71話

「酷い………というのは、どういうことですか?」

 リフェイルの純粋な質問にグレイは目を少し逸らしながら答える。

「一言で言うと、今まで女性の嫌な部分をたくさん見てきたので彼女もどうせ見てきた女性と同じだと思い込み、初っ端から嫌がらせのようなものをしてしまったというわけですにゃ」

 ―――自分で言っておいてダメージを受けたのは言うまでもない。それほどまでに以前の自分グレイはよろしくない性格をしていたのだと、今では自覚しているのだから。


 そうして項垂れたグレイの頭に、

「それはなんというか、そうなってしまうのは仕方がないのではないかと。俺――えっと、僕だって同じ境遇であれば信じられなくなると思いますので」

 リフェイルの力づける声が降ってきた。

 思わず顔を上げれば彼は苦笑いというか照れた表情で眉を下げながら言葉を続ける。


「ええと、僕ごときの言葉でグレイさんの苦しみみたいなのが穏やかになれるとは思いませんが……その、僕で良ければ愚痴みたいな話は聞きますので。……ええと、ですね? 実妹のことを知りたいのも本音なのですが僕はグレイさんのことも知りたいなと思っているんです。なのでもっと……いろいろお話しましょ!」

 最後にはにっこり笑顔になって締めくくった。




 ・・・なんだかほんの少しだけ、心が暖かくなったような気がする。目を見開いてリフェイルを凝視していたグレイだったが―――ふにゃりと綻ぶような表情をしたあと。

 まるでいたずらっ子のような笑みを浮かべながら、

「……にゃら、今日は少しばかり愚痴大会といきますかにゃ。あぁ私の愚痴はそれはもう長くなる予定ですにゃ、当然覚悟してもらいましょうかにゃー♪」

 と楽しそうに言ったのだった。
















 そのあとは男二人ということで様々な話を繰り広げ―――翌朝の起床時には二人揃ってあくびをしながら起きてきたのは言うまでもない。

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