味がないトウジでも、ウェブやスポーツ新聞を通して、オジュウチョウサンが
オジュウチョウサン以外の複数の馬の単勝を買っていたことは夢子に口が裂けても言えなかった。
トウジは障害レースに大金を投じないと決めている。落馬という不確定要素がつねに付きまとう障害レースに大金を投じられるはずがない。
しかしトウジの知り合いには、障害レースの馬券が得意だという人間もいる。障害レースや
『わたし、思ったよ、中山グランドジャンプがゴールしたあとで、こんなに競馬を観てすがすがしい気持ちになったことはじめて、って。ハッピーエンドだったでしょ? 落馬が一頭もなくて、レコードで、オジュウチョウサンはあんなにぶっちぎって--。トウジくんは、どう思った?』
皐月賞が終わった中山競馬場からの帰り道で、夢子はトウジにこう言った。
トウジはその日、しこたま負けて、もちろん皐月賞も外していて、土曜の競馬のことなど思い返す気力もなかった。西船橋駅までの道のりがステイヤーズステークスのように長かった。
『ディープインパクトの手のひらのなかで(仮)』 ばふちん @bakhtin1988
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