72話

 そうして翌日。

 今日もまた先のことについて話し合いを行う予定だった―――のだが。












「「………………………今、なんと言いました(にゃ)???」」

「伝えたとおりだ。朝一番にグレイ殿の妹君であるジェシカ殿がグラスウォール王国城下町に向けて出発したらしい。『レイラ様奪還に向けての準備及び実行に移すからあとはよろしくどうにかしておいて兄さま!』と。同室だったエレミア殿にそのような手紙を残してな」

 謁見の間において待っていたのは言伝を預かって青くなりながら謝りたおすエレミアと楽しそうに手紙の内容を伝える国王。そして、

「っ何たる不覚!! まさか監視の目を抜けてこの城を出るとは……………っ!」

 国王に言われて慌てて確認し、戻ってきて項垂れた近衛騎士団長と。

「え、ジ、ジェシカさんいないんですか!? なんで!?」

 こちらも同じく慌てているリフェイルだった。


 ついた途端に聞かされた内容があまりにも信じられなくなって思わず聞き直した。そうしてもう一度聞き直したそれが真実だとわかり、二人はどちらからともなく顔を合わせたあと。

「「………………………………………………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」

 ―――重くて深ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいため息を同時に吐いたのだった。









 なんとか気を取り直し、未だに頭を下げて謝るエレミアを宥めたのちに―――未だに笑いが止まらない国王の一言によって話し合いはなんとか再開した。

「では、今日も話し合いを始めるとしよう」

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