5話
ここで記憶の抜け落ちに気づく、そんな時だった。
―――コン、コン、コン、―――
硬い扉を
突然のことに身体が驚いてビクリと跳ねる。誰かがこの部屋に訪ねてきたらしい。
けれどもそのあとは何もない。扉を叩く音も一度きり。ピンポンダッシュならぬドアノックダッシュとでもいうのだろうか。
しばらくの間じっとしていたがなんにも起こらない。そう思ったレイラは、一度呼吸を整え気持ちを落ち着かせながら恐る恐る声を出した。
もしかしたらこの家の住人かもしれない、近くにいる仲間が来たのかもしれない。少しの期待を持ちながら、けれど警戒の糸を緩めずに。
「……………どなた、ですか」
しかし問いに対して答えが返ってくる様子はない。
あまりになにもないのでいたずらなのか? と可能性の針が動く。
けれどもその時―――
ようやく事態は動き始めた。
カチャリと小さく扉の開く音がしたと思ったその瞬間。
ヒュッ
風の切る音。それから、
バフン! ドスッ
布団が波打つように跳ね上がる。と思ったら視界がぐるりと回転し・・・
そして。
気がつけば床に押さえつけられ、右腕をグッと後ろに捻りあげられていた。ランプの中の火が少し揺らいでからフッと消えて・・・部屋のなかの光はほとんどなくなった。
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