第3話妊娠発覚(仮)
前にも書いたように、28日と一週間がすべての基準だった。
しかし、私の体は思っていたよりも単純だったらしい。28日を過ぎると、
「気持ち悪い…」
「熱っぽい?」
「食べ物の匂いが気になる…」
「何この急な眠気??」
と、毎回、妊娠初期の変化を感じた。期待が高まって自己暗示状態。つまり、毎月、想像妊娠に振り回されてた…。お恥ずかしい。
そして、規則正しい私の体は28日と一週間を迎える前に、きっちり生理が来たので、これまで妊娠判定薬の出番は一切なかった。
そんな日々を繰り返していたので、“その日”を迎える時も完全に油断してた。
「気持ち悪い日が続くけど、これもきっと気の所為(でも、違っていたらいいなあ)」
「私の体って単純だから〜(いやいや、今度こそ?)」
がっかりしないように、慎重に、建前と本音の独り言を繰り返して過ごしていた。だから、買っちゃうと期待が高まると思い、妊娠検査薬の準備も後回しにしていた。
で、とうとう迎えた28日と6日目。というか、6日と23時間すぎ。待ちきれなくなった私は、ごそごそと救急箱や医薬品のある場所を探り、使用期限を1年と半年も過ぎた妊娠検査薬を発見した。
生理予定日を一週間すぎた直後でも結果でる? 使用期限を過ぎた検査薬って意味ある?
心配は尽きないが、ようやく迎えた念願の28日と一週間目。とにかく、このままでは眠れない! 使用期限が切れた検査薬も妊娠しているのに「陰性」はあっても、妊娠してないのに「陽性」判定はない! …はず。ええい、どうにでもなれ! と、検査薬を持ってトイレへ。
その直後、説明書に書いてあるよりもずっと早く、試験薬は「陽性」を表示した。
一気に頭の中はクリアになり、なんだかいつもより長く感じる廊下を歩き、
深夜12時半、ソファでうたた寝をしていた夫を揺り起こしてハイタッチをした。
「明日、仕事帰りに産婦人科に行ってくるね」
夫にそう告げる。まだ確定じゃない、これは(仮)なんだと自分に言い聞かせた。
「陽性」になった検査薬を記念に残したい気持ちにかられつつ、ゴミ箱に捨てた。すべてはこれから。
ようやく次の段階へ進むことができる。それがただただ嬉しかった。
37歳、母になれれば 森 ふたつ @mori_futa2
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