第一話~天国から戻る方法~
私は果たしてどうなるのだろう…どうすれば戻れるのか、あの中途半端な日常に。
そんなことを考えていると、神様が言葉を発した。
神「どうすればお前さんがこの天国から帰ることができるか告げよう。それはズバ
リ、罪を犯した天国にいるべきでない魂を見つけ、わしとその魂にそれを伝える
という仕事をこなす。以上じゃ。」
セナ「…それはどうして私がしなければならないのですか、神様…」
神「確かにお前さんは無関係の魂。されど、天国へたどり着いたからには、それ相応
の働きをこなさなければ、いくらわしでもお前さんをここから返すことができな
いのじゃ…仕方ないだろう、わしは神とはいえど天国に神など腐るほどいる。わ
しはこれでも下っ端なのじゃ…それにルールがある。いくらわしでも破れぬ…」
セナ「……………」
この神様下っ端なんですか…天国も案外世知辛い世の中ですね…
セナ「…それで、罪を犯した魂がなぜ今天国にいるんですか?天国って神様か閻魔様
が天国か地獄かを判断するんじゃないんですか?」
神「昔はそうじゃったのう。しかし、人の子はどんどん世の中を変えておるではない
か…神とはいえど、ついていけないのじゃ…早すぎじゃろう…」
セナ「……そ、そうですね…」
神「そう!そこでじゃ!人が、『これは良いこと、悪いこと』と判断すれば問題ないじ
ゃろう!それに今では神も閻魔もそんな方針に固めておるため、誰でも一度天国
に入れておるのじゃ。これが一番効率も良く今の下界にちょうどいいのじゃ!」
セナ「…ずいぶん適当な基準ですね…でも、私は法律とかをあまり知りませんし、
戸惑うと思いますよ?いいんですか?」
神「そうしないと帰れないんじゃぞ?ルールは厳しい。わしも逆らえぬわい。」
セナ「うっ……。そうでしたね…」
神「やり方としては、ターゲットの魂を決めて下界に戻る。」
セナ「ええ!?結局戻るんですか!?」
神「ああ。ただしお前さんの魂がいられるのは、今のままだと12時間程度。それくら
い立てばまた最初の部屋にいつの間にか戻っているぞ。それから1日は下界には
戻れない」
セナ「不便ですね…」
神「ルールなのじゃ。仕方ない。」
神「次に、その魂が世の中で目立った罪を犯していればその魂に報告しわしにも報告
する。これだけじゃ。ただし、相手らも同じようなことをしているぞ。つまり、
お前さんに罪があればどんなに軽いことでも場合によっては報告されしばらく地
獄で暮らすことになる。」
セナ「ちょっと待ってください!ほかの魂もこれと同じことをやっているんですか!?」
神「生き返る気のある奴はな。しかし生き返ったものは数えるくらいしかおらん」
すごく過酷な現状なのだということがひしひしと伝わる。罪人の魂を見つけ出して、早くいつものように暮らせるようになりたい!覚悟して何もない部屋から出て他の魂を見つけることにした。
魂にだって罪はある。 葉隠ハク @hagakure
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