緞陀羅鳥
安良巻祐介
悪魔が窓から不意に入ってきたので反射的に捕まえて小瓶の中に入れておいたら、最初は何かと煩かったけれども、そう何日も経たないうちに色が抜け角が欠け手が萎んで、鳥に似た頭と羽根だけが残り、普通の小鳥とそう変わらない見た目になってしまった。
とりあえずそのまま瓶の中で飼ってみたけれども、教えた覚えのないアラビヤ語のような音の言葉を喋り立てる他は普通の鸚哥や鸚鵡の類とまったく何ら変わることなく、虫を食ったり病気になったりしながら八年ほど生きて、やがて死んだ。
死んだ後に躯を焼いたら、いびつな十字架に似た形の骨だけが燃え切らずに残った。
それ以来、何となくずっとそれを壁へ掛けたままにしている。
緞陀羅鳥 安良巻祐介 @aramaki88
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