19日目<絶対条件>
満子からのインプットが多く、処理が間に合わなくなりフリーズしてしまった鈴。
満子は鈴を一旦強制終了し、甘いものを与えて再起動する。さあ、闘いの第2幕がはじまる。がんばれ鈴。
➖➖➖➖➖
「はふへほんはほほぬはひふへほ!」
「ん?脳が疲れた時は甘いもんだろ~?おはぎ好きだろ?鈴。」
満子の怒濤の質問ぜめに思考が停止してしまった鈴は、おはぎを口に突っ込まれ再び活動を始めた。
「なんでおはぎがあるんですか!それにいきなり突っ込まないでくださいよ!わ~、口のまわりがアンコだらけ!も~!あ、もう一個。モグッ」
「あたしが作ったんよ。美味いやろ?ハイハイ、遊んでないで!考えた?」
(んがっ!!!)
意外な言葉に喉を詰まらせそうになった。
「あと5分下さい!おはぎもまだだし!美味いやこれ。」
1分が経ち
2分が経ち……そして5分が経った。
「満子先輩、これで行きます!」
「ど~れ……」
鈴は改めたルートを満子に伝えた。
「津の積み地へ入る前にここで給油します。なので高速道路には津から乗ります。それで後は伊勢道から東名阪、伊勢湾岸道、新東名静岡SAで一度給油してそのまま進み、首都高速に入り、都心環状線、レインボーブリッジ、首都高速湾岸線の葛西で下りて国道357号走り、舞浜交差点右に進んだら現場周辺です!」
「…ほひ、ははっは。もぐ。」
「ちょっと満子先輩!真面目に聞いてますか?なにおはぎ食べてるんですか!青ノリが前歯にくっ付いてますよ!」
説明が長すぎると言いたげな満子は、頬張った青ノリおはぎを飲み込み、用意したお茶をすった。
「はい、じゃあ休憩はどうする?」
「ふっ、そうくると思って考えていましたよ。」
気持ちにゆとりが出来たことで調子に乗る鈴は続けた。
「ここです。」
鈴が指差したのは足柄SA。
「ほう、分かってきたんやない?」
「ふっ、誰にイジ…育てられたと思ってるんですか?弟子を信じて下さいよ。」
完全なるドヤ顔を見せる鈴。
「で、その理由は?ただなんとなくじゃないやろ?」
「ふたつあります。一つ、燃料を補給出来ます。慣れない土地で探して入れるより、手前で満タンにして心配事をなくします。燃料屋もいつも使ってるブランドです。ここなら帰りの分も多少は持ちます。」
満子はふむふむと頷き、続きを促す。
「はい、二つ目は……」
「二つ目は…?」
「二つ目は……」
何を言いよどむ必要があるのか、満子は不思議に思った。
そして一呼吸おき、強い口調で鈴は言った。
「これがないとダメなんです!!」
鈴は、もう一度念を押して言った。
「これだけは絶対はずせないんです!」
「わ、分かったよ!そんなに大事なことって何やねんな?」
「それは……」
「それは?」
また溜める鈴。
「『お風呂』です!」
「……あ~、うん、お風呂な。入るで。」
よかったね、鈴。
つづく
19日目終了。
今日も一日お疲れ様でした!
いそがわりんの運行日誌 トキワン @toki-wan
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