1.貴方との出来事


父は科学が専門の大学教授で帰りは遅かった。


両親に言われるがままに受験を繰り返していたけれど、長年浪人していて大学を薦める理由もわからず意を決した勢いで家出した。


当時22歳だった私は、泊まる場所がない状況では無理だから父が大学教授している"五葉大学"の門で待ち伏せして鍵を貰って帰ればいいと思っていた。

 ここ"五葉大学"を何回か受けていると眉間に皺を寄せるほどの嫌な記憶に嫌悪感しか感じなくなる


私、瀬田花せだはなの両親は、父は大学教授・母は専業主婦。普通の家庭で育った。


そして受験勉強を必死にするようになってから父は私の面倒みてくれるようになり、母は口数が減ることも気づかずに父の期待にそえるよう流されて受験勉強を続けるも、

 私が"五葉"大学受験に一切受からないことを理由に両親は吐け愚痴のストレスを言い合うようになってしまった。


友達が居ても大学受験に必死に受けた。だけど実ったことなんて1度もない。


「お前はいつからダメな子なんだ。いつまでたっても出来ないじゃないか」

「塾も通ってやってるのになんで.......」

「成績聞いたんだ。ひどい結果だ、と」


この言葉を父に言われたころはボロボロ。両親と一緒にいた気持ちは沈んでいき、受験不合格通知来て1年が経ったある日。


自分で上手くいかないことに我慢の限界で、そっと家を出ることにした。

話す機会も少ない上に冷たく当たられると悔しい思いから、夜だと心配されると思い夕方に家出る。


心配するかな?ダメな子って言われるだけ?

父がいる大学目の前をたまたま通って逃げたいと思うと同時に、

気持ちが足が止まってしまう。


現実にいることはわかっていても、迷惑かけていても一言なくても心配する親だったらいいのに。初めて一人で生きていくことに自分はどうしたいかわからない。

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貴方が隣に居てくれたから、花は必死に上を向いて笑った 椛縞しげ @momisige__

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