女神達は異世界に飽きました。
@butboy
第1話
「所謂、無駄死ですね」
俺は、見知らぬ女に唐突に罵倒された。
「あ、もしかして自分が死んだことを理解してません?死んでるんですよぉ、あなた」
知るかよ。目が覚めたら、唐突に白い空間があってそこには美少女(笑)みたいな女が立っている。すぐに自分が死んだと理解できる奴は死んだ事がある奴くらいだ。
確かに胸に手を当てても心臓の鼓動は感じないし、頬を常っても覚めない。ワケわからん状況からして俺が死んでいるのは真実らしいが。
しかし人の死をいきなり無駄死に扱いは頭に来るな、おい。
「あ、私女神なんですよ。読心術くらい出来るんですよぉ」
親切にも喋る盗聴機は俺に有りがたく状況を教えてくれた。
「で、女神様が無駄死野郎になんのようだよ。夜伽でもしてやろうか。ブス」
「あ、喋るんですね。しかも本音丸出し。えーとですね。哀れみ深い私が貴方に第2の人生を与えようてわけです!」
はぁーん。あれか、最近流行りの異世界転生て奴か。
「そうそう!流行りですよね!異世界転生。私も一回くらいさせてみたいなーて。まぁ、こんな野郎を転生させる羽目になるとは思いませんでしたけど。仕方がないです。転生は無駄死限定に決まってますから」
つまり俺は哀れな流行の犠牲者て奴か。流行りで人生与えられるのか。まだサイコロの方がましだ。
「あ、いらないんですか?いや、貰ってくださいよぉ。これ結構違うんですよ!やってると、童貞が否かぐらい違うんですからぁ」
誰も貰わないとは言ってないだろ。癪だが、貰う予定だ。
「あ、貰ってくださるんですね!よかったぁ」
「あぁ、貰ってやるからチートよこせ。チート」
そう、俺が転生するのはこれがあるからだ。大体、転生はチートを貰うんだ。
魔王すら一撃で殺す剣だったり。不死身の肉体だったり。いきなり最強魔法が使えたり、胡椒が沢山貰えたり。これなしに転生する奴は余程の馬鹿か、知識天才くんだ。
「チートですかぁ。いいですよぉ。未使用ティッシュ箱1ダースでいいですかぁ?」
ふざけてんのか。第一なんでティッシュ箱なんだよぉ。
「あれぇ。だってよくゴミ箱ティッシュで一杯にしてるじゃないですかぁ」
ファッキン。ビッチ女神。聞いた俺が馬鹿だったよ。
「女神は純血ですよ?チートは適当に選んじゃってください。興味ないんで私」
呆れて物も言えない。
こいつから、プレゼントなんて反吐がでそうだ。
「いらねぇ。とっとと転生させろ。万年処女おばさん」
「あぁ?今すぐもう1度死んでもいいんですょ?まぁ、私優しいからしませんけど」
「じゃぁ、転生させますね。正確には転移ですけどぉ。あなたの体はそのまま心体共々醜いままですから。安心してくださいねぇ」
有難いオプションをどうも。二度とその面を見なくていいと思うと精々するぜ。
「はい、いきますよぉ。1,2,3のドーン!」
やる気のなさそうな掛け声が聞こえると同時に俺は森に立っていた。
まぁ、あの女神だ。いきなり壁の中とかではないだけましか。
白い空間にはぽつり女神が一人やる気なく立っていた。
「うーん、これで私も流行に乗れたて奴です。まぁ、これで暫く会話にはついていけるはずですよ」
白い空間にヒビが入る。そこからは別の女神達がどんどん、入り込んできた。
「ねぇ。何してんのぉ?」
「異世界転生ですよぉ。私も女神ですからねぇ」
「異世界転生とか、あんたまだそんなダサいことしてるわけ?」
「え…いや、ワザワザそんなダサいことするわけないじゃないですかぁ。ただ、どうしても言われただけでぇ」
「ふーん。まぁ、別にあんたがいくら芋臭くても構わないけど。」
「ねぇ。なら折角ならその異世界捨てちゃえば?ほら」
女神が目を向けるとそこにはゴミ箱があった。
美しきゴミ箱には、水晶玉が溢れんばかりに投げ捨てられていた。水晶玉の中には世界が写っていた。
彼女らが手を込めて作った世界。そして、水晶に入る一つの人形は派手に装飾をされてた。
女神は自身の水晶に目をやると迷わずにゴミ箱に入れた。
彼女らは常に流行り以外は捨てなければいけないのだ。
女神達は異世界に飽きました。 @butboy
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