第5話偽物じゃない。あえて言うなら本物に近いもの。
恐らく、もう二度と
垂れ下がる髪型は、もう出尽くしたような気がする。
そこにどんな意味があるのかは知らないが、それを考えている場合じゃなかった。
まずは、わかりやすのから消していこう。
「
わかりやすいのは、この八組。
手招きして呼んでみると、戦っていた
「うん、
「
隣で頷く
まあ、一応この二組もどっちが本物かわかってるけど、この際後回しだ。
「
「
「
案の定、僕に続いて本物の二人は喜々としてツッコミを入れている。
「じゃあ、そっちの黙ってる方の
――偽物を言い当てた途端、偽物たちはニヤリと笑いながら黒い霧となって消えていく。
若干、残った本物の
腰についてるシカせんべいが、何故かオカキになっていた。そしてこっちも、本物が積極的にツッコミを入れていた。
タイム魔神は、見た目を同じにしても、性質や性格までは似せる事をしていない。
これは、タイム魔神の口から『最難関に設定したものは、見たままを忠実に再現した』という言葉が出たから間違いないだろう。
――最難関で見たままを忠実に再現したのなら、それは外見という事だ。もし、性質や性格まで似せてたのなら、『本人を忠実に再現した』と言ったに違いない。
でも、そうは言わなかった。
だから、あとは注意深く見ていけばわかる。そして、まだまだ簡単なのが続いている。
「
「
「
この二人はやりづらい。文化色の対比で来るなんてずるすぎる!
「
「
一気に言い当てたここまでは、間違えないようがないほど変わっている。
そして言い当てた途端、さっきと違いうっすらと笑みを浮かべて消えていくタイム魔神の分身たち。まるで、『この後はそうはいかんぞ』と言っているかのようだった。
しかし、全てがそうだという訳ではない。中には手を振っている者までいた。
短期間とはいえ、
戦うもの。仲良くなるもの。それはそれぞれの個性なのだろう。
ただ……。まさかそれほどまでに仲良くなるものとは思えなかった。
まるで愛し合う二人の仲を、むりやり引き裂いたような気分にさせてくれた
男雛が消えたあとも、
――だが、その手の先にはもう誰もいない。
その事実をどう受け入れたのかわからない。突如、崩れるように泣き伏して、やがて食堂から消えていた。
――ごめん。なんだか、ごめん……。
いいようのない罪悪感が体中を駆け巡る。でも、今はそれに支配されるわけにはいかない。
まだ、タイム魔神の分身は残ってるんだ。
――さて、ここからは慎重に見ていかないと。
残るは
そして……。
「とりあえず、
見た目が完全に同じのこの四組。
話して違和感を見つけるしかないだろう。
「
隣で
「じゃあ、
さっきから真剣に話し合っている
ただ、
「せからしか! わしが本物じゃけん!」
「タイム魔神と呼ばれたこの私も、何の因果か
――ほんの一瞬、自分の耳を疑ってしまった。
「はい、偽物だし!」
隣で笑い転げる
――とりあえず、
「次は、
今度は自分の番だというかのように、
――
「じゃあ、
呼ばれた途端、凛とした姿で一歩前に出てくる二人。
二人共、桜色の着物に赤い
長い黒髪に、赤いリボンがよく映えている。
刀を持っているのは、何か意味があるのだろうか?
「そうですね……。やはり戦うべきなのでしょう。勝利のポーズを決めるのは、もちろん私ですけど」
「ふっふっふ。甘いでござるよ。管理人殿、騙されてはいかんでござる」
「うん。昨日会ってなかったら分からなかったよ。でも、ござるはないな。大正時代っぽくない。よし! 次はもちろん、
頭をはたくと――ぎゃふんという言葉を残し――、
――あと二組。
なんだかわけのわからないうちに始まったこの騒動も、これで終わる。
最後に残った二組のうち、より見分けがつきそうな方を選んだのは、おそらく可能性の問題だろう。
いや、正直言って、古墳時代は不可能に近い。
「その必要はないぜよ、こっちが本物ぜよ。信じるぜよ。本物はうそをつかんぜよ」
――なんだ? 謎かけか?
挑戦的な笑顔をしつつ、片方の
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