Blind Bule (完)
作者さま:旭 晴人
キーワード:水中 イルカ 仕事 挑戦 成長 書籍化作品
あらすじ
主人公「蒼衣」は大学卒業後、行き当たりばったりなフリーター生活。能力はあるがプライドが高すぎて自分が納得できる仕事が見つからないでいた。
そこに父親から水族館のドルフィントレーナの求人を進められる。ダイビングと泳ぎが好きな自分にあった仕事かと、軽い気持ちで応募するのだが……?
青年が1頭のイルカと出会い、問題にぶつかりながらも乗り越え、成長していく物語。
感想
良質な現代ドラマ。さすがに「働くヒト小説コンテスト」で大賞を取るだけのことはある。
まず、確かな表現力があり水中とイルカの描写に引き込まれますね。
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海は底が青いのだ。
蒼衣がダイビングにどっぷりハマったきっかけである。その"黒"とも言える青と目が合った瞬間、ぞあああああ、と連鎖的に肌が粟立つ。吸い寄せられるように、頭と足の位置を入れ替えて、蒼衣は潜り始めた。
潜れば潜るほど、精密に深くなる青のグラデーションは数学的に美しい。そんな深まる海の色彩と反比例するように、肉体は追い込まれていく。低下する水温。薄まる脳の酸素。水圧が起こす耳鳴り。
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筆が紙の上を踊るような滑らかさで海をなぞる、藍色のつややかな流線型。愛嬌のあるつぶらな瞳。シャープな鼻先。大きな口。顔に似合わないその迫力。
遊泳、とはこの光景のことを言うのだと思った。海を住処とする者だけが辿り着ける境地。水を切る動きはどこまでも流麗。
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イルカと一緒に泳ぎ回るシーンもあり、なんとも気持ちよさそうです。こんな風に水中を自由に動けたら楽しいでしょうね~!
ストーリも王道でありなら完成度が高い。主人公の上から目線な脳内思考には笑ってしまうけど共感できる部分も。そして、そんな主人公が問題にぶつかり、悩み反省し成長していく心理描写が説得力ある。
採用試験、初めてキャストとして参加するイルカショー、そして……どの出来事も簡単にはクリアできないし失敗もある。だからこそ、乗り越えた時に主人公は達成感を持ち、読者も気分スッキリ。
イルカの「ビビ」との友情と絆、これも非常に熱い。終盤の展開は胸を打たれますね。
状態:完結
文字数:140,761文字
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