排気孔

残り香がひしめく

ひとりきりの脱衣所で

シャツを脱ぐたびに

そっと気がつく

背中には

翼のかわりに

すばらしい腕がいくつか生えていて

ときにはこころの

はためきを尊重して

排気孔をふさぐように

裏と表をつなぐ抜け道に

手のひらで

閂をかけてしまう


この耳を

口を

瞼をふさいでしまったら

五感はつぶれて

祈るための指はもう

残らない


わたしはわたしをくぐり抜けていく

バケツに咲くひまわりのように

肢の根を

刈り取られるとしても

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