第2話 妊娠活動、略して妊活

 夫と「子どもを作ろう」と話し合って決めた。決意した時点で、すでに36歳を過ぎていて、間違いなく高齢出産だった。

 とは言え、母となった友人の多くも出産時には30歳を越えていて、35歳以上も少なくなかったので、わりと楽観視していた。その反面、昔仕事で出会った産婦人科医師から「高齢出産が増えたと言っても、安全になったわけではない。高齢出産にかかるリスクは昔も今も変わらない」という言葉が蘇り、脳内の片隅にくっきりと刻まれて、事あるごとにチラついた。

 

 「高齢出産はリスクが高い」という不安を抱えつつ、妊娠するために我が家なりのルールを決めた。

 その頃、結婚して9年がすぎていたけれど、夫婦仲は良かった。夫婦間で問題があれば、机に向かい合って二人で話し合う。

 大きなケンカは数年に一度、それも我が家なりの解決方法が見えてきていて、地雷さえ踏み抜かなければ、数日後には元に戻れた。その関係性が私は大切だったし、妊活に失敗したとしてもこのままの関係を守りたかった。

 不妊治療は金銭的にだけでなく、精神的にも負担が大きいと聞いて、繊細な性格の夫には、不妊治療は難しいんだろうなと思った。

 だから、目指すは自然妊娠だった。


まずは、妊活アプリをインストールしてタイミング法を試す。それで半年経ってもうまくいかなければ、不妊治療を行うクリニックへ行って、お互いに問題がないか原因を探る。その結果、自然妊娠が難しいようなら子どもは諦めようと話した。




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