コメント失礼します。
くぐもった分厚いガラスケースの中から・・の箇所は個人的にすごく印象に残っていて、彼女の現状に疲れきった遣る瀬の無い思いにずきりと胸が痛みました。
また一瞬で消える花火が見せる鮮やかな記憶から、夫の死が強く連想され、切ないです。。
でも1番辛かったのは、残された彼女の今後を考えた時です。花火と一緒に彼女の未練も消えてくれてたらと思いました。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
ほぼモノローグ的な記述のみで進む話ですが、表現など気に入っていただけて嬉しいです!
花火というのは、いろんなものを投影できるアイテムですね。
そうですね、そう遠くない未来に必ず彼女一人の日々が始まります。明るい、楽しい記憶を胸に生きられると良いですね。
鮮やかな花火と、雨空、装置の音との対比が、心を大きく揺さぶります。
過ぎ去りし過去と、今。あまりの違いに、日課をただこなしていた彼女の心が気づいてしまった。それでも、また明日から同じ日々が過ぎていくのでしょう。過去が戻らないのと同様、どうすることもできない現実…。
五感にフルに訴えかけてくる表現の波が、いつもながらお見事です!
作者からの返信
コメントありがとうございます!
感情そのものを言葉で書くより、五感から迫っていった方が実感しやすいかなぁと思っています。
鮮やかで賑やかだった過去と、色味に乏しく閑かな現在。
でも、この今とて永久に続くわけじゃないんですよね。本当に一人きりになってしまう未来が確実に来る……
幸せな思い出と、今も愛があるからこそ、かもしれません。
陽澄すずめ様の作品に触れたのは、ほんの少し前なのに、自分の描きたかったものを既に五年以上前に完成されている気がいたします。
私も家族愛を根底に描いております。
この御作、『窓越しの花火』、思いのたけが想い出に変わってしまわない内に、ゆるやかでありながら、時の住処を感じさせられます。
ああ、私も沢山入院しました。
自分の子を授かってからも入院しました。
色んなシーンを思い出させてくれます。
とても感動的なご夫婦のある生き方に、生命力を感じたのは、私だけではないはずです。
そして、縁側から、窓へ変わったら、それは四角いものになるのでしょうね。
残念ながら、見えないようですし。
長く、生きてください。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
『時の住処』、素敵な言葉ですね。
ずっとひと連なりで流れていく時間の要所要所に、そういうものがあるのでしょう。
実際には見ることのできなかった花火が思い出の中にある情景を鮮やかに蘇らせるのは、これまでの長い時間を共に過ごしたからに他なりませんね。
素敵なレビューもありがとうございました(*≧∀≦*)
こんばんは。
病気の方の居る部屋というのは、独特ですよね。すぐに分かるのは臭いですし、視覚的にもそうでないと見ない物があったりします。
医療器具の音というのも、また独特です。
まさか作動時に効果音やBGMをつけるわけにもいかないでしょうが。あの無機質でありながら、たとえば胸の鼓動のような、命に繋がる連想をしてしまうアレはなんとかならないでしょうかね。
そんな中に、妻はずっと自分を置いている。それが義務だから、情けだから、愛情があるから。あるいは、仕方がないから。
私のような若輩者に、その辺りの心の機微は想像も出来ません。
でもきっとラスト付近で、終わる気配のない夫の容態に、なにか感じたのでしょうね。
植物状態という言い方がどうかという議論もありますけれど、そんな状態に夫はある。
対して自身は生きている。死の反語としての生でなく、祭りや花火をそれと感じられる存在という意味で。
娘たちとのコミュニケーションから、立ち位置を半ば夫に近付けていた。そのことに気付いたのでしょう。
妻の涙が、なにを意味したのか。
そんな自分を憐れんでという見かたも出来ますが、きっとそうではない。
静かに、そうと知っているのに気付けないほどゆっくりと、離れていく夫の生。
この生は、思い出と置き換えることも出来ます。
帰ることのない日々。更新されない記憶。薄れていく自身の気持ち。
切なく、悲しいお話でした。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
もう10年以上も前、祖父が末期ガンで入院していました。
病室の中の閉ざされた空気感は、本当に独特なんですよね。
このまま何も変わらず、祖父はずっと生き続けるんじゃないかと思ったくらいでした。
短い話ですが、深く的確に掬い上げてくださってとても嬉しいです!
更新されない記憶。
夫との思い出が増えることは、もうないんですよね。
かつての思い出が鮮やかに残っているからこそ愛おしく、哀しく思えてしまうのかもしれませんね。
悲しみを描いたラスト、私は、とてつもない愛情を感じました。夫婦の愛と、娘や孫を含めた家族への慈愛が、深いところに強く変わらずに存在していること、その強さに支えられ、寂しく感じられる淡々とした生活の中で、声なき夫に寄り添って生きる主人公の尊い日々。思い出の鮮やかさ。とても味わい深い作品でした。
作者からの返信
お読みくださり、ありがとうございます!
わー、伝えたかったことを汲み取っていただけて、とても嬉しいです!!
今日来なかった娘や孫も、決して夫を軽んじているわけではないし、主人公もそれを分かっていて。
これまで歩んできた道の延長線上にごく自然にある、夫と過ごす何の変哲も無い一日。
それでも不意に、どうしようもなく淋しい瞬間が訪れることもあるだろうと。
ごく普通の人の、人生の一幕でした。
編集済
生命維持装置で繋がれた生命を見守るのも辛いです。
夫の時間は止まったまま。今日の花火大会があると知ったなら、在りし日の良き思い出が浮かぶでしょう。
いつまで経っても、あの残響は置き去りにされたまま。
この一行が切なくて胸を打ちます。
(ノД`)・゜・。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
伴侶の死を待つだけの時間。まだ何も整理できない、したくない時間でもありますね。
二人でいる部屋なのに、一人。
いつか完全な別れが訪れたら、今はまだ哀しい花火の残響も、温かな思い出として受け入れられるのかもしれません。