事件

「たいへんだー」と入ってきた哲矢は息を切らして私にしゃべり続けた。

「倉庫のカギがないんだよ。昨日確かに家に持ってったんだが。カギがなきゃ「ヤダーン」の着ぐるみがだせねーんだ」

伝えることを伝えたらほっとして隣を見たら白杖をついた女性がいることにおどろいた。

「こちらのかたは?」

「ああ、新しい店主で探偵事務所の深山翼さんだ」

「へ、は、はい」

「すいませんね。なんだか立て込んでおりまして今日のところは。。。」

「お引き取りください」を言う前に

「わかりました。この事件私が解決させていただきます」と翼は声を上げた。


こうしてこの事件を翼が開店祝いとして請け負うことになった。


といっても彼女は目が見えない。したがって哲也から話を聞くことになった。


「あ、あの?」哲矢はだいぶ緊張している。

「大丈夫ですよ。私が聞いたことにこたえてください」

哲也は私を見てうなずくと私もうなづいた。

「倉庫のカギは最後に持っていたのはどなたですか?」

「あ、俺です」

「魚屋さんですよね。」

「は、はい」

「なんでわかったんです?」

「簡単ですよ。魚のにおいがしますから」

「ああ」まあ、不思議でもない答えだった。

「で昨日はなにをしてました?」

「昨日は夏祭りの準備をしてそのあとみんなと飲んで帰りました。で今朝倉庫に行こうとしたら鍵がなくなって」

「スペアキーは?」

「それが倉庫自体が古くって鍵も今は作れないんですよ」

「うんうん」彼女は頭を上下する

「倉庫の中には何が入ってました?」

「ヤダーンの着ぐるみと。。。うーんあとはいらないものですよ」

「ああ、大昔の電卓とか古いパソコンとかな」と私が中に入った。

「でもそういうの高く売れるって話だよな」哲矢がだんだん興味深くなっていく

「カギに特徴なんかはありますか?」

「うーん」

「普通のカギですよ

「ヤダーンのストラップがついた。。。」

「うーん」

彼女が出されたお茶に手を出したのだがそれをこぼしてしまった・

「あ、すみません、私目が見えないのに。。。」

哲矢がテーブルにこぼれたお茶をタオルで拭いた。

「服も少し濡れたようですね、これを使ってください」哲矢がタオルを差し出す。


とつぜん深山は立ち上がり

「わかりました」と大きな声をだした。

二人はそれに驚くばかりであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る