真犯人

さてさて探偵深山翼はなにを思いついたのだろうか?

「魚屋さん。最近家の物がなくなることって増えました?」

「そういえば。大したものじゃあないけど三文判がケースごとなくなったり、あと嫁が婚約指輪をなくしたとかいってましたけど。。。。」


「やっぱり金目当て?」私の顔が暗くなるが哲矢は

「バカか。婚約指輪なんて売ったところで5万もしないぞ。印鑑だって百均で買ったやつだし。。。」

「犯人は鍵が目的で盗んだわけではないんですよ」と深山は言った。

「え?」

「魚屋さんあなた動物を飼っていますね?

「え?ええ」

「それって猫じゃないんですか?」

「どうしてそれを?」哲矢は驚く

「私動物アレルギーなんです。しかも猫の毛だけには特に反応するんです。ほら」

と彼女は腕を見せた。肌に発疹がでている。

「さっき魚屋さんが入って来る前は発疹がでなかったのに魚屋さんの声が聞こえてから発疹が出始めましてそれで猫を飼っているのかと?」

彼女は続ける。

「猫だったらおそらくカギについているストラップがほしかったと思います。猫にとっては宝ですからね。おもちゃって。

夕べ魚屋さんが酔って帰ってきたときいつもの場所に置いたのは事実です。でもそれを猫は狙っていた。印鑑はおそらく宅配便にいつもつかっているものを人間が受け取っているすきをみて。指輪は奥さんが顔でも洗う時に外したんでしょう。」



「猫ちゃんが家の中に隠してあります。秘密の場所を探してみてください」

そう深山がそういうと哲矢は「わかりましたー」とすぐに自宅に帰った。


10分後哲矢からの電話が鳴った。

「おー。あったぞ。こてつのやついろんなものため込んで。。」


かくして事件でもないこの出来事が終わった・

「カギのありか」が見つかったことを深山は聞くと

「よかったですね。では私はこれで。」

と立ちあがった。


ゆっくりと白杖で確認しながら彼女は前に進んだが途中で

「あっ」と言って止まった。

大きなカバンのなかから箱を出して

「これ。引っ越しそばです」

といって彼女は頭を下げた。

せっかちなセミが鳴き声を出して夕日は暮れていくのであった。


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鍵の行方 若狭屋 真夏(九代目) @wakasaya

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