糖分には依存性があるらしい。愛は精神的に甘美である。肉体的にも甘美……といいたいが、肉体的な愛を味覚で甘く感じるわけではないのだから、やはりあれは精神的なものだ。 本作では愛に溺れていく主人公の独白が綴られている。脳そのものが舌と化したようだ。だからこそ、末尾の一言が異彩を放つ。物理的にそうしたのか、比喩なのか。どちらに解釈するかで、読者の依存ぶりが精神によるのか肉体によるのか自己判定できるかもしれない。