7話
部屋から出ると大きな窓から陽の光が容赦なく廊下を照らしていて。入ってくる角度から考えると今はまだ昼間のようだ。どうやらそこまで時間は経ってないと思われた。
連れてこられたのがいつなのかはさっぱり分からないが、おそらく一日ほどしか経過していないとなんとなくの予想をつけた。まさかかなりの日が経っているということはないだろうと思ったのだ。
・・・とはいえ実際はその通り、数日も経っていて何度目かの昼間なのだが――今はそれとこれと別である。
飾りのないシンプルな広い廊下を、レイラを抱えた男とリディアナは歩いていく。日が差しているところの大きな窓には曇りや汚れが一つもなく、キラキラと反射するほど綺麗だ。床も同じくピカピカに磨かれていて、かなり清潔感があった。
ただ―――窓の外側にガッシリとした鉄格子がつけられており、それがなんともアンバランスで不気味だ。捕まえた者が逃げられないようにするためにつけられているのだろうか。
どちらにせよここはレイラを歓迎しているとは少しも思えなかった。
これは運ばれているのですることがなく、周りの観察に費やしたときに気づいたのだが・・・ここまで来るのに使用人らしき者たちとは一度も会っていないのだ。どころか廊下にも人の姿は少しも見えなかった。国の中枢である城ならば、侍従やメイドなどの使用人、あるいはこの城にて勤務している大臣などの位の高い貴族が仕事のために廊下を歩いているはずである。
それがこの場所では誰一人としていないとは。一体どういうことなのだろうか?
おそらくリディアナと男はここの人間だろうが、使用人にしては小綺麗なのにどこか荒々しい。どちらかというと戦場を駆け抜ける武人のように見えなくもない格好だ。リディアナは冒険者だったから言わずもがなだが、男の方はそれ以上に荒々しさを感じさせた。ゆえに、この二人は使用人ではなく軍人の部類に値するだろう。
誰もいない幅広い廊下に木霊する靴音はそれだけでレイラに不安を増長させる。まるでこの世界にいるのは3人だけではないか? と思わせるくらい静かすぎるせいだ。
だが、それでも今は何かできる時ではない。それだけは彼女にも分かっていた。
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