第7話 一方....

その頃研究所では...








ドゥワァン





水面に波紋のような波が視界いっぱいに映ったかと思えば彼女らを苦しめていた

謎の圧力が消えた。


ハァハァハァ...はぁ...


荒い息を吐くことだけが響いた。

「な、何だったの今のは...」

「そんなこと知るわけないじゃないかアノン君...」

少女は考えていた


何かが足りない


誰か1人少ない


密かに想いを寄せていた


あの誰かが


「あ!」





「ちょっと博士!大変だよ!」

「なんだい!突然!私は色々ありすぎて疲れたんだ!」

「そんなマヌケなこと言ってる場合じゃないでしょ!いないのよ...」

「いないって何が......あ!!!」


「 「グラースがいない!」」


「不猿も居なくなってるよ!?」

「えぇ!?」

博士は慌ててFS1とラベルの貼られたカプセルを見る

カプセルは大破していて破片にヒビが入っている

「何が起こったのよ...」

「ひとまず、状況を整理しよう」


2人は何が起きたか思い返すことにした

「たしか...」

私とグラースはアルカイ博士に呼ばれてこの研究所に来た

博士が不猿の書いた日記を見つけてそれを読むという理由だった

それで、何気ない会話を交わして...グラースは飴玉を不猿にあげていて...

それで彼、突然「バッ」て後ろ向いたりしてて

日記の最後の文字で絶句して

グラースがキョロキョロし始めた途端

体が潰れそうなほど重い重力に襲われて...

必死に起き上がろうとしたのだけれども圧力にはかなわなかった...

そしてグラースは何か叫んでた

何を言ってるんだろうと思った瞬間さらに強い重力に襲われた...

そこから先は意識が闇の中に落ちていった


「不猿と一緒にどこに行ったんだろう...」

「.........!?」

「え?」

急にアルカイ博士が何かひらめいたかのように慌てて奥の部屋へと入っていった


数分後


「あったあったあった!」

アルカイ博士が所持しているのは「不猿」とラベルのついたディスクだった

「これを...こうして...」

博士はディスクをパソコンに挿入して

カチャカチャカチャと操作を始めた

「あった...!

多分この現象が起きたんだと思う。まさかとは思うけど...」

パソコンのディスプレイをこちらに向けてきた

ディスプレイには文章が書いてあった

「えーと...

不猿は気に入った仲間を時空を超えて瞬時にテレポートすることができる

しかし、テレポート中・準備・完了後には周りを気絶させるほどの

重力がかかる。これは部外者にテレポートを邪魔させないためである

最近の研究では''機械魔''と呼ばれる腕輪を使ってテレポートを行っている

という説が出現している......これってまさか...」

「そのまさかだよアノン君」

少女の背筋が凍りついた

もう二度と会えないのかもしれない

伝えたかった思いが伝えれずにこのまま終わってしまうのかもしれないと

察したからだ

「グラースは...グラースは...」



テレポートしてしまったってこと?...



少女は泣き崩れ


研究所を飛び出した


向かうところは出会いの場所


そこで少女はただひたすら号泣するのであった







「アノン君...」

研究所でただ1人立っている男

アルカイ博士はグラースの無事をただひたすら

祈ることしかできなかった


カプセルから「ジジジッ」と漏電する音が静かに響いた


刹那


「大丈夫だって博士!」


声が聞こえた...気がした

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猿の逃亡日記 @unipapaGurresu

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