魂にだって罪はある。
葉隠ハク
プロローグ~天国へお邪魔します~
自己紹介をしよう。
私、もとい明日見セナは高校1年生…。勉強はまあまあ。頭の回転は速い方。
計算などは一目置かれるレベル。しかし正直に言うと、数学科はそれくらいしか
取柄はなく、方程式などは散々。現代語がかなり得意だけれど古文がほとんど
理解できない。そんな、中途半端な状態。
あと特筆すべきものはないが、強いていうならば、他人の粗いところや嘘を瞬時に見破れるという、使えるようで使い道のないテクニックを保持している。マジックとかでトランプを動かさずに相手のカードを当てるとか、使うところがしょぼいし、相手の表情とか言動をしっかりと逐一ひとつずつ確かめないとわからないから、あってもあまり使いどころがない。そんな中途半端な特技。
いろいろとまとめてみると、こんなあまりにも中途半端だったんだぁと嘆きたく
なってくる。中途半端な人間の私である。
今日は月曜日か…だるい、頭が痛い、眠い…今日は休もうかな…とか思っている。
それでも学校に電話をかけなければ…
??「学校には行かなくてもいいぞい。小娘よ…」
セナ「じゃあ電話かけよ…」
ん!?今私が話したこの人、誰だ!?
セナ「あの、どちら様でしょうか…」
??「我は神…まあ、人の子からの呼称はそうなる。GOD,DIO,الله…
まあ、同じ意味じゃ」
セナ「え?ええええええええええ!?」
神「落ち着くのじゃ、確か、明日見セナ…だったかのう」
セナ「なんで神様がこんな何にもない私の所に来たんですか!?」
神「ほんとじゃのう、部屋には何にもないのう。何故かわかるか?」
セナ「え!?部屋に物がない!?そんな馬鹿な…なっ!?」
一度部屋を見回すと、マジで何にもなくなってる!
神「いいか、落ち着いて聞くのじゃ、明日見セナよ。
お前さんは今天国にいる。天国…分かるか?」
セナ「単語としては理解できますけど、昨日寝て急に朝起きたら
天国にいるって…有り得ないですよ…」
ハッ!?この人が神様という証拠は何もないじゃないか!神様なんているはずない、有り得ない!きっと泥棒だ!問い詰めてやる!
セナ「というか、あなたが神様だったのなら、証拠を見せてくださいよ!
このままではあなたを信用できません!本当に神様なんですか!?」
神「そういうと思って証拠はある。この時計を見ろ。」
午前11時…電波時計だな………時刻は正しいらしいな…
神「ではいくぞ!それい!さあ、時計を見よ!」
セナ「!午後11時に!?」
神「これだけじゃない!外へ行き時間を見に行くがいい!」
…外へ出ると、いつもの住宅街とはまるっきり違った所にいた。きれいな空。透き通った海。そしてそれを一望できる草原。まるで地球に無いような景色だった………そして空には星が浮かんでいた。
セナ「………」
私は言葉を発せなかった。私は死んでしまったのだろう。
なぜ私は死んだのか。今はそんなことを考えられる心の余裕もなく、ただ茫然と
この絶景の前に立ち尽くしていた。この状況で、悲しくならない方がおかしい。もうあの生活に戻ることはできないのか。あの、中途半端だった私の生活は消えてなくなったのか。しかし、こんなになっても私は涙を流さなかった。やはり私は中途半端な人間だ。
その後、神様には、お前さんは死んではいない、ただ今は何かのせいで昏倒状態に陥ってしまっているということを告げられた。そして、この天国から戻るためには、あることをしなければならないらしい。ここから起きる事柄を私は知る由はなく、神様の話をじっと聞いていた。
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