まず圧倒されるのが、銃火器の知識に裏打ちされた迫力の戦闘シーン。
まず「急襲作戦」で度肝を抜かれ、「最終試験」では単なるドンパチだけではないよとばかりに、その頭脳戦に驚かされる。クライマックスとなる「正しい決断」以降は、まさに息をもつかせぬ展開。
さらにメキシコの内情――蔓延(はびこ)る麻薬/軍・警察の腐敗/麻薬カルテルの暴力性――、主人公リアンの揺れる心情、パトリックの男の色気、これらの描写もすばらしい。
特に、英語とスペイン語の両方を駆使したクランチ文体特有のルビ使いは、読んで小気味いいと感じた。