第1章 下界編
第1話 遣わされた下級神と名前・・・
神界で愛娘3神に色々教わった海斗改めジーリアスだが
最後に下級とは言え、神を共に遣わすと告げられたまま
下界に落されたのだった。
俺を包んでいたまぶしい光が、徐々に消えてきたと同時に、周りの状況も見えるようになってきた。
バスケットコート2枚分はあるだろ部屋の中に居た。
随分と長い間放置されたままと分かる程にほこりが積り、蜘蛛の巣もあちらこちらに見えた。
至るところが欠けた木製の長椅子が、たくさん並べてあった。
その正面には祭壇らしきものあり、その後ろには腰から上が無くなった石像が
1体佇んでいた。
「んーここは??」
「ここはユプリタル大陸中央部にあります、今は無き亡国・・・ジルリアル王国の廃教会。そこの礼拝堂でございます、最高神様。」
「うぉッ!」
俺が思案していると、後ろからいきなり声が聞こえ不覚にも驚いてしまった。
「ふふッ!・・・失礼致しました。お初にお目にかかります。私は上級神様方3女神様の下で、お仕えしていた下級神に御座います。以後、最高神様を主とし、補佐を務めさせて頂きますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。」
黒の燕尾服に身を包み、赤みがかったオレンジ色のショートヘアーを後ろに束ねた美女が、片手を胸に置き、片膝を着いて頭を下げてきた。
『さっきの微笑んだ顔・・・すごくきれいだったなぁ。』
そんな事を考えつつ、彼女に話しかけた。
「君があの子達に遣わされたって神だね。それと立ってくれるかな?
何だか変な気分だよ。」
「最高神様の命とあらば。」
予備動作もなく悠然と立ち上がった彼女は、スラッとした足も長く、背丈は170㎝はあるだろうか。
胸も程よくあり、もし地球に彼女が居たならばトップモデルにでもなれただろう。
「それと、その最高神様って呼ぶのやめてくれない?」
「如何に最高神様の命であっても、上位の神に御名でお呼びするのは、最大の不敬にあたりますので・・・」
『固いなぁ。それに、俺は・・・』
「俺は神の位を捨てたんだ。最高神でも何でもない。ただのジーリアス。
それ以上でも、それ以下でもないよ。だから・・・ね!」
「・・・・畏まりました。それでは今後はジーリアス様とお呼びさせて頂きます。」
少し悩んだものの、渋々という形で承諾してくれた。
「様もいらないよ。」
「いえ!ジーリアス様に仕える身としては、そればかりは譲れません!」
「そんなの気にしないって!ジーリアス!」
「ジーリアス様」
「ジーリア「ジーリアス様」・・・」
「じゃあ、、それで・・・」
折れない彼女に根負けした俺は、様付けを受け入れる事にした。
「それで?君の名前を教えてくれるかな?いつまでも君呼ばわりじゃ、不便で仕方ないからね。」
「いえ・・・その・・・」
「どうしたの?」
余程恥ずかしい名前なのか、言い淀む彼女。
「言いたくないのかい?」
「そうではありません!そのですね・・・我々下級神には名前というものがないのです。名を授かるのは、中級以上の方々のみになります。」
なんと!神達にはそんな決まりがあったのか!
「そもそも名前とは神に限らず、その者の存在を現し、この世界に固定し安定させる意味があります。命名の儀が如何に重要か、ジーリアス様も神界にて、ご自分で体験されたと思います。」
「ああ!確かにあの儀式の後、この世界と繋がった感じがしたな!」
「ですので、神にとって殊更、名前とは特別なものになります。
下界の民達がその存在を認識することにより、名付けられ浸透します。
ここで初めて中級になる資格を得て、3女神様方の承認を得て、中級神となるのです。」
この世界にとって名前はここまで特別なものだったんだ。
前の世界では、親から貰った名前を、簡単に変えたり捨てたりする人も沢山いるというのに・・・
「でもそれじゃぁ、これから不便だし俺が付けてもいい?俺と君が分かれば、それでいいんだしさ!」
「はい!ジーリアス様に名付けて頂けるなど、最高の名誉に御座います。」
「俺はそんな大物じゃないよ!何がいいかなぁ・・・」
俺が付けるとあって、下級神は大層喜んでくれた。
何だか恥ずかしくなってきたな!!
最高神様の王道記 @jun0919
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