69話

 そんなこんなで夕焼けが顔を隠し、夜の帳が幕を閉じるように降りてきた頃。


「………ふむ。できればこれからのことについて話し合いは続けたいところではある。だが時間もそろそろいい頃合いだ、話は明日に持ち越し今宵はこれにて終わろうと思うのだがいかがかな? 客人がた」

 長くなると思われた会議はこの一言によって終了することになった。これくらいになると司祭・近衛騎士団長はともかくグレイら5人ともは疲れが見え始めており、それに気付いた国王が上の一言を告げたのだ。



 こうしてグレイたちは国王に呼ばれた侍従に続いて客間に案内され、身体を休めることになったのである。











 ―――時刻は11時、ちょうど深夜の時間帯。


 城の客間というだけであって、清潔感のある室内と華美すぎない調度品は憧れはするものの気持ち的に少しばかり落ち着かない。そこは平民感覚のほうが強いからだろうと思いながら、お風呂から上がったグレイはシングルベッドの上にゆっくりと腰をおろした。とはいえ、ベッドに座ると今日を乗り切ったという安堵感が大きすぎてすぐに気にならなくなったのだが。

 室内には同じサイズのベッドがもう一つあり、そこにはリフェイルの荷物がきっちりと整理されて置かれている。ちなみに当の本人はグレイより先に入ったあと窓の外に通じている露台バルコニーで頭を冷やすと言って出ていったきり、まだ戻ってきてはいない。おそらくだが怒涛だった今日の出来事についての整理をしたいのだろう。

 ちなみにエレミアとジェシカはグレイたちの部屋の隣で、ディックはスカイと一緒に自らの部屋にて休息することになっている。



 夜は静かだ。壁にかけられている時計がカチコチと秒針を刻み、開けられた窓からは気持ちの良い風が室内に吹き込んでいる。お風呂から上がったあとだとその風がとても心地がいいのは少しだけ気持ちが穏やかだからだろうか。

 なんにせよ今はまず、明日のことについて考えなくてはならない。話の進み具合は順調だがまだまだ解決したとは言い難く、明日も話し合いは長くなりそうな予感がしている。


 ただ・・・それでも僅かな希望の糸口は見えてきているわけで。それだけでもわかってよかったなと思うのは気の所為ではなかった。





 そうして考え事にふけっていると。

「………考え事をしている最中にすみません、グレイさん。ちょっと聞きたいことがあるのですが、いいですか?」

 いつの間にか露台から戻って来ていたリフェイルがベッドに座って声をかけてきた。

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