第二章―④ ネズミとプール

「…なんで手袋が入るの?」


 さっきまで、自分はとても大きかったはず。なのに、考え事をしながら手すさびに嵌めた手袋は、入るどころかぶかぶかである。さっきまでと違うところは。

「この扇子か!」

 慌てて仰ぐのを止める。仰いでいる間にどんどん小さくなっていたらしい。そしてその大きさは。

「また…。」

 テーブルに手が届かなかった。頭上で金色の鍵が鈍い光を放っている。どうやら、カップケーキを食べる前と同じ大きさになったらしい。

「振り出しに戻る、って感じだね。」

 溜息をつく。もう一度、カップケーキの入った小箱がないかとくるくると見回していると。


 どこからか、強い風が吹いた。思わずバランスが崩れ、ととと、と思わぬ方向に足が進み。

 ぶつかった扉がガタリ、と音を立てて開いて。


 扉の向こう側へ倒れこんだ。

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アリスの不思議の国のだれか~Someone's Adventure in Wonderland~ 柊桃珈 @mokapetit12

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