68話
途端にリフェイルが腰を下して座り込み―――そうなったところをスカイが間一髪で回り込んでその身体を支える。モフッとした毛の触感に驚きつつ、リフェイルはスカイを見て感謝の気持を載せながら頭をなでた。
それが気持ちよかったのかもっともっととスカイが頭をグリグリさせて催促し、リフェイルは少しだけ夢見心地でより一層なで続けたのだった。
そんな和む光景をよそに、ディックらによる話し合いは続く。
さすがに一人にするのはだめかと思ったのか、あるいは退屈になったのか。ジェシカがするりと話し合いの場から抜け出してスカイらの方にいったのを見逃したのは気の所為ではないだろう。
「……それで? レイラ殿―――いや、レイリアンヌ王女殿下がいると思われる場所の特定はできているのか?」
確認するように国王が問えば、
「可能性は一つです。彼女がいるのはおそらくグラスウォール王国の城・ブランアロット城、かつての王族が住まわれていた場所かと。今は確か……ノルフラメイル城、と呼ばれていたよな?」
「そうですにゃ。あの王族暗殺事件のあと、城は一瞬にして黒い色になったと聞いているにゃ」
グレイかあるいはディックのどちらかが答え。
「今のグラスウォール王国はどうなっているのですか? 最近聞いた話だと国の治安が一気に険悪なものになったと噂で流れておりまして」
逆にエレミアが心配そうに尋ねれば、
「……おいたわしいことにその話は真実にございますれば。街には至るところに泥棒や強盗が多発し、娘子供の人さらいが日常茶飯事だと」
「貴族による税の引き上げも日々増大していると聞いている。民の食料、財産はできたところから搾り取られ、一つも手元に残らないのだと言っていた」
侍従長や近衛騎士団長が苦味を潰したような顔をして返事を返した。
その話し合いは実に、5時間以上も続いた。
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